捷一号作戦
マリアナ沖海戦に敗れ、絶対国防圏すら守れないことが確実になった時期に、軍令部と連合艦隊が考案した捷号作戦、それは戦いに勝つという意味をもつ「捷」の字を使用していることからも、ほぼ敗戦が決まった中で、勝機をつかむ決戦であったことを象徴している。
空母4隻、戦艦9隻を始めとした連合艦隊の残存戦力全てを出しており、戦力面からみても日米海軍の最終決戦であった。
まあ連合国軍の戦力は日本軍の二倍以上あるわけだが……
航空隊のない空母4隻は囮に使われ、航空援護のない艦隊で制空権を完全に奪われている艦隊を突破させる。さらに艦隊を分離させて無線封鎖した状態で合流するという作戦だ。
作戦が成功すれば補給部隊が壊滅し、フィリピン、レイテ島にいる米軍は包囲出来るかもしれないが、これが成功すると考えている参謀は、本当にいるのだろうか。
トラックやラバウルといった大戦前半に使用された大規模泊地は既に攻略されているか包囲されており、最後に残った数少ない大泊地の一つであるブルネイに、捷一号作戦の主力かつ日本海軍最後の主力である第一遊撃部隊が今、集結していた。
世界最大の戦艦である大和、武蔵そしてビック7の一角をなす長門 この三隻が第一戦隊として共に行動し、他にも高雄型四隻による第四戦隊、華の二水戦などからなる第一遊撃部隊を見ることが出来るのは、元ミリオタとしては歓喜して涙を流す場面だろう。
だが、そんな感情ももうすでにない。この地獄の大戦を、ここで終わらせなければならないのだ。
出港ラッパが鳴り、出航用意の合図が出る。
愛宕の艦橋にいる、栗田中将を始めとした第一遊撃部隊を指揮する司令部の面々を見渡し、覚悟を決める。ミッドウェーの時のようにあとはもうない。
全てが上手くいかないと成功しない作戦ならば、全てを上手くいかせればいい。
ここで、レイテで終わらすのだ。
この美しき全艦隊と刺し違えてでも。




