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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#09. Saving 架け橋の島
118/189

[8]




ジェレクは整備士が作業しながら話す所、その奥を窺う。




修理場には救命胴衣や浮き袋、畳まれた救命ボートが所々大量に吊るされている。

唯一据え置かれた横長の木製の棚には、工具箱が数種類置かれ、その横には小さな長方形の形をした、キャップが被さる何かが並んでいる。




「環境にいいんだぜ。

二酸化炭素出ないし…って…」




整備士は、いつの間にか別の所に移動していたジェレクに呆れる。

明らかに話を聞いていなさそうだ。

溜め息をつき、立ち上がると彼が手にするそれの説明をする。




「水に漬けたら光る画期的なライトだ。

最近アジアからの客に譲ってもらった。

そんだけしかないから置いといてくれよ」




ジェレクは背面の連なる文字を目で追う。

どこの国の言語で書かれていても、関係無い。




数日間点灯し続ける事。

その間、光が弱まれば水に再度漬ける事で再び発光する事。

水とマグネシウムの化学反応で、それは起きるという事。




 商品の認識をすると、何をするでもなくそれを戻す。

そのまま踵を返し、ボートに戻ろうとした。

だが、開いているドアに目が行き、立ち止まる。

軽く覗くと、数種類の武器が壁に掛かっており、床の箱にも纏まっている。




「おいおい怪しむなよ。許可は取ってある」



木彫が映えたボディのライフルが、照明が落ちたそこにじっと佇んでいた。

積み上がり、並ぶ弾薬箱。

刃物類も備えられているのは、島暮らしでは必需品だからだ。




「いいもんだろ?

あんたみたいな若者は、あまりこういう自然に触れる事はなさそうだから、刺激的だろう」




笑いながら別の作業に取り掛かろうと背を向けた整備士を、ジェレクは颯爽と通過し、スマートフォンを取り出す。




挿絵(By みてみん)




「面倒じゃん」



そう呟いては倉庫の入り口、柱に凭れ、ゲーム音が鳴る。

彼の態度にまたもあんぐりと口を開ける整備士。

その光景を別の仲間が面白がりながら、ジェレクが居る出口に向かった。



「お?それ難しいよな。

未だにヘッドショット決められねぇよ」




年齢の近さを思わせる口調。

だが、ジェレクは気さくに話しかけてきた彼を見向きもせず、滑らかにゲームの得点を上げていく。

秒単位で上がる経験値とスコアに作業員は瞼を失い、先程の整備士と同じ顔振りになっていた。




「冗談だろ。

そう動くもんでもない、狙いを定めやすい突出した位置に急所を仕込むなんて、何のセンスも欠片もねぇ。

秒で片付いちまう。

1ゲームで獲得できるもんも飽きちまった。

こんなもんで金や特典が貰えて満たされるってんなら、イージー極まりねぇじゃん」




そんな言葉を放っている内に、傍に居た作業員は発言に引きながら眉を顰め、逃げる様に立ち去る。

ジェレクはそれに顔を上げると、桟橋でビルが男と合流する所を確認し、向かった。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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