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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#09. Saving 架け橋の島
112/189

[2]




 曲面ガラスの向こうでは、骨格とダミーの製造班が6人。

アンドロイド3体の脇に2人ずつ配置されている。

 剥がれた皮膚を交換し、器用に縫合されていく。

破損した骨格や眼球パーツの取り替えも、バックアップがある事でスムーズだった。

製造機の作動に伴い、一旦作業班は脇に捌ける。






 その手前の作業部屋では、レイシャとイーサンによる激しいタイプ音が鳴り響いていた。

その手にはどこか焦りがあり、瞬きすら忘れ、周りの音など聞こえていない。




 レイシャはまるでハッキングをする様に、真新しいコードを叩き込む。

それらは秒単位で数列走った。

向かいには新しい皮膚に覆われたレアールが、正面を向いて停止している。




 レイシャの真後ろの席では、イーサンがジェレクのメンテナンスをやっと終える頃。

背面を向いた球体鉄格子の隙間に、金属アームの先端が入る。

頸椎の既定の位置に、予備バッテリーが入れ直された。

焼却時の皮膚の損傷と、首折れに伴う頸椎のパーツ交換が主だった彼の修理は、至ってシンプルだった。

格子から両アームが離れ、縦に張り付いて収納される。




 イーサンがデスク下のペダルを踏んだ時、ジェレクの製造機は回転し、正面を向いた。

目の前の液晶に映る映像設計図を細かく回転させながら、修理箇所を確認する。

画面右横に立つ完成度ゲージは100%と元通り。




 次に、追加の任務プログラムの送信状況も、脇のコンピューターで確認する。

液晶内で自動的にコードが高速に上昇していた流れが止まり、コンプリート表示が出た。

それをクローズし、別の新たなコード入力画面を立ち上げる。




 イーサンは再び正面の製造機の大画面に向き直り、ジェレクのデータから別のRのデータに切り替える。

そして手元のキーボードの右上に位置する、丸く白い光を縁に灯すボタンを深々と押し込んだ。






 再起動の指示が電流音を放って鉄格子に向けて迸ると、ジェレクを覆っていた格子が徐々に開かれる。

同時に開胸していた部分は閉じ、配線は巻き取られ、彼は解放された。

音が鳴り止むと、彼は身を起こす。




 端で待機していた班の1人が別の新しい服を差し出すと、彼は無言で受け取り、颯爽と鉄格子から出た。

その後、入れ替わりで製造機に入ったのは、アマンダだった。






 そこへ、ヘンリーがイーサンに近付く。

集中していた彼はそれに驚き、椅子を大きく軋ませた。

突き出されていたのはUSBメモリー。



「そのまま貼っ付けろ…」



イーサンは、彼の顔とそれを2度見して受け取ると、ヘンリーは席ではなくガラスの向こうの部屋へ姿を消した。






 受け取ったそれを少々眺めてから、脇のコンピューターに挿し込む。

瞬時に表示された大量のコードや、ファイル分けされて保存されていた情報に目を疑った。

それは部分的に見て明らかになる。

内容は全て、保安官が行っていた技と判断の写しだった。

彼は直ぐ、それの送信準備に入る。






 イーサンの背後で再起動音がした。

レアールが上体を起こした時、レイシャは下顎に手を付き、彼女に微笑みかけてみる。

ガラス越しに目が合うと、レアールは口元だけで妖艶さを浮かべてみせた。

画面は閉ざされ、レイシャは颯爽と離席する。




 顔の皮膚を殆ど石畳に持って行かれたレアールだが、回収できた本人のものとダミー材料で何とか修繕が叶った。

顔面骨格全てを交換するには時間が無い為、口角だけ表現できるよう、新型骨格を部分的に取り付ける事に成功。

元々色気がある顔立ちの彼女。

口だけで充分、雰囲気を出せていた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] うん…一体一体がハードみたいなものだ。 これで出来ているのならば、やはりロボット域は超えられていないと、僕は思う。
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