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皇国の海軍将校  作者: Tatsu
間章
21/27

有村少佐

昭和十九年夏

起死回生を図ったマリアナ沖海戦にも敗れ、日本の敗戦がほぼ決定的になった頃、軍令部は最後の反撃作戦を構想していた。

軍令部に配属されているようなエリート街道を進んでいる高級将校たちのほとんどは既にいかに勝つかではなく、いかに良い状態で負けるか。それだけを考えていたであろう。そんな参謀たちが最後に勝利を願い立案した作戦のように思う。

この作戦の主力は、真珠湾、マレー沖で帝国海軍が時代遅れの烙印を押したはずの戦艦であり、制空権を奪われている海域を突破して輸送部隊を撃滅する。囮がうまく機能し、全てが作戦通りにいかなければ成功しない、そんな作戦だ。

ただ、逆に言えば全てが上手くいきさえすれば、成功するということだ。


十年前時点で航空戦力の有用性を認識しており、二航戦の参謀にまでなった、あの人があの海戦後に何故新一航戦などではなく、柱島で浮かんでいるだけの第一艦隊の参謀になったのか。

単に海戦に負けた帝国海軍に失望した訳ではなく、何か意味があってそこを志望したようにも思う。

有り得ないことだが、まるでこの作戦を二年前の時点で知っていたかのではないか、この作戦の主力部隊となると分かっていてそこを選んだのか、そう思ってしまう。

私の妄想でしか過ぎない。だけど、もしその妄想があたっていたならば……ソロモンでも、南太平洋でも、アリューシャンでも、マリアナでもなく、ここを選んだのは何故か、ここで何をしようとしているのか、見てみたい。



                    異動届

   軍令部第一部第一課所属 海軍少佐 有村夏帆


   異動先 第二艦隊司令部


有村さんの名前夏帆だったんですね(作者?)

次話から最終章入ります


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