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『支配的客観者の、憂鬱思想について』㈡
㈡
人間は支配的になっては終わりだと考えることがある。それは、少なくとも自分の人生は自由で居たいと思うからだ。毎日誰かに規定されると、当たり前だが不自由だ。
人間はしかし、人を支配したがる動物だとも言える。正確には、支配したがる種類の人間がいるというべきか。その支配者は、しかし支配できるのだから、自分は自由だろう。
すると、支配的客観者が、もっとも自由な立場にいると考えられる。それは、批評家である。批評家は、自分をさておき、人を批評して、自由で居たがるからだ。