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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#08. Reboot 脱出
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[19]




「放っておけないだけよ!

あいつらに使われてしまうから!

あそこは、貴方達の居場所じゃないもの…

それに、居てもらえば警察に話すのだって早いっ」




つい声を荒げた事で、また咽せ込んだ。

いつまでも薬の症状は治まらず、それにもずっと苛立っていた。




「仮に俺を突き出したとして、その後は、君が言った当然に沿って、俺を焼く?

ここにもし、アマンダが居たならば、彼女を君は焼く?」




「嫌な気持ちは拭えない…

2度目の別れになるもの…

そんな姿であれ…機械………

すぐに割り切れる訳ない…だけど...

そうするものなのは事実よ……

時間をかけて、警察や家族が決める事になるんだわ…」




あの家屋で見たアマンダの姿や素振りは、忘れられない。

鮮明に蘇る複雑な記憶に、ターシャは黙り込む。




「どんな判断が下るかは分からないが、時間がかかるならば、よくないな。

君の住む世界では未だ、俺やアマンダは維持できない。

組織の誰かが居ないと。

君達にできる事は無いよ。

技術を否定されるならば、また、せっかく起きたのに焼かれるならば、俺は嫌だよ。

まだ知らない事があるし、戻って彼等に話したい事もある。

君からは、涙も他の事も教わって、感謝するよ。

まだあるんなら、帰りながらでも聞けるしね」




「待って!貴方は何も分かってない!」




ハンドルを切ろうとする彼の手に、またもターシャは飛びつく。

彼は相変わらず、それに対して強引はしなかった。




「遠くは行かないって言ったろ?

開発を続ける為にも、逮捕される訳にはいかない。

まぁ、君は生きてるから実験対象にはならないよ。

予測するなら治験対象。

でも、彼等はそれすらしてない。

前代未聞のエラーだから、混乱してるんだ。

そんな中、拠点で設けられたルールの元、策を考えてるよ」




手がジワジワと痺れてくる。

策とは何なのか。

ターシャは怖くなった。




「にしても、存在してはならない人が、存在している。

その誕生を回避する為の策を、編み出す方がいいだろう。

誕生してからではなく、もっと前から手を打つ必要があった可能性が高い。

彼等のデータから、そう取れるな」




「データ…って…?」




「共通して言えるのは、体内も含め、身体に傷がある。

治療した跡なんかもある。

元々身を置いていた、君が住む世界で得た様だな。

生まれつきのものもある様だけど、解決されなかったみたいだな」




「だからって、こんな罪を犯すのは違うでしょ。

冷静じゃないわ。

そんな決断をする前に、話しだってできた筈。

周囲に家族や友達が居るんだし。

そこで解決が難しければ、相談ができる事業だってちゃんとある。

何でああなるのよ」




ターシャは分からなかった。

家族や仲間が周りに必ず居り、コミュニケーションを多く取って生きてきた。

すれ違いがあっても、乗り越えられた。

それは考えたり、誰かとじっくり話したり、落ち着く為の時間があったからであり、それは彼女にとって当たり前だった。






 また、家族や周囲環境に問題があっても、あらゆる社会的資源が揃う世の中である。

職場でも、社内カウンセラーが設けられている事は多くなっている。

その様に、打ち明ける場所は幾らでもあった筈だと彼女は考えていた。

数ある選択肢がありながら、それをしなかった拠点の者達を、どうしても理解できなかった。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[一言] コミュニケーションが取れる取れないは、あくまでも組織で上下力の差があったり、理解力が違ったからかも知れないね。 珈琲飲もう。
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