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短編

月が綺麗ですね

作者: 紀舟

好きな子ができた。


面と向かって告白するのは恥ずかしかったから照れ隠しに

「アイラブユー」

と言ったら

ふざけてるの?

と、本気に取られず振られた。


また、好きな子ができた。

今度は真面目に

「愛してる」

……言った相手が疑い深い娘で振られた。


またまた好きな子ができた。

二度の失敗を糧に

「こうこう、こういうところが好きだ」

と、熱く語ったら好きにいちいち理由付けするなんて面倒臭いと断られた。


流石に3回も振られると落ち込んだ。

しかしまた、懲りずに人を好きになった。

やっぱり黙っていられなくて、満月の夜に告白をした。


告白の文句は夏目漱石大先生の胸を借りることにした。


「月が綺麗ですね」

と、突っかえながら言ったら

「何それ?」

と彼女は言った。

彼女は夏目漱石なんて興味がなかった。

続けて彼女が

「自分の言葉で言ってよ」

と言った。

すかさず

「大好きです」

と言ったのは脊髄反射だった。

聞いてた彼女は

「速っ!」

と呟いて笑った。


月を見上げる。

「月が、きれいだね」

彼女も空を見上げた。

「うん、きれい」

同じ空、同じ月を見て、同じに綺麗だと感じ、笑いあえる人が隣にいる幸せ。

彼女の答えは聞かなかった。

代わりに手を取り歩き出す。

彼女が少し小走りになって隣に並んでくれる。

彼女が固く手を握り返してくれた。

答えはそれで充分。

歩幅を合わせる。

ゆっくり、ゆっくり。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても綺麗なラブストーリですねb
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