残響part2
やぁ、やっと来たね!それじゃあ続きといこうか......
「なにかあったの?」
奏は部室の扉を開けた。が、何が起こっているのかを理解するのには時間が必要だった。
部室にいたのは同じ吹奏楽部の優奈。そして、優奈の足元には同じ吹奏楽部の仲間のひかりがいた。二人とも私の親友なのだが......
「いったいさ......何をしてたの?」
「奏~。ひかりのやつが私に歯向かって来たんだよ~」
優奈はひかりの頭を爪先でつつきながら言ってきた。ひかりは黙って耐えているだけだった。
「歯向かったって言ったの?私たち親友のはずじゃん!」
奏は耐えられずに優奈に叫んだ
「はぁ?友達?なにそれ。こいつクラスでキモい陰キャサブカル女子って言われてること知らねぇの?言っとくけど、みんなから嫌われていじめられてるからね」
優奈はひかりをまるでゴキブリ、いや、部屋の端に溜まったゴミをみるように睨み頭を爪先でつつきながら話してきた。
奏はカッとなって思わず優奈を突き飛ばした
「ってぇ!なにしてんだよ!」
「こっちの台詞だよ!私の友達を傷つけて!次ひかりに手を出したら許さない!」
「んだよ、熱くなって......」
そういうと優奈は部室から立ち去った。
ひかりは何かから解放されたように声をあげて泣き出した。奏は思わずひかりを抱きしめて頭を撫でた。
「奏...ありがとう。本当にありがとう。」
「痛かったよね。嫌だったよね。気がついてあげられなくてごめん......私はこれからも友達だから......」
ひかりはしばらくの間奏に抱きしめられたまま泣いていた。奏はひかりが泣き止むまで優しく頭をなで続けた。
この日の部活は優奈がいないことを除けばいつも通りだった。
翌日奏が登校してみると机の上には菊の花が入った花瓶がおかれていた。奏は特に気にせずクラスの花瓶に菊の花を移した。その日はそれいがい変わったことのない普通の学校だった。いや、やけにクラス中から視線を感じた。
次の日は机にやたらとゴミが置かれていた。なんだごみかと思い捨てただけで終わった。それいがいはなにもなかった。
さらに次の日は、机の上にタヌキの死骸が置かれていた。奏はさすがに耐えられなくなって叫んだ。
「誰なの!こんなひどいとこしたのは!」
優奈がニヤニヤとしながら前に出てきた。
「ひかりだよ(笑)決まってんじゃん(笑)」
「う、うそ......」
「嘘つくわけないじゃん(笑)なぁ、ひかり?やったんだろ?この間も菊も、ごみもさぁ(笑)」
「ひ、ひかり?嘘でしょ?嘘って言ってよ......」
ひかりはうつむいた。そして顔を背けながら
「......った」
「え?」
「やったよ......」
「う、嘘でしょ」
ひかりはこちらを泣きながら睨み付けて来た。
「私がやったっていってんじゃん!何?こんなことも理解できないとかバカなんじゃないの!!」
奏は愕然とした。クラスのみんなは笑いだし優奈はニヤリとしながらこちらを見ていた。
部活に、部活にいけば居場所がある。そう思ってたのが間違いだった。
部活にいってみると合奏以外ではだれも私に声をかけず、無視をされた。ひかりも私と目を合わせようとしなかった......
そうか。クラスにも部活にも居場所がなくなったんだ。ふと、優奈からの冷たい視線をかんじた......笑い声も聞こえたように感じた......
その日以降学校に行かなくなった。大好きだった吹奏楽もやめて音楽も聞かなくなった。ネットに掻き込むと多くの人が反応してくれて嬉しかった。これでよかったんだ......これで......
今も彼女の耳には楽しかったクラスのメンバーの笑い声、合奏の響き、終わったあとの拍手の音が残り、響いていた......
下校時間が過ぎた校舎、ある少女の机の上には3通の手紙があった。
一通目の中身は赤い文字で優奈への怨み、優奈の行いがかかれていた。
二通目は青い文字で奏への感謝、懺悔がかかれていた。
三通目には後悔、家族への別れ、教師への感謝がかかれていた。
それ以降その少女が学校に来ることはなかった......
これで残響はおわり!よかったね~奏ちゃんはこれでよかったと思ってる!これはこれで幸せだね!だけど、それ以上の不幸!重なりあいミルフィーユのように大きくなり!膨れ上がった......ゾクゾクしてきた!
とりあえず、今回の話はここまで。それじゃあ、また会おうか!