番外編
やっほー、久々のテラー君登場!今回は番外編として別の本を読もうかな。あまり長くないからさらっときいてね(笑)
今回聴かせるのはは「恋慕」。甘酸っぱい。けれども苦い。そんな話かな。主人公はなんの取り柄もない子。彼がどうなっていくのか...それじゃあ読んでいこうか。
恋慕
僕は今まで誰かを好きになるってことがなかった。正確には好きって言う感情を知らない...かな。
「さーとーる!何を考えてるの?」
「ああ。すこしね」
「教えてくれたっていいじゃん~」
こいつは明日香。僕の幼なじみとでもいうべきかな。そして、僕は哲。普通の高校生。まあ、恋愛を知らないってことは異常なのかもしれないけど。
「明日香、どうした?」
「あ、蓮!哲が何か考えてたの!」
いま話しかけてきた男は蓮。僕と明日香の幼なじみ。彼は僕にないすべてを持ってる。
「そういえばさ...」
「えー、何々(笑)え!そんなことが(笑)」
蓮と明日香、すごく楽しそうに話してる。なんだろう。すごくモヤモヤとする。彼は僕より勝ってる。僕に足りないものをすべて持っていた。友達同士の他愛もない会話のはずなのに、この違和感はなんだろう...
「...で、哲、どう思う?」
「え?」
「聞いてなかったのか?カラオケ新しくできたから行こうぜって言ってたんだよ」
「あ、ああ。まあ、僕はパスかな。」
「なら、俺と明日香だけか。」
...友達と二人でカラオケにいくっていうのは高校では至極普通のこと...それなのになんかモヤモヤする。
「...楽しんできなよ」
「おう!」
「次は哲もいこうね」
下校時間になり二人とわかれた。なんだろう。ずっと明日香のことが頭から離れない...それと同時に蓮に対してもモヤモヤとした感情が込み上げてきた。なんだろう、すごく気持ちが悪い。
「これが恋?わからない...」
インターネットで見たらどうやら恋のようだった。ただ、そういっていいのかわからない。それに、もしそうだとしたも明日香には蓮の方がいいだろう。告白なんかしてふられたら...そんなことだけが頭をよぎる。
翌日、学校で明日香と会ったが顔が見れない。蓮とすれ違ったがまた顔を見ることができない。こんなのは僕じゃないとわかりつつも、見ることができない。
「哲?大丈夫?」
明日香からいきなり声をかけられた。
「だ、大丈夫。大丈夫だから」
精一杯の強がりだった。後ろめたかった。こんな気持ちを持っていて。
僕はこのモヤモヤとした感情を持ったまま卒業となった。結局伝えることはできなかった。この心地いい距離を大切にした。
数年後、蓮と明日香は結婚したようだった。僕の頭はいまだに明日香のことを考えていた。お見合いの話もあったが明日香のことが忘れることができずにすべてを断った。一人でいるが、たまに明日香と蓮が遊びに来てくれる。
やはりこの距離が心地いい。告白して、関係を崩さなくてよかった。これでよかったんだ。
終
よかった!哲君は自分の居場所を守れた!本人もこれでよかったっていってるしハッピーエンドだね!
不幸じゃないかだって。それを言うのは筋違いじゃないかな。それは君たちの尺度でだろ?幸せっていうのは他人から見てどうこうじゃない。本人が幸せって思えば幸せだろ?彼は幸せって思ってるからハッピーエンド。それが彼が決めた未来、彼にとってのしあわせ。
ま、僕はどう思ってるかはわからないけどね。
僕も同じ状況になったことあるし、今もその状況だよ。僕もいわないと決めてる。今の関係がいいし、その相手には他の男の知り合いがたくさんいる。僕なんかが太刀打ちできるような人たちでないっていうのもわかってるし、その相手にとって理想の男性像の相手もいる。そういうのに僕が勝てるわけないだろ?だから伝えるつもりはない。それが僕にとっての幸せだからね。あとは...僕の勝手な勘違いかもしれないけど、嫌われてるかもしれないし、いてもいなくても同じような感じだしね(笑)
今、その相手の視界に僕はいない。だから僕は諦めて気持ち、伝えたいことを胸の奥にしまいこんでは墓場までもっていく。
あ、僕の自分語りは要らないね(笑)ごめんね、真面目な話しちゃって。しばらく休んでたけど、絶対に「心残り」の続きを読むからさ、またこの部屋に来てくれると嬉しいな。それじゃ、また会おうね。