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#26 要請:練成前夜

しばらくみんなで雑談をしていた中で、愛美がある提案を持ちかける。

「一回オルディアスに行って、わたしたち…ひとりひとりにどんな能力があるのか確かめてみない?」

「そうですね…。私達と敵対する者の存在する可能性が高いから、こちら側の能力は把握しておいた方がいいですね。」

と沙耶は同意する。

「法子さん以外のみんなのシンクロ能力はわかんないから、知りたいし…。」

陽もそう言って、同意する。


光輝は腕時計を確認すると18時45分を指していた。

「明日の朝、集まるとしようか…。もうそろそろ7時だ。」

と光輝は提案する。

「明日は平日じゃ…わたしたちは学校あるけど…。」

愛美はそう言うと、

「本当はあまり使いたくないんだけど…。」

と、法子が前置きした後、

「陽さんたちの担任って、高野先生よね?」

「そうだけど…。法子さん、高野先生を知ってるの?」

「ええ…。電話してくるわ。」

と、あかりの病室を出る法子。


「法子さんが高野先生のコト知ってるなら、マスターも知ってたりするの…?」

愛美はそんな質問を久美にぶつける。

「高野さん…。そうね、教師になったんだ…。」

その問いにつぶやく久美。

「久美さんたちと、先生はどういう繋がりなんですか…?」

沙耶はそう言うと、

「此処に入院したことがあってね…。私の担当だったの。

高野先生は、その時に法子とも知り合ったの…。」

と続けて、

「いろいろと、法子が相談相手になってたの。」

と、久美は答える。

あかりの病室を出た法子は、ロビーまで行き携帯電話のアドレスを探す。


『高野……あった。電話するのは久しぶりね…。』

携帯電話に“高野優奈”と表示されているのを確認し、通話ボタンを押す。


トゥルルル…


「もしもし…。」

「もしもし…その声は法子さん?」

若干、困惑気味に電話の相手は訪ねる。

「優奈さん、久しぶりね。今、忙しかったかしら?」


「いえ…。大丈夫です。何かありましたか?」


「ええ…。恩田陽さん、深山紗夜さん、小野愛美さんの三人って優奈さんのクラスですよね?」

「ええ…。あの三人が何か?」

「実は今日、彼女達に研究を手伝ってもらっていたのだけど…。」

「そうなの?迷惑かけてない?」

「すごく助かっているわ。でも、最後まで終わっていなくて…。明日、1日彼女達の手をどうしても借りたいの。」

「いいですけど、学校側には何て説明すればいいの?」

「研究所は、学校と提携しているから明日の朝、教授から学校に電話させるようにするから。陽さんたちも欠席扱いにならないわ。」

「わかったわ、彼女達をよろしくね。」

「ありがとう。それじゃ、またね。」


電話を切ると

『ユナに借りを作ってしまったわね…。あとは、光輝さんに連絡してもらえばいいから…』

と考えながら、病室に戻る法子。

部屋に戻った法子は、

「担任の高野先生には、連絡したわ。」

と陽たちに伝えたあと、光輝には、

「教授…陽さんたちを研究の為に、提携要項に基づいて朝から出向してもらう形で…校長に連絡お願いします。」

「わかった。早速行って来よう。では、明日は9時でいいかな?」

「はい。場所は研究所にしましょう。」

とやりとりをして、光輝は学校に向かう。

「あかりちゃんも、久しぶりの外出になるわね…。今日はゆっくり休んで、明日は元気にお出かけしましょう☆」

と久美は、あかりに伝える。

「うん♪」

満面の笑みを浮かべて返事をするあかり。

「じゃあ…手続きも含めて、明日の準備してくるね。」

と、久美も病室から出て行った。光輝は、病室を出ると学校へ電話をかけた。

「はい。十波-となみ-高等学校です。」

「陽波-ひなみ-総合科学研究所の有坂ですが…。」

「校長にお繋ぎします。少々お待ちください。」

保留の音楽が流れ、しばらくすると

「しばらくだね…。有坂光輝くん。」

「はい。小野寺先生…。」

十波高校の校長である小野寺は、光輝の元担任であり、ひかりとの結婚の際に仲人を引き受けてくれている人で、光輝にとっては大恩人である。

「何か用事があって、連絡したのだろう?どんな要件だね?」

「はい。急で申し訳ないのですが、提携要項に基づいて、高野先生のクラスの恩田さん、深山さん、小野さんの三名の手を明日一日お借りしたいと思いまして…。」

「また…明日とは急だね。どうかしたかね?」

「ええ…。陽ちゃん…恩田さんたちは、あかりの友達になってくれていて、今日はうちの研究所にも手伝ってもらっているのですが…もう少しで目処がつきそうなのですが、こんな時間になってしまいまして三人も最後まで参加したいとのことで、連絡しました。」

「そうか。わかった。後日でいいから、しっかり書類を頼むよ。でないと、私が上から起こられてしまうからね…。」

「ありがとうございます。必ず提出します。」

「そこまで畏まらなくていいよ。その時にでも、食事しながら話そうじゃないか。」

「ええ…。そうですね。」

「本当はもっと話したいが、仕事があるので失礼するよ。」

「はい。ありがとうございました。では、また。」


(小野寺先生にもその内に会わないといけないな…。まずはこの件を片付けてからだが…。)



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