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#24 散開:各自収集

陽と紗夜は一旦家に帰り、あかりの病室に戻っていた。オルディアスでの出来事とはいえ、あかりを含め何者かが敵対している以上、現実世界で狙われていないとは限らない。

そう思った陽と紗夜は2、3日過ごせる程度の身仕度をして病院に戻ったのだった。


あかりの病室に向かう前に、ナースステーションに立ち寄る。

あかりが寝ていれば起こしてしまうかもしれない。

久美があかりの担当であるため、確認しようと思ったのだ。


ナースステーションの受付で、近くにいた看護士に声をかける。

「すみません。」

近くにいた看護士は、陽と紗夜の顔を見ると明るく、

「久美ね。呼んでくるからちょっとまってて。」


と奥に向かっていった。

しばらくすると久美が来て、

「まだ時間じゃないよね?何かあった?」

と陽に尋ねる。

それに応じて紗夜は、

「陽さんとも話したのですが、オルディアスでの出来事とはいえ…あかりちゃんが狙われているのは確かです。」

続けるように陽は、

「心配になってきたんだけど、あかりちゃんが寝てたら、起きちゃうかもしれないからさ…久美さんに確認してもらおうと思って。」

「わかったわ。ちょうど少ししたら見回りの時間だし、確認してくるわ。」

久美は了承すると、陽たちに提案する。

「見回りしている間、中のカフェにいたら?私も見回り終われば仕事終わりだから…。」

「そうですね、ありがとう久美さん。」

紗夜はそう言うと、

「マナじゃないけど、情報収集でもするか。」

と陽は茶化すように、答える。

久美は少し苦笑しながらも、

「じゃあ、後でカフェで報告するわ。」

「了解!また後で。行こうか紗夜。」

「ええ。」

カフェに向かう陽たち。

久美はそれを確認すると、奥に戻り見回りの準備を始める。

準備が終わると、同僚に

「見回り行ってきます。」

と声をかけた。

「お願いします。」

と返ってきた後、

「そうそう、精神内科から昏睡状態の人の何人かが意識取り戻したって。」

と重ねて伝えてきた。

「そうですか。よかったですね。」

久美は素直にそう告げると、

「何か気になったら報告してね。ここはそんな良いことないだろうけど…。」

と返してきた。

「そうですね…。行ってきます。」

久美も同感なので、答えて見回りに出た。


あかりは心臓に疾患があるため、彼女は循環器病棟の看護士である。

というより、あかりの母ひかりの担当もしていた。

そもそも、親友であるひかりを支えようとこの職に着いた。

今思えば、自分がこの親子を担当することになることは、ひかりのためにこの職に着いた時から決まっていたんじゃないかというくらい運命的なものを感じている。

だから、あかりには少しでも元気で、長く生きて欲しい。


カフェに着いた陽たちは、ドリンクを注文するためカウンターに並ぶ。

「何にしようか?」

陽は紗夜に尋ねると

「色々あるみたいですね…。私はこれにします。」

と指を指したのは、ローズヒップとベリーのブレンドティー。

「あまり置いてないよね、ハーブティーって。」

「ええ、でも最近はローズヒップのドリンク、多く見かけますよ。」

「あたしは、ミルクティーのホットかな。飲んだけど、ローズヒップって酸味が強くってあまり好きになれないし…。」

「陽さんは、柑橘系もあまり好きではないですからね…。」

「お酢は大丈夫なんだけどね。

紗夜、頼んでおいて。あたし、席をとっておくから。」

「わかりました。」

陽は列から抜けて、店の奥に空席を探しに行く。


病院内の憩いの場になっていることもあり、平日の夕方でも半数以上の席は埋まっていた。


陽は、なるべく入り口からわかりやすい空席を探すと、荷物をおいて腰を下ろした。

しばらくすると、紗夜がドリンクを持って席に着いた。

「後、1時間くらいありますね。」

紗夜はそう言うと、

「まあ、久美さんをまつ間に、考えてみよう。」陽はそう言うと、

紗夜はルーズリーフを取り出し、

「どこから始めます?」

と陽を促す。

「わかりやすいし、カードの話からしようか?」

「いいですよ。」

「まず、カードは全部で何枚あるか、と…あたしたちがもっているカードを。」

「確か、マナさんの話だと…大アルカナは全部で22枚じゃないかと。」

「その中で持ったいるのは、あたしの太陽-サン-、紗夜の月-ムーン-、マナの星-スター-…。」

「あかりさんの魔術師-マジシャン-、久美さんの節制-テンパラス-、法子さんの女教皇-ハイプリーステス-と女帝-エンプレス-、あかりさんのお父さんの皇帝-エンペラー-…ですね。」

紗夜は自身と陽の言葉の重要部分を表にするように書き込んでいく。

陽はそれを見ながら、

「22枚中、8枚か…。」


「ちょっとまって下さいね。」

ケータイを取り出し、“タロット 大アルカナ”で検索をかけて、別のルーズリーフに番号と名前を綴っていく。

「まとめてはみましたが、二人ではこれが精一杯ですね…。」

紗夜はそう言葉を濁すと、陽は

「いや、これでわかることは…まだまだ関係者がいるってこと、それと…久美さんは二枚だけど、同一人格だから、除外するとして…一人一枚と仮定すると、まだ10人以上いるってことになる。」

「あかりさんの関係者で、私たち以外の誰かがですね。」

「あと、あかりちゃんの親父さんの能力がなんなのか…。くらいかな。」

「そうですね…。次は、何を起点にしますか?」

「オルディアスについてだと…異世界であり、カードの能力が使える。」

「あかりさんには、空間を創造する力を与え、何者かがあかりさんに弊害を与えようとしている…。」

しばらく二人で、考えていると久美が席に向かってきた。

それを確認した陽は、

「久美さん、あかりちゃんはどう?」

「寝てたけど…。もう、そろそろ起こしても良いんじゃないかなぁ。」

久美はそう答えると、紗夜はケータイを取り出し時刻を確認して、

「そうですね。30分過ぎてますし、移動しましょう。」

と、出していたルーズリーフなどを片づけて、席を立つ準備を始める。


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