#27 集合:練成準備
朝になり…
病院を出る久美とあかり。
病院の入り口では、陽たち三人が待っていた。
「あかりちゃん、マスター、おっはよぉ♪」
「おはようございます。」
「おはよう。」
久美とあかりも挨拶を返す。
「おはよう。みんな。」
「おはようございます。」
挨拶を終えた後、愛美は
「なんか新鮮だよね☆」
「確かにあまりない状況ですけれど…。」
愛美がそう言ったのは、あかりがあまり外へ出られないのもあるが、陽たち三人が揃って、あかりと外出することもなかったからだった。
「さあ、研究所に行きましょう。」
「そうだな。せっかく、学校に連絡してまで作ってくれた時間だから、成果を出さなきゃ…。」
陽がそう言うと、紗夜は静かに、けれど決意を込めて頷く。病院から歩いて10分くらい歩くと、四角く白い建物が見えてくる。
(病院とか、研究所とかって…なんで箱みたいなんだろう…。)
と愛美は思いながら研究所に近づいてゆく。
正面から入ると広いロビーがあり、奥のガラスの二重扉の前で法子が待っていた。
「おはよう。待っていたわ。」
「おはよう。のっこ。」
久美を皮切りに、
「おはよう☆」
「おはようございます。」
「おはよう。」
と、陽たち三人が挨拶を返す。
「おはようございます。」
最後にあかりが挨拶すると
「あかりちゃん、調子はどう?」
と、法子が尋ねる。
「今日は調子いいです。」
「お父さんもいるし、大丈夫だと思うけど、無理はしないでね。」
「はい。」
法子は全員を見渡した後、
「では、行きましょう。」
と、カードキーを端末にかざして、扉を開ける。全員が入ると、後ろの扉が閉まり、前の扉が開く。扉の先には長い一本道。その先で十字路に分かれている。
「来る度に思うけど…ここの配置、やっぱり変わってるわね…。」
久美は歩きながら、そう呟く。
「守秘と、全体の効率よりもグループの効率を重視した配置だそうよ。」
十字路を越えると、すぐにT字路があり、左に進む。
途中で急に広くなった所に三機のエレベーター。
右は確認してないが、左右対照になっているようだ。
エレベーターで3階に上がる。
通路に出ると、幾つもの部屋の扉が見える。
2、3分歩くと
「着いたわ。ここが私たちの部屋よ。」
光輝がカードキーを通し、中に入る。
12畳くらいの部屋に、手前半分の中央にデスクが四台固まっていて、
奥側は、左半分がガラス張りの研究室に寄り添うように機材が並べられている。おそらく、研究室も12畳くらいなのだろう。
「荷物はデスクの上に置いて、すぐ行きましょう。」
法子は、そう指示する。
みんなもそれに従い、荷物を置いて奥に集まる。
全員が集まり輪になると、
「準備は大丈夫かな?」
と陽がみんなの顔を見回して確認する。
みんなが頷いたことを確認すると、久美が
「あかりちゃん、お願いね。わたしもフォローするから。」
あかりは頷くと、
目を閉じ、両手を前に差し出す。
みんながそれに習い、目を閉じて手を重ねてゆく。
(みんなと一緒にオルディアスへ…。)
あかりのイメージの中…
目の前のドアを開ければ、オルディアスに行けるのだが、あかりの力だけでは数ミリずつしか動かない。
突然、光の球が現れて人の姿をかたどってゆく。光が落ち着くと、あかりの良く知る人物が現れ、声をかける。
「あかりちゃん、一緒に開こう!」
「お願いします。久美さん…。」
「今度はちゃんと打ち合わせしようね…。あかりちゃんが、どんなイメージで空けるかわかんなくて、ちょっと遅れたわ…。」
久美は茶化したように言うと、あかりの隣に行き、ドアに手をかける。
久美が加わった分、少しずつドアは開いてゆく。
「あと、もう少し!」
久美は、あかりと自分に言い聞かせるように声を出す。
ドアが全部開いた時、二人は中へと飛び込んでいった。
「着きましたよ。」
あかりはそう言うと、みんなが目を開ける。
空は青く、周りには緑豊かな山々が見える。