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#07 不安:多創疑念

法子さんはわたしの手を両手で握ると、目を閉じる。

(宮殿みたいな建物だけど…どこか違う…。あ、玉座に女性…。手に巻物…。ハイプリーステスだわ。)

確認すると、法子さんに伝える。

「法子さん。ハイプリーステス…女教皇のカードだよ。」

法子さんの返事の前に、久美さんが割って入る。

「やっぱり、のっこはハイプリーステスかぁ…。」

久美さんのその言葉に、意味のわからない法子さんとわたしは、ハモるように

「やっぱりって…どういうこと?」

「やっぱりって…なんで?」

と久美さんに聞き返す。

久美さんは、

「あかりちゃんは、マジシャンだよね。そして、わたしはテンパラス。のっこはハイプリーステス…。」

一息つくと、

「さらに、陽・沙耶・マナが、それぞれ太陽・月・星でしょ…。」

「うんうん。」

「始まりのマジシャン…。これは説明する必要ないわね。」

「くみたんは、それぞれの特徴をカードに見ているわけね…。」

「さっすが、のっこね…。話が早いわ☆」

「学問的知識の高いハイプリーステス、現実と想像をつなぐテンパラス。これは拡大解釈だけど…。」

今までの説明でなんとなくわかるコトができたわたしは、

「太陽や月とかは…?」

と聞いてみる。

今までのは、簡単に想像がつくけど…太陽や月の意味は知らなかったから。

「太陽は、リーダー格で面倒見がいいし…月は、母性的で感性が鋭いの…星は希望を意味していて、ムードメーカーかな…。」

「星は、ホント愛美ちゃんらしいね…。」

「そうでしょ!?だから、あかりちゃんやマナ、私のカードの関連性を考えてて…気づいたの。」

「そういえば、お父さんがエンペラーなのは…?」

「エンペラーは父親を暗示するカードなの。そのまんまね…。」

「そうなんだ…。」

「そろそろ、行きましょうか…。」久美さんのその一言で、みんなうなづき、わたしは意識を集中する。

オルディアスにいるかもしれないお父さんと逢うために…。「あかりちゃん…。準備はいい?」

久美さんは、わたしを気遣いながらも、厳しい口調で言う。

「うん。行こう!」

たった一人のお父さんだからでもあるけど、オルディアスにいる可能性がある以上はなんらかの形で繋がっているもの…。

わたしは、オルディアスの中にいるお父さんをなんとか見つけようと、目を閉じて意識を集中する。

「私たちも手伝いますわ。」

さっきまでいなかった紗夜ちゃんの声に、集中していた意識が途切れ、目をあけてみると陽ちゃんたちが来てくれていた。

「これで役者はそろったわね。もうちょっと早く来てほしかったけど。」


「これでも急いで来たんだよ…。間に合ってよかったよぉ☆」

愛美ちゃんが言い訳にも開き直りにも聞こえそうな口調で言う。

「マナたちも来たことだし…行きましょう、あかりちゃん。」

久美さんは、愛美ちゃんの言葉はなかったように、わたしを促す。

「うん☆早く行こう!」

愛美ちゃんも続いて促す。

(いつもの愛美ちゃんなら、言い返すのに…。急いで行かなきゃだよね…。)

「みんな、行くよ。」

わたしは、目を閉じて意識を集中する。

(お父さん…。どこにいるの…。)


お父さんを想いながら、オルディアスの世界を心に描いていく…。

わたしたちが着いた先は、森の中にある大きな建物だった。


「多分、この中にいるんだよね…。」

久美さんは、そう言って建物に向かっていく。

わたしは、漠然とした違和感を感じながらも、先に向かう。自然いっぱいの木々のなかに無機質な白のタイルみたいな壁の建物が建っている。それだけでも、不自然だけど…。ここはわたしが想像した世界オルディアス。わたしが知らないものがあるってことは、わたし以外にこの世界を想像できるってことになる…。

でも、先に進まない限りお父さんとは会えない。

建物の入り口に来ると、わたしのことを気遣った紗夜さんが声をかけてくれる。

「だいじょうぶ?あかりさん…。」

「うん。行こう!」

わたしは自分にも言い聞かせるように、返事して、扉に向かう。

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