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*完結* MECHANICAL CITY  作者: Terra
#08. Reboot 脱出
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[12]




 ターシャはじっと彼を見ていると、咳が激しく襲い、震えがした。

彼はそんな彼女を見て近付き、様子をじっと観察する。

一体その冷静さは何なのだろうか。

這う視線がどうも擽ったく、勝手に身を縮めてしまう。



「パニックでも起こしてたか?

呼吸が何度も乱れてる。

よく脱水に耐えてるな。

それに怖いものでも見たか?

じゃなきゃそんな」



「言わないでっ!」



顔から下へ流れる様に目配せしながら発言する彼に、ターシャは声を上げた。

その途端、喉に痛みが走り、激しく咳き込む。

焼却現場に向かう辺りから、ずっと体調が妙だ。






 彼は、突如放たれた大声に目を見開き、ゆっくりと瞬きする。

その動作に彼女は益々顔を近付け、食い付いてしまった。

本当にアンドロイドなのだろうか。

見てきたそれらとは違い、口調もより一層滑らかで、表情変化も細かい。




 彼は首を傾げると、彼女に左手を差し出した。



「君の対処が未定になってる。

トップに確認した方が良いから、立って」



やはりとんでもない事を言うのか。

ターシャは一気に身を引き、激しく首を振った。

そしてよろめきながら、壁を支えに何とか立ち上がる。

前屈みの姿勢が楽な程、体は重く、胃の不快感をまた感じた。

だが、進まねばならない。



「行かない!ここから出る!

ここの事を世間に知らしめてやる!」



言い放つと、記憶を頼りに突き止めたガレージに向かって、不安定な足取りで駆けた。

彼女の姿が小さくなり、奥のガレージに続く扉に消える。

その光景に彼は目を鋭くさせ、足早に追った。






 灰色で、薄く排気の臭いが残るそこにはボートが揺れている。

その臭いに嗚咽を上げ、肌が粟立つ。

ゲートの開け方も操縦も、何も分からない。




 辺りを忙しなく見渡し、壁に視線を這わし続ける。




そこへ、分厚いキーボックスの様な物を見つけた。

咄嗟に飛び付き手を掛けるが、開かない。

苛立ってそれを引っ叩くと、その音に被さる様にドアが開いた。




 彼に追い付かれたターシャは、透かさず距離を取る。

不意に見つけた立て掛けられた担架を、勢いよく彼の足元に投げ飛ばした。




それは床を滑走し、彼の脛に衝突。

その時、彼は数秒そこを見下ろしてから目を強く瞑り、肩を窄め、2歩引いた。

表情は戻ると、ターシャに先程の鋭い目を向ける。



「君は決定を受ける必要がある。

ここに居ても分からないだろう?」



その発言の最中も、かなり真剣な顔をしていた。

ターシャは零れる咳を必死に抑えながら、睨み返す。



「ここに居たら死ぬっ!

見つかる前に絶対出てやるっ!

あんたの言う事なんか聞かないっ!」



それを聞きながら、彼は呑気に飛んできた担架を端に寄せている。



「死ぬ?死にはしないよ。

それより何でだ?

君は運転できないだろう?無茶だな」



ターシャは首だけで否定した。

これまで何度も死にかけていると言うのに、信じられるものか。




だが、彼の表現も行動も気がかりである。

放たれた疑問は、眉を顰めながら零していた。

連れられる事は恐怖でしかない。

だが、先程差し出された手や態度からも、凶暴さを感じない。

抵抗する言葉すら、冷静に聞いて返答してくる。

何より口調が優しく、自然に落ち着いてしまうせいで、思考が巡り始めた。

そして



「あ…貴方もっ!

貴方もここに居ちゃいけないっ!」



口は勝手に動いた。



「こんな所に居ちゃダメ!

一緒に出るのよ!お願い、運転して!」



ターシャは真っ直ぐ彼を見つめる。

こんな事を言うつもりは、毛頭無かった。

なのに説得しようとしてしまう。

それは、今でも何も言わず冷静に立ち、じっと目を見て聞き続ける彼だからだ。










MECHANICAL CITY


本作連載終了(11/29完結予定)後、本コーナーにて作者後書きをします。

また、SNSにて次回連載作品の発表を致します。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 君が毎日可愛いと言う点 [気になる点] 頑張り屋さんだから、時々心配しちゃうな。 [一言] ターシャの喉が気になるなぁ。 先ずは水を飲ませるなり、うがいをさせようと言う優しい奴はおらんのか…
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