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#16 接触:障壁中核

光樹がいるであろうと思われた研究室のドアは、空室の表示がされ、鍵がかかっている。

(いないみたいね…。)


念のため、カードキーでロックを解除して、部屋の中に入る。


部屋は音もなく、非常灯がぼんやり点いているだけだった。

(と、すると…家か、病院かのどちらかね…。)


法子は部屋を出ると、扉をカードキーでロックし直して、出口へ向かった。

(…光樹さんの代わりに私が飛ばされた…違う事象……。)

法子は頭を巡らす。

(もしかして…都合の言いように…。ということは、病院の可能性は低い…。)

光樹たちの家に向かう法子。

光樹たちの家に向かう途中、何人かとすれ違うが光樹たちの姿はない。

平日の正午前なので、人ごみでわからないということもない。


(2日前まで病院にいたから、まだ家にいると思ったんだけど…。ヴァルティアリスの敵陣にいきなりは…ちょっと危険かな…。)

そう思い直し、待ち伏せをしようと近くの公園に向かう。

しばらくすると、聞き慣れた声がする。

「今日はどうするの?」

「あかりは、何か欲しいものあるかな?元気になったお祝いに何か買ってあげる。」

「えっ…ほんと!?じゃあ…えっと…。」


聞き間違えるはずない声に反応し、気付かれないように視線を向ける。


間違いなく、あかりだった。

そして、その隣にいるのは母親のひかりである。(やっぱり、ひかりんが本体ね…。)

実際には、あかりと同じ病気で死んでいるはずのひかり。

(やっぱり、ひかりんと戦うしかないようね…。)

法子も、いくら偽物や幻影だとしても、親友と戦わなくてはならないと考えると多少気が引ける。

しかし、この世界に飲み込まれてしまうあかりと、何より愛する光樹を救わなければならない。気を引き締めなおすと、法子は次の行動を考える。


(二人で出掛けたなら、光樹さんは…家にいるか、研究所のどちらかね…。まずは、家にいるか確かめないとね。)

法子は二人が見えないか確認し、あかり達の家に向かう。


白い壁に赤い屋根の二階の家。何処にでもある普通の家。

表札には『有坂』とある。

(本当に、よく出来てるわ…。現実と見分けが付かないのも、無理ないわね…。もちろん、それだけじゃないだろうけど…。)

感心しつつも、気を抜くわけには行かない。


敷地の中に入り、玄関の前の呼び鈴を鳴らす。

(光樹さんに会えたら、話のつじつまを合わせないとね…)

と、考えながら光樹を待つ。


しばらくすると、

「どなたですか?」

と光樹から返事があった。


「志田です。教授…。」


「し、志田君…!?」

と玄関を開けると、

「大丈夫だったか?何処へ、どういう風に飛ばされたんだ?どうやって…」

矢継ぎ早に質問をする光樹に、

「先生…聞きたいのは分かりますが、落ち着いて下さい…。」

と、たしなめる法子。

「ああ…すまない。つい興奮してしまったようだ…。」

ふと、正気をとりもどし詫びる光樹。


(ここじゃ、まずいわね…。いつ帰ってくるかわからないし…。)

「私も色々とはなしたいんですが、ちょっとここでは説明が難しいので、研究所で話したいんですが…」

とヴァルティアリスを気にして、移動しようと誘う法子。


「すぐ行きたいんだが…妻と娘が買い物に行ってるから、連絡取って準備してから行くよ。」

「わかりました。先に研究所に行ってますね。私も話の内容を整理しておきます。では後ほど…。」


と玄関を振り返り、研究所へ向かう法子。

(光樹さんはなんとか話できそうだわ。でも…どうやって説明しようかしら…。)

研究所でさえ、もしかしたら情報は筒抜けになっているのかもしれないが、すこしでもヴァルティアリス本体であるひかりから目の届かない場所で説得しようと思う法子。


研究所に着くと、カードキーを差し込み、普段使う研究室に入る。

御守りと指輪を確認し、頭の中でイリスに呼びかける。

(イリス、今話せるかしら…?)

『大丈夫ですよ、法子。』

(どう説明すれば、光樹さんは納得するかな…?)

『そうですね…。』

イリスの答えを待つ法子に、イリスは思い出したように伝える。

『言い忘れてましたが、あの“本”も使えますよ。』

(そうなの…?状況を知るのにやってみる価値はあるわね…。)


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