転生1回目その6
さて俺が何で『神剣の騎士』と言われているかだが。答えは単純で教会にあった神剣に触ったからだ。俺が10歳の頃に王都にある教会に行って、神剣を握る事が出来る人かを調べられた。神剣が握る人が現れれば教会は権力が強まるし、信者も増えるだろうって考えていただろう。
んで実際に神剣を見た時にすぐに前世で使っていた呪剣があったから、何で自分が使っていた武器があんなところにあるんだよ。そう考えていたらまさかの女神から声をかけられて、サッサ取りに行けと言われて列を乱して勝手に神剣の所まで行って、勝手に握ったら普通に持てた。そこからが面倒くさい事が起きた。勧誘が殺到するわシスターを差し向けて来るわ、神として崇めてくれる奴もいるわ誘拐して教会で教育しようとする奴もいるわで。とにかく面倒ばかりだった。だから俺は神剣を使って脅して自由になった。信者を皆殺しにするぞって言ったら、簡単に諦めてくれたから良かったよ。触らぬ神に祟りなしってやつか。
何でこんな事を思っているかと言うと、魔物は現れて鞘から剣を抜いたらたまたま神剣だったって話だ。それを見た先輩たちが急いで魔物を殺し始めたな・・・。
「あのー先輩方。私の出番は?」
「リシャールさんは周りの警戒をして頂ければ大丈夫です。何か魔物がいたらすぐに報告を」
そう言って先輩方はすぐに他の魔物を殺しに行く。
「・・・なぁマリナ先輩、何で先輩たちはあんな負い目を感じているんだ」
「負い目も感じますよ。常に危険な魔物はリシャールが戦って、わたしたちは何も出来ない状態でただ見ているだけすからね。これを負い目を感じないでどうしろと言うの?」
「ちゃんと自分たちが負い目を感じているだけでも良いと思うけど。中には全く気にしない人もいるからな。例えば団長とか総団長とか国王とか」
「やけに限定的と言いたいのですが事実なので言い返せませんね。とにかくその神剣を鞘に戻してなさい。まだ使って無いから倒れないでしょ」
「何か少しづつ敬語が砕けて来てるなぁ。俺はもう完全に砕け散ってるけど」
「襲って正解でしたね」
「衛兵に突き出す準備をいつでも出来てるぞ」
「冗談が過ぎますよ。無駄口言ってないで警戒をしましょう」
俺たちは周りの警戒をする。数が少ない魔物がいれば俺が殺そうとしようとすると、マリナ先輩が先に攻撃をして殺す。
「どうあっても俺を戦わせたくないんだな。腕が鈍りそうだ」
「鈍りませんよ。リシャールはとにかく魔物が何処から出てくるかを教えてください」
「何でだよ・・・。普通の剣にするから戦っても良いだろ」
「駄目ですよ。貴方が戦うとわたし達に負い目が蓄積して、生きづらくなってくるのですよ。お願いだからわたし達を戦わせて・・・」
「あ・・・はい・・・」
マリナ先輩は魔物と戦い他の先輩達も戦う。俺は周辺の警戒をしながら、こっちに来る魔物を伝える。
「――――――こっちにカラミティスライムが来るぞ」
「「「「「クソったれめ!!」」」」」
何故クソったれめって言われるのか。カラミティスライムは普通のスライムと違い、増殖が早く少し放置するだけで100は増殖している。過去にカラミティスライムが増殖し過ぎて、王都が滅びかけた話がある。だから厄災、カラミティスライムって言われている。見つけたら最優先で殺さなければならない。
と言っても先輩たちだから即殺せるだろう。ただ増殖が早いだけでスライムよりちょっと強いってだけだからな。だからと言って斬っても魔法打っても核以外は無傷だし、核が無事ならすぐに再生するから厄介なのには変りなく、増殖が早いから数の暴力で勝ってしまう。マジで戦うのが嫌になる・・・。
そう思っていたらカラミティスライムは殺されていた。どうやら核を引っこ抜いたいたようだ。
よく引っこ抜いたな。素手でスライムに突っ込むと溶けるんだよなぁ。例え金属だろうと皮膚だろうと。幸いなのは溶けるのに時間がかかるって事だな。時間がかかるって解っていても怖いよな。俺は素手で突っ込んで引き抜くけど。さて警戒警戒っと。
俺はまた警戒をして魔物が近くにいたら先輩たちに教える。
時間が経って夜になる。第13騎士団と第9騎士団は休憩の為に一度野営地に戻る。戻ると第12と第9が先に戻って来ていた。第12と第13はお互い持っている情報を交換して、終われば食事を食べる。俺たちも食事を食べる。
「何でわざわざ隣で食べるんだよ。お前がここにいると残りの5人が集まって来るだろうか・・・。周りから奇抜な目と嫉妬の目で見られるんだが」
「良いのでは? 中々味わえいない事ですよ。今この瞬間を味わったら?」
「無茶な事な言い出したぞコイツ。6対1でも無理なのに更に周りから見られる目で精神のダメージが凄い。そして5人からは微笑ましい目で見るくる・・・」
「既にもう話してますからね。皆祝ってくれましたよ」
「祝うな。こっちは地獄以上のどん底に叩き落とされた気分だぞ」
「・・・そうまだ足りないと」
「調子に乗ってすみませんでした。この幸せを嚙み締めます・・・」
「よろしい」
俺は怯えながら晩御飯を食べてる。食べ終わったら片付けて交代制で見張りをする。俺の番の時に魔物が現れて普通の剣を使って、出て来た魔物を片っ端から殺して行くと朝になっていた。すぐに死体を解体して必要なものだけ回収する。
「―――リシャール、わたしが言いたい事が分かりますか?」
「えぇっと、感謝?」
「何故魔物が襲撃してきたのに起こさなかったのですか? 他の見張りに任せて起こしに来たらどうです?」
「何で怒られるの!? 俺は疲れているだろうと思って気を遣って起こさないで、俺1人で始末しておいたのに何で怒られてるの!?」
「余計な気遣いですよ。これ以上負い目と罪悪感を背負わせないでっ!」
「それじゃあ俺がお荷物になるじゃないか。お荷物になるくらいなら帰るよ!」
「帰すとでも? リシャールがいないといざって時に対応が遅れます。理解したらな貴方は戦闘以外に集中してください」
アリナ先輩に理不尽に説教された後死体の処理に行く。処理が終わったら朝ご飯を食べて今日の調査をする。
それから2日後。事態は急変した。
「まさか調査中にスタンピードが起きるとはな。左からも来るぞ、右からも来るぞ」
俺は指示を出しながら後ろに下がりつつ魔物を殺して行く。今は他の騎士団と合流をする。
既に足の速い騎士に帰らせて総団長に報告しに行っている。こっちは援軍を待ちながら魔物進行を食い止める。嫌な役だけどやらないとこっちが危なくなる。危なくなると分かっているのに、今でも戦う許可が得られないんだけど。1人でも手が欲しいだろう!
「上空からも魔物が来た! これは流石に―――」
俺が攻撃しようとすると既に他の騎士が攻撃をしていた。
「早いよ! そこまでして戦わせたくないか!」
特に反応は無いが雰囲気で戦わせたくない事が分かる。後ろに下がりつつ野営地に戻る。野営地にはまだ誰もいなく俺たちだけで防衛をする。
「おいジェネラルオークが5体も出たぞ!」
「出番だリシャール!」
俺はすぐに剣を抜いてジェネラルオークに向かって斬り殺す。
「瞬殺かよ。神剣を使わないであの強さは可笑しいだろ」
「神剣を使える人だからこれくらいどうって事無いんだろ」
それは前世で戦いの経験があったから戦えただけで、何も経験が無ければ先輩方と同じレベルか少し劣るかですよ。
ジェネラルオークの取り巻きが現れて、俺は取り巻きを片っ端から斬り殺し、残っている魔物も殺して行く。殺し終わったら先輩たちの所に戻る。
「終わりましたよ。この辺りは一時的に安全になりましたね」
「貴方1人で・・・。いえ今回は無理があったので助かりました。ありがとうございます」
「本来は俺も戦うはずだったんだけど、どう言う訳か先輩たちが変な意地を張って、俺を戦わせなかったのが悪いんじゃないか?」
「反論が出来ませんね・・・。とりあえず休憩をしましょう。休憩してから団長達を援護に行きます」
「俺だけ行っちゃ駄目か? まだ動けるけど」
俺がそう言うと先輩たちが話し合いを始める。話し合いはすぐに終わってマリナ先輩がこっちを見る。
「10分です。10分以内に団長達と合流で来たら野営地にまで戻って来てください。10分過ぎたら一度戻って来ること」
「了解」
俺はすぐに移動して団長たちを探しに行く。