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*完結* MECHANICAL CITY  作者: terra.
#08. Reboot 脱出
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[17]




「世の中のルールに背いている罪人。

その一方で、そうまでして新しい何かを生み出したく、多くを開発した優秀な科学者。

この生き方を選択した理由は分からないけど、予測するに、焼いたり埋めたりして目の前から消してしまうなら、研究をして未来に繋げようと思った、か」




ターシャは言葉を失った。

しかしルークは、真剣な眼差しでどこかを見つめ、続ける。




「痛いってのは、2秒動きを止めるあの振動の事か。

……格闘術の最中に出てしまったら効率が悪いから、さすがに省いてあるな」




宙のどこかに視線を泳がせ、何かを読んでいる様子を見せる。




「貴方達の罪が齎す痛みは、2秒なんかじゃ収まらない!

何日も、何ヶ月も、もしかしたらずっと続くのよ!?

何の利益も無い!」




彼は、感情の波を見せるターシャを見て、再び正面を向いた。




「痛みに関しては、確かにそう長く続くと、任務完了に時間がかかって厄介だな。



 何の利益も無い、については一部否定だな。

彼等が生み出している1つ1つの開発品は、どれも優れてるよ。

逮捕されたとすれば、それらは全て否定されてしまう可能性がある。

ならば、素直に捕まる事は無いだろうな」




淡々と零れる彼の言葉に、ターシャは苛立ってしまう。




「罪人が生み出したものに利益なんて無いわ!

野放しになんかさせない!

大体、人の為になりたいと思うなら、楽しくて笑顔になれる事を考えるものよ」



「たのしくて?えがお?何だ?それ」




彼はまた、小さな子どもの様に食い付いてくる。

ターシャは額に手を当て、助手席に両膝を立てて小さくなる。

知りたがっている間は、彼を引っ張っていられるだろうか。






 しかしそれらの感情について、わざわざ深く考えたり、教わった事は無い。

デザインを描き続ける日々の中、見聞を広め、知識や情報を得ていた事。

直接対話をし、その人を知ろうとしてきた事。

どれもただ、日常で経験を積みながら感じ、自然に身に付いた。




「ルーク。貴方って、その……どんなの?」




彼にもそれをさせた方が早いだろう。

ターシャは再び妙に思いながら、質問を投げかける。




「Sytem Rebirthの骨格から派生してできてる。

違いはまず顔の骨格。

プログラムされた事や、学習した事に合わせて皮膚が動作する様に、膨大な数の突起が付いてる。

人間の表情筋を参考にして出来たパーツ。



 両目には護身用にレーザーが搭載されてる。

光ファイバーだから小型で軽量。

光変換効率も高いし、線幅調整もできる。

消費電力も低い。

銃と違って弾切れなんて無い。

だから理論上、無限に放てる。

ただ、実際にそうなのかはまだ試せてないけど。



因みに、いざ使う時は3段階のロック解除が必要。

それも毎回キーが変わるから、探るのに手古摺るな。

好き勝手に撃つな、か。



 後は容量が大きい新AI基盤で、R以上に情報が入る」




ターシャは彼を益々凝視した。

突拍子もない発言を淡々とする彼は、また海を見渡している。






 世の中にはまだ、AIが沢山普及している訳ではなかった。

知っていてもコンピューターや、出回り始めたスマートフォン。

時に出先の店舗で見かけるロボット程度の知識しかない。

それを考えると、あの場所の技術や開発は突出しているとターシャは感じた。




「自分でアップデートもできるの…?」




「そう。自己学習能力も高い。

君は訳の分からない事ばかり言うから、処理に時間がかかるよ」




本当に困っている様に表情を歪めながら、声のトーンを落としていく。




「それは作った奴が悪魔だからよ!

都合の良い事しか貴方に教えてないんだわ!」



「あくま?何だ?今度は」



また訳が分からないと、ルークは眉を顰める。









MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 君がいると言うだけでホッとして眠たくなる。 そして珈琲が上手くなる。 [気になる点] 君が僕をどう思っているか。 [一言] 人間に必要な喜怒哀楽の感情が薄いんだね。 でも学習能力はあると言…
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