ライラの手紙・3
拝啓 ハリソン・ミラ・ウリザーグ様。
百通千通で駄目なら、一万通を送りつけるまでですわ。
で、言いたいことはそれだけですか?
わたくしの性格が他の人よりも少々勝ち気なことくらい、あなた様ならわかっていたことでしょう?
それから、領民たちからの嘆願書がいくつも届いているというのであれば、その嘆願書、わたくしと父に見せてくださいまし。
まあどうせ、「追放された貴族に見せる義理はない」とか何とか言ってごまかすつもりなのでしょうけど、その場合こちらは嘆願書などこの世には存在しなかったと判断しますので、どうか悪しからず。
そもそもの話、ウリザーグ王族の方々が圧政云々と言ってくること自体、ヘソでお紅茶が沸く話ですわ。
ウリザーグ王国の圧制に耐えかねて、民衆の間で革命の機運が高まっているという噂、隣国にいるわたくしたちの耳にも届いていますわよ。
圧政を理由にクライン家を国外追放したあなた方が、どう民衆を鎮めるつもりなのか高いところから見物させていだきますわ。
ですがまあ、万が一本当に革命が起きて、あなた様まで国外追放の憂き目に遭った場合は、わたくしたちのところに来なさい。
惨めったらしく逃げてきたあなた様のことを、笑い倒して差し上げますから。
ライラ・クラインより。