4/4
はじまり4
「あっ、ハルくん来た」
部屋に戻ると、下着姿の姉が鏡台の前でメイクをしながら、風と火、二属性の精霊を使い暖風を起こし、サクラの髪を乾かす手伝いをしていた。
ー やっぱ着替えるだけじゃ無かったか
これがハルの本心だったが、これも言葉にすることはない。
「精霊ってそんな使い方してもいいの」
「この子たちが嫌だって言ったら私もやってもらわないよー」
ー そうですよね
心の中で呟いたハルは、部屋の角に置かれた机から椅子を引き出し腰を下ろした。
特にやることもなく、精霊がサクラの髪型をセットする様をぼんやりと見つめる。
何分ほど眺めていたのだろうか、しばらくするとサクラは視線をこちらに向けた。
「ハルくんもやってあげよっか?」
「遠慮しておきます」
「えー、意外とかわいいかもよ?」
「遠慮しておきます!」
「ちぇー」と不満を漏らしつつ、椅子から立ち上がる。
「それじゃー行こっか!」
精霊たちによって整えられた髪。
薄くだが施されたメイクは、巷でかわいいと噂の姉をさらに際立たせる。
「ちゃんと服は着ろよ、変態」
「うへっ!!?」
ハルは立ち上がり、部屋の外へ出た。