転生1回目その1
あぁやっと終わるんだ。怖く苦しく痛い戦いからやっと解放されるんだ。思えば今まで普通の生活して無かったな。学校に行って友達と馬鹿騒ぎをして勉強して恋愛とかしてさぁ、とにかく青春したかったけど結局叶う事は無かったなぁ・・・。
でもこれからは出来るだろう。記憶は無いだろうけど来世は―――。
「来世も戦ってもらいまぁ~す。貴方に拒否権はありませぇ~ん」
「は!?」
この場所には自分以外いないと思っていたら、目の前に知らない女性がいる。しかも現代の服では考えられ服を着ている。
「誰だ?」
「わたしが誰だろうとどうでもいいですから、説明しますよ。チュートリアルクリアおめでとうございます。これから貴方はわたしが管理している星に転生してもらって、死んでは転生して死んでは転生を繰り返してもらいます。記憶や能力と言ったものは引き継がせますし、貴方が使っていた武器を強化したり弱体したりします」
「き、記憶を持って転生、しかも能力も引き継ぐだって? ふざけるなよおい。何で俺がそんな事をしないといけないんだよ!?」
「わたしが決めました貴方が生まれる前に勝手に決めましたぁ~。だってそう言う地球の神と契約を交わしましたからねぇ。貴方に拒否権はありませぇ~ん。諦めて大人しくわたしの玩具になってくださいねぇ」
「断る! 誰がお前みたいな頭の可笑しいイカレタ女の面白可笑しい慰め操り戦闘人形玩具になるもんか!」
「わぁそこまで言って無いに何かとんでもない事を言ってくるぅ。女神相手によくそこまで言えますねぇ。まぁ確かに戦闘玩具は中らずと雖も遠からずですね。とりあえずもう時間が無いのですぐに送りますね」
「待てゴラァ! まだ話は―――」
俺は足からボロボロになり、やがて身体全体がボロボロになって行く。
それから15年後。鈴谷浩之こと俺はよく分からん男爵貴族の五男に生まれて、色々あって騎士になったリシャールだ。
・・・マジで何で戦ってるんだ? 辞職を言い出すと根回しされてるんじゃないかって思うほど、辞職されてくれなかった。何でだよ。俺以外に強い奴がいるだろ。例えば四天王とか三大剣聖とか槍の二人衆とか大賢者とかさぁ。アイツらに仕事を割り振れよ、アイツらの案件だぞ。騎士養成学園卒業したての俺に振り分ける仕事じゃねぇよ。それもこれも騎士団の中で最も入団したくない騎士団『中央突撃機動騎士団』に入団したせいだ・・・。言葉通り突撃機動騎士団だけど、これがまぁキツイんだわ。何せ敵の中央に向かって馬を走らせて、荒らして混乱させるのが俺たちの仕事だぜ。そして死者が多い騎士団だ。そりゃ敵の中央に突撃をして荒らすんだから、当然殺されるリスクが高い。最近は俺が入団したせいか死者は減っているけどな。
何でまともな所に入団させてくれねぇんだよ。王国近衛騎士団に入団させてくれよ・・・。あのクソったれ女神は嫌でも戦わせたいのはよぉく解ったが、もう少しマシな戦場に向かわせてくれませんかね? こんなゾンビ共が蔓延っている所じゃ無くってよぉ。
俺は立ち上がって下りて、座っていたところを見る。
数いるゾンビの中でコイツはドラゴンゾンビだ。コイツを殺すのには苦労したが、無事殺す事は出来た。死んでいる奴を殺すって意味わかんないけど。因みにこのドラゴンゾンビには魔石があって、この魔石を壊すか抜くかで殺す事が出来る。俺は魔石を抜いて殺している。抜き取れば売る事が出来るかならな。
にしても遅いな浄化隊共。何でこんなに遅いんだよ、そんなに時間がかかるような場所かおい。いつまで待たせるんだよ。
「―――おいリシャール! その場所は危ないから早くこっちに来いって!」
俺は後ろに振り向くと騎士先輩のダミランがいた。俺はダミランの所に行くと浄化隊の隊員に浄化魔法で浄化される。
「お前は何で戦い終わったらその場所から離れようとしないんだ!? 危ないだろ!」
「危なくない危なくない。どうせもう動ないんだから」
「瘴気だよ瘴気! あの場所で留まっていると瘴気に汚染されて死ぬだろ!」
「あぁ瘴気ね瘴気。すっかり忘れてたな」
「忘れるな! 何でお前はそう自分の身体をいたわらないんだよ・・・」
どうせ労わっても次の人生に転生するだけだからな。労わろうとなかろうと転生は確定してるからな。
俺たちは移動して野営地に着く。報告をする為に団長の所に行って報告をして、終わったら空いているテントに移動してベッドに横になる。
「「・・・ベッドかてぇ」」
「仕方がないんだよな。ここは安全な場所じゃ無いし物資だって限られているんだ。贅沢なんて言える訳がない」
「嫌になるよなぁ。俺なんかしたらマジで不満の塊だぞ。だって俺だけであのゾンビの群れを片付けたんぞ。もっと良いベッドを使わせてもらっても良いだろ」
「物資を運ぶ奴の事を考えてくれよ。収納魔法だって限りがあるんだよ」
「収納魔法があるだけでかなり楽だろ。まだ余分に入りそうだからパンパンになるまで、物資を入れやがれって話だ」
「無茶苦茶な事を言うよなお前って。それよりリシャール、お前1週間休み貰えるってよ」
「マジで!! やったこれで少しは英気養える! しかし1週間も休みを貰えるって、何があったんだ?」
「今まで功績を見てこれだけの休暇をやろうって話だよ。給料もかなり良いみたいだぜ」
「おぉ給料もいいなら家を買えるかなぁ。いつまで実家にいる訳にいかないからなぁ」
「確か長男や次男の方はもう結婚してたんだっけ?」
「そう結婚していて長男であるエリック兄さんは家督を継いでるし、次男は他の所に嫁いでいるな。他の2人は知らないな。王城勤めなのは知っているが会わないな」
「会わないんだ。所でリシャールは婚約者とかいるのか」
「いる訳な無いだろ。なに馬鹿みたいな事を言っているんだ?」
「いないのかよ!? はぁー何でお前みたいな奴に婚約者がいないんだよ。今のお前は王国屈指の騎士なんだぜ。貴族や大商会から令嬢を婚約者にしようとしてるんだぜ。声をかけられてないのか?」
「・・・あぁそういう話は来てたな。でも全部団長が門払いしたって言ったぞ」
「それ絶対に嫉妬して阻止してたんだろ。あのおっさんはモテなくて恋人とか見てると嫉妬が凄いんだよ」
「あぁアレは凄いよな。人を殺気だけで殺そうとする勢いだよな。あんな顔をするから女性から怖がられるんだよ」
「本当だよなぁ~。なぁあの剣使ったのか?」
「あの呪われた剣の事か?」
「神剣だろ!!」
「呪いだよ呪い。あの剣で殺したら寿命が延びるって、どうなってるんだよ」
「良いよなぁ~。止めを刺しただけで寿命が延びるって言うのは。しかも肉体は18歳になったら止まるんだろ。羨ましい」
「代りに鞘に戻したときに疲労が5倍になってぶっ倒れるけどな。隣に仲間が絶対にいる条件じゃないと使えないぜ」
「それを抜きにしてもやっぱり強いよなぁ~。リシャール専用だけどな」
実際は弱体している所があるんだよ。前世ではあの剣で殺して行くと寿命が縮むが、代りに凄まじい切れ味と破壊力を持っていた。お陰で大体の敵は殺す事は出来けど、俺の寿命が縮んで最後は死んだけどな。
神剣と言われている理由は・・・。まぁいつかね。
「所で王族から何か言われてないのか?」
「何も。特にこれっと言って何も言ってこないけど」
「マジか。いやリシャールなら王族から、何かしら声がかかると思ったんだけどな。何も無いのか」
「王族の方は不干渉をでもしたいんじゃないか、ヘタに俺の機嫌を損ねると殺されると思っているんだろ」
「お前はそんな事をするのか?」
「あまりにも理不尽であまりに憎むような事があったら、な。俺は聖人君主でも無ければ聖者じゃないからな」
「だよなー。さて俺は護衛の方に行くぜ」
「しっかり護衛に励めよ。ゾンビの群れと戦う事が出来なかった腰抜け」
「酷い事を言うなぁ・・・。事実だけどさぁ」
ダミランはテントからでて浄化隊の護衛に向かう。俺は疲れを取るために仮眠をとる。