やったれ一ノ瀬ちゃん!
次の日、俺らのクラスはそこそこの繁盛を見せた。俺の料理も評判になっていた。特にアテナロリメイドを目当てに来る人が多かった。ケチャップで文字を書けだの、ご主人様と言えだの散々だ。俺の神に、俺のメイドに、あいつら絶対神の力で報復してやる。と、そんな時
「料理長〜、卵きれた!」大丈夫だ手は打ってある。
「アテナ様ひとつよろしく」神の力をこんな事に使うなんてと思うかもしれないがアテナに卵を生み出してもらったのだ。
「さて一段落したか?」「違いますよ!ほかの店に人が流れてるんです。」なんて事だロリメイドに人気が無くなったから?
これは早めに対策しなくては。しかし具体的には何をする?スイーツでも作るか?スイーツ?それだ!
簡単に作れる王道のホットケーキなどがいいだろう。ドリンクとセットにする事で少しは変わってくるだろう。
早速とりかかろう、とその時外がやけに騒がしかった。何故こうも面倒事が起こるのだ。窓から覗くと外で明らかにヤバそうなやつがいた。
「あれの取り巻きの大人しそうなやつ。あれがゼウス&ポセイドンの力を得たリナヒよ」
「は?」
なら話は早い。あいつだけ残して残りの人間をけし…じゃなくて、転送しよう。
俺は教室から転送魔法を放った。周りの人間は唖然としている。早速そいつの元へ行き事情を話すと素直に応じてくれた。
「君を呼んだわけは分かるね?」「いえ、僕なんかがなんで…。」「分からないのなら教えてやろう、お前はゼウス&ポセイドンの力を持ってるだろ?」「その力を貸してほしいんだ」
まだ特訓もろくに出来ていない。だがここで逃す訳には行かない!
「ゼウス?なんですって?すいませんが本当に分からないんです」
(って言ってますけどアテナさん)
(間違えなくあの子は力を持ってる)
(適当に挑発してみなさいよ。神は自分の主が責められてたりするのが気に入らなくて出てくることもあるんだから)
お前おれが責められてても出てこないだろ?
「おい!さっさと吐けよ!力持ってるだろ?リナヒだろ?」「だから知りませんって!もう帰してください。」「……」「あーもー!分かったよ!お前が力貸してくれりゃバゴ達を全滅する目標に一歩近づくんだがなぁ」とその時、今まではアニメ展開を望んでいたが、望んでない。ましてや一番望んではいけない時にそれはやってきた。
「バゴ達を全滅?すっすっ、素晴らしいじゃねぇ〜〜かよ!」「お前分かってるよ!わかってる奴だよお前は!バゴ達のやられて悶えてる姿!助けてと願うあの感覚!堪んねぇよな!」
いや知らねぇよ。ただやっと本性が出てきてくれたのは助かった。だがこいつはとんでもないサイコだ。扱いを間違えれば即死!慎重にいこう。
「やっとお出ましか、ゼウス&ポセイドン、俺はアテナの力を得たリナヒだ。よろしく」
「なんだ?礼儀正しいな。儂はうぬが気に入ったぞ!」
と、ゼウス
「アテナ様の力を持ってるなんて幸運ね?」
と、ポセイドン
「よろしく頼むぜ相棒」
これで仲間と言っていいのだろうか?特訓をこっそりやっていた一ノ瀬に申し訳ない。
「俺と勝負して欲しい。こんな形で仲間になるのではなく!正々堂々と闘って仲間なってもらいたい!」「おもしれぇな!それでこそだぜ相棒」「ルールは俺とバゴ達を全滅するために協力してくれるか、だ。お前にもやりたい事があったりして自由したいだろ?自由にやってもらって構わない。だがいざという時共に闘うというルールだ」「ん〜まぁ常に自由はしてたいけど俺が負けたらこの学校に転校して常に居れるようにしてもいいぜ」
願ったり叶ったりだ
「それでいい」「ただしだぜ?お前が負けたら連れてくるつもりの奴の命はない」
こいつ!まだそんな話もしてないのに何故!?
「まさか分かってるとはな。少し時間をくれ、そいつとも話し合いをしたい。さらに今は文化祭中だ、怪我をするわけにはいかない」「いいよ、それじゃ明後日また来るよ」
奴はそい言い残すと帰って行った。こうして一日目の文化祭は終了した。
俺は急いで一ノ瀬に会いにいった。
「一ノ瀬!一ノ瀬は居るか!」「キャッ、何よいきなり大声で人の名を呼んで!」「一ノ瀬、話がある」
「なるほどね、事情は理解した。闘うに決まってるでしょ?」「だがお前の命が!」「大丈夫、いざとなったら守ってもらうから」
それは俺に対するお願いなのだろうか。俺には分からない。
2日目俺はアテナと仕事を投げ出し一ノ瀬を無理やり連行し、いつも通り結界を張り特訓を一日中行った。一ノ瀬の本当の力を見ることは出来なかったがお互い力が上がったのは確かに感じられた。だが奴には届いていないのもお互い分かっていた。
3日目
「答えは出たみたいだね?相棒?」
「お前を仲間にして一ノ瀬の命を守る!」
「それじゃ始めようか!」
「ゼウス!ポセイドン!やっちゃいな!」
あいつは俺と違う。俺は神の力を直接体内に持ってくることで人間以上、神と互角に渡り合える力を得る。対してあいつは神が強いだけであいつ自体はただの人間だ。それは手を握っただけで分かる。一ノ瀬もあいつも、握手をした時握る力が普通の握力だったからだ。
先手はやはりポセイドンの海水。次にゼウスの雷。俺はその雷をダイレクトに受けた。何度も何度も
「何してるの!早く回復しなさいよ!」
「バカだねぇ!仲間の言う通り死んじゃうよ!」
「死ぬのポセイドンだぜ?」
俺が雷をダイレクトに受けたのには理由がある。体内に吸収結界を張りそこにエネルギーを溜め込んだのだ。
俺はスピード魔法を自分に放ちポセイドンの体に溜め込んだゼウスの雷を流し込んだ。
ポセイドンはまだ動ける様子だったが死ぬのは時間の問題だろう。俺はポセイドンに向かって咄嗟に思いついた特殊結界を張った。ゼウスは雷でその結界を解こうとしたがポセイドンが苦しんでいる。
そう、この結界は雷を吸収する事で強くなり、更に結界の中に入っているものを苦しめる効果があった。先程の攻撃で完全に気絶してしまった。
残るはゼウスのみ!
ゼウスは雷剣を造りだした。
「ポセイドンが!ゼウス殺せ殺せ殺せ!」
その雷剣が振りかざされた時
キンッ!
一ノ瀬の登場だ。一ノ瀬は木刀に力注ぎ
その雷剣を弾いた。一ノ瀬の本当の力のお披露目だ。
一ノ瀬は自分に賭けを放った
「この賭けに勝ったらゼウスなんか簡単に倒せるぐらい強い木刀になる!このコイン次は表か裏か…裏よ!」
結果は裏!
木刀が俺にも分かるぐらいの力が溢れてる。これにはアテナも口を開けている。
これが!これが一ノ瀬の本当の力!
「バカな!ゼウスが負けるわけない!」
「一ノ瀬やるぞ!」「うん!」「お前の負けた原因はいくつもある。だが!だがな!一番の原因は神を道具として思ってないのと、俺の、俺の大切な仲間の命を奪おうとした事だ!」
一ノ瀬の力溢れる木刀と俺の最大火力の拳がゼウスを貫いた
「ハァハァハァハァ…やった!やったぞ一ノ瀬!」
「まだだ!まだ俺がいる!」
子供のような弱々しい拳が飛んできた
俺はそれを受け止めた。こいつの感情が流れてきた。
「フッ、お前も苦労してるんだな」
そのまま倒れてしまった。
こうして3日に及ぶ文化祭は終わったのだ。
次の日……
「瑆桐高校から転校して来た宮島成哉です。よろしくお願いします」
こうして二人目の仲間を手にすることが出来た。残り四人との出会いはどんな形なんだろうか。