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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#08. Reboot 脱出
108/189

[18]




「悪党よ!

痛みや苦しみを生み出す最低最悪のね!

存在していちゃ危険だわ!

アマンダや貴方を…他にもまだ……酷いよ……」




「そう言えば、アマンダと会ったのか?」




「あの子を知ってるの?

連れて来たかったわ!でも戻ってられなくて…」




「拠点の情報は全部分かるよ。

彼女はウィリアムズ補佐官の起動だから、保安官になる予定で、アップデートがまだ必要」




「は!?」




保安官という言葉に耳を疑い、首を振る。

頭ではみるみる、レザー服を着ていた彼等が過った。




「冗談じゃないわ!」




堪らず叫ぶと、咳と頭痛が酷く襲う。

彼女が水を飲む光景を横に、ルークは続けた。




「彼女の試験起動は長い事続いてる。

元々部下である彼が起こす保安官だし、色々と考えてる様だな」




ターシャは、助手席の肘掛けに大きく項垂れた。

体が一気に熱くなると倦怠感が増し、眩む目を覆って黙る。

一方、ルークは首を傾げた。






「ところで。

悪魔ってのが悪党で、トップ達がそうだって事か?」




その言葉にターシャは激しく顔を上げ、彼に目を見開いた。

その言い方はまるで、奴等を何とも思っていない様だ。




「あいつらは、人を何とも思ってない!

考えがイかれてる!」




再び怒りの声を上げる彼女だが、ルークはその様子をじっと見つめ、数秒遠くを見てから切り出した。




「どうかな。

拠点内での関係が成立しているし、人を何とも思ってない事は無いだろう。

ああそうか、区別を付けたのか。

君の世界でもそうする様に、彼等もまた、自分達の居場所で君の世界に対し、そうしたんだ」




ターシャは眉を顰め、発言に引いていく。






 ルークは片手運転に切り替え、左肘を縁に置き、側頭部に凭れかかった。




「痛みや苦しみを生み出す事が最低最悪の悪党ならば、それも彼等に限っての事じゃないだろう。



 考えがイかれてる?という事が、分別を付けられなくて、酷く我が儘で、間違いだらけであると言う事ならば、同じ様な人間は、何も拠点に限らず存在しているだろう。

何らかの条件が揃う事で、そんな人間はこの先も生まれる可能性があると解析する」




発言の最中、ターシャの顔はみるみる歪んでいった。

彼は目の前に広がる景色に目を泳がせ、何かを読み取りながら流暢に話す。

その間、付いていた腕を外に出し、ボートのボディを指先で叩いていた。

そんな1つ1つの細かい動作が、益々人を思わせてならなかった。




「治験や人体実験をするみたいに、人は人を使って幾らでも実験をしてきた。

拠点でも昔、治験モニターをしていたみたいだな。



 この辺りで観測できるコンピューターの周波数、その質を読み取る限りだと、ロボットを使う事も、AIに頼る事も増えたんだな。

そうするのは、便利だからという思考だけではない、か。

高スペックを持った世界や姿に進化したり、製品開発をする事で、長く生き続ける為の術を考えている、か。

君は科学者じゃないし、その辺の考えについては訳が分からなくて、苛立つのも無理ないか」




調子が狂ってならないターシャを横に、彼はまた切り出す。




「で、ターシャ。

君は、アマンダや俺を、存在してると危険な悪党が作ったと思っていながら、自分の世界へ連れて来ようとしている。

それは結局、彼等の技術を受け入れてるのか?」




「違う!」




彼女は堪らず、反射的に肘掛けから体を跳ね上げた。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 君が今日も美しくて元気だ。 [気になる点] 早く読み進めても別れが切ない。 だが、何度読んでもきっと恋をするから、良しとしよう。 [一言] ルークの言っている事に僕は違和感は無かった。 彼…
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