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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#09. Saving 架け橋の島
117/189

[7]




 ターシャはふと、目前に広がる景色から辺りを見渡す。




挿絵(By みてみん)




緑が風に揺れる中に立っていた。

こんな島もまた初めてで、不思議な気持ちになっている。




出て来た背後を振り返ったそこは、木造建築。

出入口から垣間見えるテーブルやカウンターは、茶店を思わせる。

だが、自分が寝ていたスペースを思い出す限りだと、救護室の様な役割もあるのか。






挿絵(By みてみん)






 桟橋に揺れながら停船するのは、黒のボディに赤のラインが縁に入るボート。




背の高い、紺の制服姿。

腕と胸にはシルバーのエンブレムが光る。




ビルは、サングラス越しに相手を見ながら、要点を淡々と告げた。




「あの船が脱走した船のナンバーと一致する。

確認したい」



「あああれ?

カップルが乗ってて、彼女の方は降りるなり倒れちまって大変だったよ」



「カップルじゃない。

治験モニター中の被験者だ。どこに居る」



「そうだったのか。

さぁなぁ事務所か、奥の救護室か、俺は見てないんだ」



「そうか。

もし確認が出来たらあの船も早急に戻さないといけないが、何かしてるのか」



「ああ、点検だよ。応急処置。

傷や凹みがあったから。

走行中に沈みでもしたら大変だろ。

あんたの連れが見てくれてるみたいだな」




ビルは、直ぐそこの修理場でうろうろするジェレクを確認。

その後、林の向こうから現れるオーナーの影に視線を移し、待ち構えた。











 ミラーサングラスを光らせたジェレクは、桟橋の元に聳え立つ木造建築を見渡し、その手前まで接近する。




傍で揺れる拠点のボートで、数名が何やら作業をしていた。

現在停船しているどの船よりもスペックが高いボートに、感嘆の声が溢れている。

片手を腰に、拠点のボートからその付近の人間、周辺を高速で解析する。




「何してんだ」



「修理さ。すげぇだろこのボート!高ぇだろうな」



「当たり前だろ。何処の誰のだと思ってんだ」




 そこへジェットスキーが3台、同じ桟橋に着いた。

それから下り、駆け足でジェレクの前を通過する男女は、ライフガード。

修理場の中に入ると、手前に予め準備されていた燃料タンクを手にし、また彼の前を通過していく。



「走りはいいか?」



ボートを点検していた作業員が声を張った。



「まぁまぁだな。

使えるが、ちゃんとしたガソリンには負ける」



「だろうな」



彼等に尋ねた男が拠点のボートから下船しながら言うと、そのまま奥へ入って行く。

運搬されたガソリンタンクと、そこから給油されていく光景を凝視するジェレク。

その燃料の色は濃いめの褐色。

判別できないそれが何かを尋ねに奥へ入り、傍に居た整備士に近付いた。




「何使ってる。そのボートにも使うのか」



「まさか。客人のには使わない。

あれはバイオディーゼル。

緊急時に備えて試してるところだ」



その言葉を聞き、ジェレクは静止すると、その情報を手繰り寄せ始める。

一方、作業をする男は愛想よく話した。



「廃油だ。魚油でも作れるから便利だよ。

集めるのに手間だがな!

あれも、わざわざその燃料向けに改造したさ。

ここは良い場所に見えるが、言い換えれば僻地(へきち)だ。

所詮は自然が大半を占める島。

いざいつもの燃料が手に入らなくなったら大変だ」









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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