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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#09. Saving 架け橋の島
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[6]



#06. Please wait 決定


「長年に渡って、生命科学を探求し続けてる所なのよ。

不治の病と言われる、様々な治癒困難とされる疾病等に対する、新薬を開発する為の研究をしてる。

人の健康に役立つ有用成分を、水棲動物や植物から生産し、主に近辺や海外に在する得意先、そして新規の共同開発者にも成果の共有をする。

以前は臨床試験もしていたそうよ。

治験って言うんだって」



「“お陰さんで、また新たに抗体医薬品の開発が進みそうだよ。

遺伝子治療なんかも、いずれは実験できそうだ。

タンパク質管理や生物情報の取り纏めなんかも相変わらず、どこの研究所とも比較にならないくらい質が良い”」

「“変わらずうちの原薬が安定していて良かった。

今後も貢献できるように努めるよ”」







ロンは直ぐに思い出し、手を叩いた。




「あの改装したところか!

お前さんらみたいな若いもんが好きそうなデザインだ!

馴染みがある。

そこのお仲間さんは、よくここに来るぞ。

一時期はクローズするとか言ってたけど、再開したからって喜んでた」




ターシャは顔を強張らせる。



「違う…違う違うっ!」



恐ろしくてならず、咄嗟に立ち上がった。

あの異常な施設が何故、世に溶け込んでいるのか。

ターシャは、こちらを平然と見ていたルークの肩に飛び付く。




「何を言ったの!?嘘はダメ!

本当の事を言わないと!」



夫婦は彼女の急な動作に驚き、慌ててルークの肩から手を放させた。



「何でだ?薬品開発をしてるのに?」



ルークの発言に暫しの間を置き、ターシャは記憶を遡る。

アマンダが言っていた生命科学の話。

その後、外国客の船が訪れていた時の事。

まさかそれらを通じて、まともを装っているというのか。

額に当てる手は、益々怒りに震える。




「ルーク!その指示は全部嘘なの!

話したでしょう?あなたの任務は、人を傷つける!

すぐ止めて!」



「ターシャ、どうしたんだ?」



ロンが彼女を宥めながら、2人に視線を往復させる。

ターシャは顔を険しくさせ、ロンを振り返った。



「聞いて、おじさん!

あそこは偽りの場所なの。

死んだ人をロボットにしてる。

お願い警察に連絡して!

あの罪人達を捕まえて!

あんな所、あってはならないわ!」




夫婦は彼女の急な話に困惑する。

エバは冗談だろうと耳を疑いながら、驚いた。




「随分な話だよ?

聞いた事無いねぇ、罪人だなんて。

あの場の貢献があって、助かってる人が居るのにかい?」




「死んだ人が?

怖い話は苦手なんだが…

そんな事有り得ないだろう?

治験は聞いた事あるが…何だ、解剖か何かの事か?」




「違う!

そうじゃなくて、体の中に機械を入れて、故人を都合よく動かしてる!

彼もその1人!

だから逃げて来たのよ!」




夫婦は顔を歪め、ルークを振り返った。

彼とは先程から普通に話しをしており、今も穏やかに座っている。

それとは逆に、非常に焦って必死になるターシャ。

その差が夫婦を余計に混乱させ、ターシャを不思議な目で見る。




ターシャは驚愕し、血の気が引くと声が出なくなった。

これではまるで、自分がおかしな人間の様だ。






 そこへ、ロンを呼ぶ声がした。

仲間の作業員が1人、適当に挨拶をしながら顔を出す。



「沿岸警備隊が来てる。

オーナーに会わせろって」



「おや丁度良いじゃないか!

ここへ来るよう頼んで貰えないかい?

この子が話したがってたところでね」



様々な活動をする島。

沿岸警備隊が立ち寄るのは毎月の事であり、それ以外でも顔を出す事は珍しくなかった。



「悪い、行って来る。

まぁ待ってろ。連れて来る」



ロンが仲間と足早に去ると、ターシャは目を丸くさせながら立ち上がり、入り口を飛び出した。






 こんな偶然があるのだろうか。

出て行った2人の背中が小さくなっていく所を見て、足が数歩、勝手に前に出て止まる。

見えなくなるまで眺める最中、少々安心した。




背後にある離れた建屋からは、明るく人を迎え入れるエバの声が小さく聞こえた。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] そっか。もう月日がそんなに…。 忙しかったのだね。 ごめん。 返信は要らん。 [気になる点] 体調崩していないか? しっかり者だからきっと僕と違ってちゃんとしているよね。 大海と繋…
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