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一章 3話

反省しか口にできないため割愛。

俺が目の前の亡骸を茫然と見つめていると、誰かが俺の肩を叩く。


「ねぇ」

「…………」

「おーい?」

「…………」

「ねぇってば!」


ギュウッ


「あいたぁッ!!」


なんだなんだ、誰だ俺の傷口抓った馬鹿野郎は!?

一発ぶん殴ってやろうとそいつがいるであろう場所を見る。


「ふぅ、大丈夫そうね、良かった!」


美少女がいた。そう形容する以外に言葉が見つからない。それぐらいにその人物の容姿は整っていた。


「じゃあ、はい、これ飲んで?」

「う、あ、ああ」


見惚れたまま促されるがままに彼女から手渡された小瓶を手に取る。その瓶には澄んだ青色の液体が入っていた。それを俺は恐る恐る飲む。


シュウシュウシュウ…


体内外からそんな音が聞こえた気がした。俺は音のしたあたりを思わず見た。体の傷の周りを先程の小瓶の中の液体と同じ色——ではなく、淡い緑色の光が覆っていく。

最初は訝しんでいた俺だが、そんな感情はだんだん驚きに変化していった。

何と光で覆われた傷口が段々と塞がっていったのだ! こんな光景を見て、ましてや自身が体験しているのだ。驚かない理由がない!


「うん、大丈夫そうね。良かったわ!」


そんな俺の驚きを特に気にした様子もなく、美少女はこちらの具合を見てホッとしたように笑っている。


「あ、ありがとうございます、助かりました!」

「ふふっ、どういたしましてっ」


なんだろうこの人は。天使ですか女神様ですか? どれだけ優しいんだこの人は。今なら神様だと言われたら一生仕える決心すらできそうだ。


そんなことを興奮した頭で考えているとふと、美少女が声をかけてくれた。


「ねぇ君、落ち着いた所でお願い、というか聞きたいことがあるんだけど、いい?」

「え、と、俺に分かることなら、はい」


もはやこの美少女は俺の命の恩人である。聞かない理由などは存在しなかった。


「私今妹を探しているのだけど、私に似た小さな女の子を見かけなかった?」


小さな子か、見てないな。あ〜力になれると思ったのに!


「すみません、見てないですね……」

「そう……」


彼女はあからさまに落ち込んでいた。見ているこちらも思わず肩を落としてしまいそうになるくらいだった。


あ。


「あ〜あの、見てはいないんですけど、そこの岩の陰にも子どもがいるんですよ! 怪我しているかもしれないので見てあげてくれませんか?」

「え、あんな所にもう一人? 分かったわ!」


よかった、快く引き受けてくれた。

美少女は駆け足で岩の陰を確認しに行った。ただ走っているだけなのに、風に揺れる青みがかった銀髪の躍動感に思わず目を奪われた。

その間に美少女は岩のそばにたどり着いたようだ。段々と近付きながら俺の指示した付近を調べ始める。


「う〜ん、あ、リラ!」

「うぅ…、え、お姉ちゃん!?」

「リラ! 心配したわよもう!」

「うぅ、ごめんなさい……」


おお、どうやら岩陰にいた子どもが彼女の妹だったようだ。襲われずに済んで良かったなぁ。


「お姉ちゃん、怖かったよぉ……!」

「よしよし、もう一人でこんな所にきちゃダメよ?」

「うん……、いたっ!」

「リラ、どうしたの!? って怪我してるじゃない! ほら、ポーションあげるから飲みなさい!」

「うん、ありがとね、お姉ちゃん」


うーん、岩陰で話しているせいで姉妹の再会を見られないのはつまんないなぁ。

そんな野次馬根性を発揮していると、リラと呼ばれた少女と共に美少女が戻ってきた。


「ありがとう! あなたのお陰で妹が見つかったわ!」

「いや、たまたまですよ。君の妹だとは知らなかったし」

「いや、そんなことないわ! あなたが言わなければ私はきっと岩の陰なんて調べなかったもの! そもそもそんな小さな窪みなんて私知らなかったし!」


そう彼女はまくし立てた。

うーん、でも本当にたいしたことしてないんだけどな。


「いやいや、俺は本当に何もしてないって! それにお礼を言うのはこっちだよ。何しろ命の恩人だし! ポーション、だっけ? あれが無かったら絶対死んでたよ、ホント」


照れ隠しも兼ねてつい口調が早口になる。


「あんなの感謝されるうちに入らないわよ、人助けも()()()の仕事なんだから!」

「え?」

「ん? どうしたの?」


ちょっと待て。


「今なんて言ったの?」


彼女に確認するように質問する。


「え? どうしたの?」

「いや、ちょっともう一回さっきの言葉言ってくれない?」

「え? やっ、ちょ、ちょっと恥ずかしいな…」

「頼む、お願いします!」


少し躊躇っていた彼女は、小さな咳払いをした。


「コホンッ、しょ、しょうがないわねっ! 『あんなの感謝されるうちに入らないわよ、人助けも冒険者の仕事なんだから!』……ほら、これでいいでしょ!」


あー恥ずかしい! そう言いながら彼女は熱の灯る頰を抑えて俯いている。ストレートに言って可愛い。

まぁ、それはともかく。


「冒険者って、君が?」

「そうよ、でもまだ駆け出しなんだけどね、エヘヘ」


マジか、日本じゃ無いとは思ってたけど魔法と言いポーションと言い、更には冒険者と言い……マジでここは異世界なんだな。

俺の視界には女神と見紛うばかりの超絶美少女&幼女もいるし、間違いない!

俺の中でそう結論が出た所で俺の次にやるべきことは決まった。


「なぁ、聞いてもいいかな?」

「ん? なに?」


そう——


「冒険者って、どうやったらなれるんだ?」


この世界で冒険者をやることだ!



話が強引に変わった気がする感は否めない。多分後々修正します。

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