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プロローグ
――もしも小説や漫画の世界みたいに、この世界が非日常に満ちていたら。
そう思うことはないだろうか。
たぶん、きっとそれは……よくありがちで、誰にでもある思いなのだろう。
だけどその胸のうちに描いた思いを、もし本当に……現実というキャンバスに再現することが「叶う」立場にいるとしたら……
……人の人生は、狂ってしまうものなのかもしれない。
それは誰かの呟いた言葉であり、この物語の始まりだった。
「じゃあ、そろそろ再開するとしようか……」
少年はグラスを傾け、無邪気な笑みを浮かべる。
「それともおさらいしておこうか? このゲームのルールをさ」
「いえ」
目の前の女性は冷たく言った。
「続けましょう。あなたが始めた……お人形遊びをね」
青い衣がはためく。少年は玉座を立った。
……女性はこの場にはいない。目の前のそれは幻像で、そこには実在しない。
だが、少年は知っている。
彼女は自らと「同じもの」であると。
ここに並び得るものなどいない。いるはずもない。
あの、一人の人間を除いては……