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#15 虚構:障壁内部

石盤の中に入った途端に光に覆われ、気づいた時はある見覚えのある路地に立っていた法子。

(…ここは、私たちの町…?)


周りを見渡し、一つの答えにたどり着く法子。

(なるほどね…。ここまで再現してると、確かに錯覚するわね…。となると、家に行けば、あかりちゃんには会えるわね…。)あかりの家に行こうと向かおうとしたが、考えなおす。

(いまは何時ごろになってるのかしら…?

まずは、全体の情報を調べるべきだわ…。)

そう決めて、駅周辺に向かう法子。


一方、法子たちがあかりと光樹に声をかけたとき、

一瞬の違和感を感じていた。


(あれっ…?誰かから呼ばれた気がするんだけど…。)

あかりは、母親のひかりと歩いていると、声をかけられたように振り返る。

しかし、誰もいない。

「どうしたの?あかりちゃん。」

あかりの行動に反応するひかり。

「さっき、誰かに呼ばれた気がするんだけど…。」

ひかりは、辺りを見回して

「誰もいないわよ…?気のせいよ、行きましょう。」

優しく、安心させようという母親の声。

「うん。」

(でも…知ってる人のような声なんだけど…。)

答えの出ないもどかしさを抱えながら、歩いていくあかり。



研究所にいた光樹も、声を聞いていた。

(誰もいないはずだが…。疲れているのか…?)


ふと、思い返すが、あかり同様に誰だかわからない。

(でも…すごく聞いていた気がする声なのだが…。)


あかりの病状も回復に向かっているし、ひかりも家のことをよくやっている…。

幸せなはずだが、何か大切なものを忘れている気がする光樹。




『昨夜起こった強盗傷害事件で…』

駅前のロータリーにあるデパートの大きなモニターにニュースが流れている。

(今日の朝見たニュースだわ。

だとすると…ここの時間は、私たちの世界と変わって無いみたいね…。念のために日付も確かめないとね…。)

そう思い、モニターを眺める法子。

しばらくすると、ニュースの後に天気予報が流れる。

『今日、6月14日の天気は…』

(やっぱり、一緒みたいね…。それなら、あかりちゃんの前に光樹さんに会うほうが先みたいね…。)

そもそも、普段なら光樹と一緒に研究所にいるはずの時間だ。

病院か、学校か、自宅のどちらにいるか確定できないあかりを探すよりは、確実だろう。

(問題は、わたしの存在がどう認識されているか…それも、研究所に行けばわかるわね。)


まだ太陽が南に昇りきっていないから、おそらく10時くらいだろう。

法子は研究所に向かって歩きだした。



研究所に着いて、入口のモニターで自分の名前を検索してみる。

(サイトウ……サカモト……あった。)

モニターには、『シダノリコ』と法子の名前が記されている。


(存在は認識されているわね…。どういう扱いになってるのかしら…。)



管理用のパスワードをタッチパネルで打ちこんで、確認してみる。

(なるほど…あの事故で飛ばされたのは私ってことになってるわけね…。)

パネルの表示では、前日の朝からでていないことになっているから、そう推測する法子。

(こっちに入り込んだのが気付かれている可能性もあるわね…。)

とりあえず、光樹のいるであろう実験室へ向かう法子。



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