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5.その正体。


 聖駅から続くメインストリートを引っ張った先――急斜面の崖を穿つ、もしくはめり込むように建てられた『コンサートホール・パルテノ』は、その大通りから更に道を引っ張るがごとく、建物の上に急階段を作っている。


 正面玄関のすぐ隣。メインストリート一つ分の幅を持った階段は崖上につくられた公園に繋がっており、その階段に這いつくばるように。もしくはその建物に覆い被さるように。()()ゴーレムはこちらを見下ろしていた――それも、威嚇するように口を力強く開きながら。


「 ̄――  ̄――   ̄――  ̄――!!」


 口を開くつど、空気が振動する。――そう、()()()()()()()風が吹く。

 イヌカイたちからみると強烈な向かい風だった。


「 ̄――!!」


 青い虫――もしくは鳥のようだった「飛ぶ」ゴーレムとは違い、こちらは見るからに「這う」ゴーレムだ。

 のしっとした印象。普段の直立不動な黒ゴーレムとも違うそれ。パルテノにかぶさる『赤紫のゴーレム』は、胴の長い蜥蜴(とかげ)のような姿だった。


「ぐっ……!?」


 最後尾にいたイヌカイが頭を抱えて。いや、正確には耳の辺りを抑えて怯んだように座り込む。


「ちょ……ちょちょちょちょっ」

「ああ、もうっ」


 『ドシャアア!!』と空気の流れに押し流されるイツキを目にしたイヌカイは、思わず舌打ちをしながら強引に静止させる。――首根っこをひっつかみ、ぷらんと動く手足。その横を大きなゴミ箱がガランゴロン転がっていく。


「あ、ありがとうイヌカイ……びっくりした……」


 イツキに頷いたイヌカイは少し顔をしかめながら、何が言いよどむようにため息をついた。……どうやらイヌカイ自身は身体能力が強化された()()のおかげでどうにか立てるし、少しきついが動ける様子だ。自身の重さのせいか、流されることもない。


「……そっちは」

「……動けませんね」


 時永は突っ伏したまま息を吐く。

 雨こそ降らないが、さながら大嵐だ。……下手に手足を動かすと後ろにあおられそうで、立っていられない。

 腹立ち紛れのイヌカイは一度、二度、舌打ちを繰り返す。


「……ふざけてんのか、これ」


 まず体感するのは、重さだった。――まるで地面が後ろにあるような感覚だ。更に風。風圧が重たい。


「 ̄――!!!!」


 周囲にあったガードレールは倒れたり地面にめり込んだり……歩道橋すらもしなっている。


「『強風』……ちが、う……風は、たぶん、二次的なもの……!」


 時永が何事か呟く。


「あ? 何?」

「犬飼先生、空気だって星に留まるだろう!」


 轟々と風の音が聞こえる中、どうにか時永は顔を上げる。……恐らくこれだ。ミコトを襲った、一瞬の強風。体重の軽いイツキが流されるくらいだ。ミコトだって流される。否、崖から押し出されるに決まっている!


「……これ、空気を動かしてるんじゃない……重力または引力が僕たちの後ろに発生してるんだ!」


 引力。イヌカイはフッと赤紫のゴーレムを見た。開いた口――開いている方向。ブレない首。目の前のそれから出ているにしては方向が反対だ。なら……


「 ̄――  ̄――!!!!」


「……おい、よく分からんが、ちょっとその辺つかまっとけ」

「あ、ちょっ! わわわぁあああああああ」


 体重の軽いイツキはまた『ズシャア――――!』と圧力のままに流されていく。


「う、植苗くん!? えっ――あれ、どこ行きました!?」

「……えー」


 イヌカイは耳に小指を突っ込みながら言う。


「おさまったら戻ってくるだろ。大丈夫だ。そんな広範囲じゃないからどっかで止まる」


 時永は訝しげに後ろを見て……ふと気付いた。確かに駅までのまっすぐな道のり、中頃の街路樹はほぼ動きを止めている。すぐ下のガードレールなんかひしゃげて地面に突き刺さっているというのに、300メートルもすればこの謎の風圧と引力は影響をなくすのだ。


 ――なら。


 時永は目を細めて出来る限りの範囲を見渡した。


 ――どこだ? 空気を含めた物体が後ろに引っ張られていると仮定して、どこに『引力』の起点がある?

 手前のものは勢いよく転がっているぞ?


「……『声の届く端』か?」


 ぽつりとイヌカイが口を開く。


「……え、声と言いました、今?」


 時永は聞き返す。……イヌカイの聴音域は確かに一般人のそれとは違う。いや、違うというよりかはもっと広いのだ。

 以前ミコトが見た光景……犬笛で連絡を取っていた馬越を思い出した時永は言う。


「えっ……あの口開けたゴーレム、もしかして鳴いてます!?」

「――耳割れんばかりだぞ、聞こえてねえとでも!?」


 ――オーケー。


 時永は息をついた。道理で若干オーバーに怒鳴り返してくると思った。

 たぶん、虫の居所が悪いのも「聞こえ」が悪いからだ。

 聞こえているものが違うなら、尚更『聞こえない者』が変に動くわけには行かない。


「鳴き方が変わったら教えてください」

「……っあー、意味とか分かんねえぞ、ただの耳障りな騒音だ!」


 耳をほじり、イヌカイはゴーレムを見上げた。――階段の上の巨体。そこにイヌカイは足を向ける。

 グワッ、ゴーレムの口が大きく開いた。


「犬飼先生」

「……変わらねえよ、鳴き方は」


 しかし恐らくだが、出力が上がった。

 斜め上からの息苦しさが増して――幾度か咳き込み。それでも、目をあげた時永はふと気づく。

 ……あの、ゴーレムの足の下。


「 ̄――?  ̄――  ̄――!!  ̄――!!」


 あれは――建物を抱え込んで。


「……犬飼先生」

「ああ……まっすぐ潰せばいいんだろ、口を」


 イヌカイは耳を抑えながら言った。風圧にも風音にも負けないその声は、妙にハッキリと呟いた。


「……()()()、動かねえ……逃げずにこっちを睨みつけてきやがる」

「犬飼先生」

「気付いてるよ。これは人の声には聴こえねえ。けど、そうだな……」



  ――「最初はふざけんなと思ったわよ。なんで雪のまま死なせてくれなかったのかって」



 脚本に込められた、ミコトへの恨み節。

 優しい言葉も強い言葉も、エネルギッシュに……情感たっぷりに表現するいつものやり口。


 ああ、聴こえる。この音から、内心(こころ)が聴こえてくる。

 憎悪。反発。それから――敵対心。


 知っている。そいつはひどく強い【思い入れ】に幾度もさらされている。

 知っている。そいつは。


 そいつは――



「……感情的で、クソ頑固で。ああ、あいつの声だ」




    *  *  *



「お父さんと知り合いなんですか?」

「そうそう! もうずっと昔。同じ大学でさー」


 駅前のベンチ。

 ミコトはコトリと紙コップを置く。

 谷川は隣り合って座り、おどけたように話していた。目線はどちらも坂の上。『()()()()()()()()()()()()』に向かって。


「君のお母さんともめっちゃ仲良かったんだよ、時永くんの拾った雑種犬がうちに貰われて来たり。君のお母さん、うちに来てその子にご飯あげたりしてたし。おかげで最終的にめっちゃデッカくなったんだから」

「……そうですか」


 目の前をホワホワと漂う、コンビニで買ったコーヒーの香り。

 ……紅茶のスッキリとした匂いの方が慣れてはいるが、苦味と酸味が鼻に抜ける重たいこっちも、意外と悪くはない。


「ねぇ、ミコトちゃんはさ」

「はい?」

「……どっちかっていうとお父さん似だね?」


 谷川にしみじみと言われたミコトは、ひょこっと首を傾げる。


「そうですか? この間もいわれたんですけど……」

「えー誰に?」

「学校の先輩……」

「へえ」


 ――なんだ、イッちゃんのことか。

 谷川は合点がいって頷いた。


「ミコトちゃんはお母さんのこと、よく知らないんだっけ?」

「……そう、ですね……」


 なるほど、と谷川は息を吐く。

 ……この小さな創造主は、おそらく本気で知らない振りをしている。

 けれどお芝居はしていない。嘘をつくのが苦手なのだ。――要らないものは本気で忘れるし、押し付けられるものなら他人に押し付ける。

 そう、今し方だって自分の父親に、己の全てを押し付けている。


「……どんな人でした? お母さん」

「へ?」

「あ、ごめんなさい」


 天性の正直者。

 本来なら決して罪深いことはしない。罪に問われることすらないような女の子。

 後ろめたい人間はこの子を見た瞬間、即座に――自動的に【罪悪感】に苛まれてしまう。

 純粋無垢すぎて眩しい生き物。それがこの子だったに違いない。


 ()()()()()()な父親とは真逆の印象だ。ああ――勿論、「結果だけ見れば」なのだけど。


「………。」


 ……これだけの世界を構築するために、いったいどれだけの情報を使ったのかは不明だ。

 「知らないものを知っているように見せかける」、つまり嘘をつくようなことはできないにしろ――これだけの想像力。虚構を積み上げるのは一周回って嘘に等しい。


 事実を()()()()()()()()()のではなく、事実を知らない自分を、完璧にゼロから()()()()()いる。


 彼女の本来知っている『物語』の断片。

 誰かの印象の切れっ端……ああ、結局のところだ。


 ――ミコトは、何らかの形で母親を知っていた。


 そのことはこの世界を見ればよくわかる。

 今、この世界にミコトの母親である彼女はいない。

 ミコトが望んだのはあくまで空想の世界。

 “時永の壊れなかった世界で平穏な日々を過ごす”という夢物語だったはずだ。


 【空想】なら、ちゃんといたっていい。

 いなかったものがそこにいようと、空虚に世界はからからと回っていくのだ。


 なら彼女が何故いないのか。

 彼女と一緒に過ごした記憶がまるでないミコトには、【母親】というものにピンときていない。「当たり前にいない」人物だからこそ、この世界に再現できなかった。……そう考えるのが妥当だった。


 ……が、その一方で『彼女が過去にいた』という事実も設定として存在する。

 母親をまったく知らないなら知らないで、思い切ってまったく別の架空の母親というのを作っても良かったというのに、ミコトはあえてそうはしなかった。


「……あー、そうだね、軸がまったくぶれない人だったのかなー。自分の考えをあまり曲げない……頑固っていうかね。そういう感じ」


 ――ああ、まったく。

 どうでもいい話を口にしつつ、谷川は苦笑した。

 以前……記憶の中のバスケ部高校生は言っている。

 『谷川ユキ』は例えるなら『水』だと。



  ――「つまり、水みたいにっていうの? 誰とでも馴染むし、()()()()()()()()()()()



 『相手の理想のタイプ』に、ゆるりと形を変える谷川ユキ。


 関係性を育てていくまでもなく、すぐに理想の誰かになってしまって。

 だからこそ、一人の人とそこまで長続きはしない。なぜなら想像通りは飽きる――停滞を人は良しとしない。【安定】は安心するけれど、【今】は優しいけれど、そのままではいられない。


 ……この子はいわば、その上位互換だ。

 自分を変えるのが『谷川』なら、『ミコト』は自分を含めた、見える範囲での世界を変える。

 誰かの夢を読みとって、誰かの理想を世界規模で形作って――世界規模のまま、叶えてしまうのだ。たとえ『見える範囲』だけだったとしても。


「……でも、彼女は包容力がある人でねー。なんというか、今喋っている相手がどんな人でも『それもありだね』って受け入れて、信じてしまう!」


 ……人の言うことは聞くくせに。「こっちがいい」と言われたら従うくせに。

 この子は、誰かに中身を見せられない。

 自分を主張できない。自己主張しないのではなく、主張できるほどに自分がない。


 ――誰かが楽しければ、楽しいのだ。

 誰かが嫌なら、嫌なのだ。


豊田さん(おかあさん)はね、他人に『ありだね』っていうそれと同じように、自分も常に信じてた。自分を貫く人だったんじゃないかな」


 ――あたしと一緒だ。豊田さんにはなれなかった女の子。


 そう、谷川はゆっくりと思う。

 ミコトは謂わば同類なのだ。中身がスカスカ。意思も心もあるのに、他人に合わせて生きている。

 ミコトからは誰もに向かって息を合わせられるけど、他の人間からだと、この子に息を合わせるのは難しい。ともすれば意思そのものが薄くみえる、薄弱にさえ感じられるからだ。


「……多分君とは真逆の人だよ、君のお母さん。今日一日見てたって、君の在り方はどれかっていうとやっぱり時永くんだと思うから」

「?」


 キョトンとした雰囲気。

 ……揺れるポニーテールがなければ。その丸い、無垢な目がなければ。

 あの日、ラーメン屋さんで谷川に協力を求めた【おとなしい男子学生】そっくりな女の子。


「……時永くんは、いつでも誰かに合わせようとする。自分の中の反対意見を飲み込んで。自分勝手を内側に押し込めて――君のお母さんはね、自分自身の勝手は『自分勝手』のままにするから、ちょっと違うんだ。対極のペアだったんだよ。あの二人は」


 ミコトという子は、あの大学生の時永が行き着くはずだった生き方の延長線上だ。――誰かに合わせて、丸くおさめて、そしたら平和が守れると言うような。けれど時永はそもそも自我が強く、別人格を育ててしまうことになった。

 ミコトは違う。そもそも記憶を剥がしたところで性格はほとんど変わらない。誰かに合わせたものが自分になる、そんな生き物だ。


 ある種、人間離れした生き物。

 ――時永が至れなかった、イフの姿。


 そんなものの生き方に「合わせた形」に、谷川ユキがなれるわけもない。【他人に合わせて形を変える谷川ユキ】は大概の異性に好かれるが、この同性の創造主はいわば自分によく似た天敵のようなものだ。

 谷川が水のようにすぐ、相手の心を掴めるのは――きっと目の前のそれが、欲も自分勝手も人並みにある人間だからだ。


 ミコトにはほとんどない。欲をおぼえたところで、外に出すすべを知らない。

 「友達はいないの?」と聞かれて「友達をつくる」といったように。

 人に言われて初めて、それに合わせるかたちで表に出せるのがこの子だ。


 人並みの欲が、願望が。

 あるはずだったのに、時永に育てられなかったのだ。

 あの馬越ですら、イツキですら、イヌカイですら! ――きちんと育ててやれなかった部分がそこだったはずだ。


「豊田さんは……強くて、でも傷つくことを知っている……頼りがいのある人だったんだ」

「……愛されてたんですね」


 脳裏に一瞬、こびりつくように何かの言葉が閃いた気がした。


 ――()()()()()()()()


 それはミコトの深層心理。

 谷川は少し瞬いて、口を滑らせた。


「……君さあ。違ってていーの」

「へっ?」

「比べるにもほどがある。……いくらあの2人がルーツでも。君が不定形の神様もどきでも」


 後半部を一瞬で忘れて聞き取れなかったのか、ミコトが不思議そうな顔で見てくる。


「えっと」

「ん。あー? ……聞こえなかったか」


 ……よっこいせ。

 谷川はふいにその場を立ち上がる。


「それよりさ、向こうから何か聞こえない?」

「え……?」


 谷川は指で示した方向。

 それはイヌカイたちがゴーレムと戦っている場所を真っ直ぐと指していた。


「何も、聞こえませんけど」

「本当かな」


 谷川はニヤリと笑った。……誰かさんとそっくりに。


「光が見えるよね。音も聞こえる。――誰かが傷つく音だ。叫び声、閃光、争いの光景。大丈夫だよミコトちゃん」


 何かが光った。坂の上からゴミ箱が転がり落ちてきて、コンビニにぶつかって騒々しい音を立てるのが分かった。


「君の目には、()()()()

「…………」


 ――ミコトの手から、ふと力が抜けた。


 届く。


 無意識にスルーしていた音が。――風の轟音が。電線のショートして、光るそれが。


「……いってみよっか?」


 コーヒーを取り落としたその手を握り、谷川は悠々と歩き出した。


「? あ、れ――――」

「ダメ」


 ミコトをギュッとひっぱり、目的地へと足を向けた谷川は口を開く。


()()()()()()。忘れてもダメ。ゆるさない」

「…………」


 ()()()()()()()()()ミコトはぱくりと口を開き、谷川を見上げた。

 たにがわさん、とミコトの口が動く。

 ……面と向かって教えてもいなければ、パンフレットを見たって脳裏にも印象のなかったはずの、その名前。


「ねえミコトちゃん。あたしが水なら、君はさしずめ――空気だよね」


 当たり前のようにそこにあって、しかし全ての生き物を等しく包むもの。

 君の名前は【時永ミコト】。

 この世界をつくった、()()()()の神様もどき。

 たった一人の創造主だ。


 谷川は苦笑した。


 ――あたしだって知ってるんだよ。ミコトちゃん。

 この世界は存在が既に()()()()()()

 作られるべきではなかった、君の心の後悔で作られたユートピア。


「ねえ、君――そもそもの話、『クロノスくん』が君を放っておくわけないじゃない?」


 軽い足取りで彼女は走る。ミコトの手を引いて。


「真新しいこの世界、放っておくわけもないよねー?」


 放心状態のミコトの耳には、たえず何かが聞こえている。

 互いに叫びながら状況把握をしている遠いイヌカイの声と、時永の声。――イヌカイが駆け出す音。突っ伏している時永の咳き込む音。


「だって彼は人間が『嫌い』だよ。人間に飼われていたから。人間に愛する人と引き剥がされたから」


 ……どこかから飛来する、()()()()

 火炎に包まれる集落。

 こちらを振り返る、女性の姿。


「人間が誰もいない、時の果て。世界の果てが欲しかったんだ。――誰もいない蒼穹の下で、一人の女神を迎えるために」


 ミコトの耳には谷川の声は届かない。それより大事なものが、身近なものが――すぐそこで何かから攻撃を受けているのだけは分かった。


「でさあ。今時永くんを()()()()()()彼――秀ちゃんは、たぶんこう思ってんだよね。【夢からさめたあなた】か、【あなたの目覚めなかった世界でのクロノス】か。そのどちらかに結局消されるなら。殺されるなら」


 ……霞がかった頭の隅で、警告音が鳴っている。

 今まで無視してきた音が。今までなかったことにしてきた幾つもの断片が。


「――――それは、生まれるべきでも、育つべきでもなかったんだって」


 ……耳元で、合計数十億個のエラーと()()()()のアラームを発した。

……拒否する。

……拒否する。

……拒否する。

……拒否する。


私は何も見ない。聞こえない。(起きたほうが)起きてるよ。(死んじゃうよ)別にいい。私は知らない。巻き戻せばいい。うん――うん? ――あれっ?

……(それで、いいんだっけ)……?

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