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#09 解放:札力覚醒

光が収まった後、周りを見渡しながら、久美は声をかけた。

「…みんな、大丈夫…?」

沈黙を破ったように響く呼びかけた声に、すぐに返事が返ってきた。

「あたしは大丈夫。」

「わたしもだいじょうぶだよ☆」

と陽と愛美。

「紗夜ちゃんは?」

いつも一緒にいるはずの紗夜がいないので、尋ねる久美。

「えっと…あかりちゃんとお父さんがいないから探してるんだ。」

「法子さんも一緒だから、だいじょうぶだと思うけど…。」


サァァッ…。


その時、入り口の扉が開き、息を切らした紗夜が入ってきた。


「あかりちゃんたちが…急いで外へ出てきて……法子さんもいるから……。」


普段、冷静沈着な紗夜が慌てているのを見て、三人は急いで外へでる。


外に出た三人が目にしたのは…法子と、高さ3m、幅は2mはあるだろうと思われる黒い板。三人は法子にかけよると、陽が大きな板について指を差しながら尋ねる。

「法子さん。この板はなんなんだ…?」

「詳しくはわからないのだけど…。この板は、バルティアリスと言って…。悲しみに反応して、閉じ込めてしまうらしいの…。」

「…!?…ってことは、もしかして二人はこの中に?」

「ええ…。間違いないわ。よく見てみると、二人が見えるわ…。」


愛美は板に目を凝らして二人を確認すると、

「確かに…見えたけど…、外からは壊せそうもないね…。」と落胆した声で伝える。

遅れて紗夜も合流し、

「そうですね…見た限りでは、ひびどころか…傷一つありません…。」

それに対して法子は、

「外から破壊してしまったら、二度と戻ってこれないみたいね…。」

と、半ば自分の発言に自信を持てずに話す。

訝しげに思った紗夜は、

「法子さん…。今気づいたのですけど、何故この板の名前や特徴を知っているのですか…?」

「私にもわからないわ…。なんて言えばいいのかしら…。知らない知識のはずなのに、頭の中に浮かんでくるのよ。」

と、困った顔で答えた。

久美は、腕を組み少し考えた後で、

「なるほど…。多分、のっこが持っているカードがハイプリーステスだからじゃないかしら?」

「そっかぁ!確かに、『知識』のカードだもんね…。」

と、愛美も久美の意見に同意する。法子はそれを聞き、もしかしたら二人を助ける方法がないか考えていると、急に頭に浮かんできたものをみんなに伝えるように声にした。

「注意しなきゃいけないことが2つあるわ。1つは、さっき言ったように外側から壊せないこと。2つ目は…。」

急に言葉を切ると、法子は叫ぶ。

「みんな伏せて!」

それを聞いて、みんなが伏せると、無数の黒い物体が石版に向かうように頭上を通り過ぎる。

「今のは、なに!?」

久美は法子に尋ねると、

「バルティアリスはああやって、外の世界の情報を吸収しているの。」

「二つ目の注意は、今のものに当たらないようにすることですね…?」

通り過ぎたのを確認して、紗夜は法子に確認する。

「そう。私たちの情報が足りなければ、教授たちが違う世界だと気づくかもしれないから…。」

法子は説明も含めて肯定する。

「ということは、叩き落とすなりして…吸収させなければ、気づく確率は上がるのか?」

訪ねる陽に、愛美は反論する。

「でも…どうやって?当たっちゃいけない上に、道具も何もないんだよ?魔法とか、技が使えるってわけじゃないし…。」「法子さん。もしかしたら、あるのではないですか?あかりさんには『創造』の、法子さんには『知識』の力があるように…私達にもカードの力が…。」

「自分達の力に気づいたようですね…。」

いきなり、みんなの頭に直接響くように声が聞こえる。


「貴女達の持っているカードを強く思い浮かべるのです…。」

優しい、暖かく凛とした声に従い、みんなは目を閉じてそれぞれのカードを思い浮かべていく。


「紡ぎなさい…。『解放』の言葉を…。」


みんなは声を合わせたかのように、頭によぎった言葉を紡いだ。

「カルドゥ・インハルト・ファゾン!」

みんなは、それぞれに暖かい気持ちと、力がみなぎっていくのを感じた。

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