恋愛弱者よ、語らぬ貴様に資格なし
虐められてた時に、助けてもらった事で好きになった。
安い女かもしれない。
ありきたりの話かもしれない。
それでも、あの時。
闇の中で過ごしていた時に光が射し込んだから。
その光に見惚れてしまった。
それ以来、想いを秘めて過ごしてきた。
自分に自信がなくて、自分を前に出すのが怖くて。
それでも努力をした。
少しでも可愛く思ってもらえる様に。
仲のいい友達も出来た。
「あんたっていつもあいつのこと目で追ってるね」
ある日友達から言われたこと。
他の人から見てもバレバレなのだろう。
でも言い出せない。
拒絶されたらどうしよう。
そんな思いが不安となって胸を締め付ける。
一歩踏み込む。
それが出来なかった。
だからあの人の隣には知らない人がいた。
知らずに涙がこぼれ落ちた。
どうして、なんで。
伝えたかった。
隣に居たかった。
気づいて欲しかった。
「気づかないあいつが悪いんだよ」
友達はそう言ってくれた。
隣の人にも口汚い言葉で罵った。
そんな時だ。
「秘めた想いにどれだけの価値があるんだろうね」
悪魔が嗤った。
「想いの年数に価値があるの? 気づかない相手が悪いの? 違うだろう? 君にはないんだよ。覚悟も信用もさ」
心を刺される。
「伝えなかった君が悪い。泥棒ネコ? 違うね、そもそも君のものじゃない。自分のものだと思い込んでただけの負け犬さん。踏み出す事もしないで喚く恋愛弱者さん」
そうしてトドメを刺される。
「君に資格なんてないんだよ?」