#00 発端:実験事故
長編になる予定のファンタジー小説です。
だいぶ長く温めていた自作ゲームのシナリオを文章化・
リメイクした小説ですが…まだ作者自身どんな結末になるかわかりません。(--;)
- -はルビがわりに使用しています。
「ここは…どこだ……」
辺りを見回すと、
上には果てしなく広がる青…
下には果てしなく広がる白…
上をよくみて見ると、白いのがいくつか見える。
「空だ…」
一人呟き、この状況をすこしでも把握するように自分に確認していく。
下には、白い床…らしきものが果てしなく続く。本来、床にはあるはずの継目がどこにもないから、らしきものとしか言いようがない。
「ここは…どこなんだ…。」
もう一度、自分に問い掛けるが答えは出ない。
(どうして、こんな所に来たんだ…?)
ここに来る前の事を、思い出してゆく。
「有坂教授。そろそろこの実験も最終段階ですね。」
12畳くらいの白い部屋の真中に、かなり大きなガラスケース。
中には何もない、その前に彼女と私は立っていた。
彼女は助教授の志田法子。身長は小さいが、スタイルは良い方だと思う。私の自慢の教え子であり、信頼できる仲間だ。
ポチッ
ウィ…ウィーーーン
一息ついた後、意を決して装置のスイッチを入れる。音もなく、ガラスケースの中で黒いガス状の塊が出来始める。
それを確認した彼女は、ガラスケースから少し離れたところにある計器類を見ている。
「圧力、電圧…全て正常です。」
カシャ
ガタガタガタガタ…
次のスイッチを押すと、ガラスケースの中に様々な材質の破片が投入される。
(成功してくれ…)
少しづつ、黒いガス状の塊に吸い寄せられて行く、様々な破片。
(そのまま飲み込んで…)
そう、この装置は人工的にブラックホールを作り出し、段階的に物体を吸い込ませる実験装置だった。
全てを飲み込んだブラックホールは、何事もなかったように渦巻いている。
(いった…)
しばらく続いた静寂を彼自身の声が破る。
成功したかわからない緊迫感と期待の混じった声で、彼女に指示する。
「志田君。各ゲージの状況は!?」
「各ゲージ正常…。成功です!!」
「第一試験、終了。第二試験開始。」
成功した喜びを押さえつつ、冷静に次へのステップを告げる。
カシャ
ガタガタガタガタ…
次のスイッチを押す。先ほどより、少し大きめの破片がガラスケースの中に入っていく。
ここまでは先ほどのステップと変わらない。
全ての破片がブラックホールの中心に集まりかけた時、異変は起こった。
計器を見ていた彼女から、不安と驚愕を隠し切れない声で異常を告げられた。「全ゲージ、フラット!緊急停止を!!」
それを聞いた彼は、慌ててメインスイッチを切る。
しかし、ブラックホールは何事もなかったように渦巻いている。放射状に集まる破片をすこしずつまとめながら…。
ポチッ…ガシャン…ガシャン…
慌てて、全ての装置を一つづつ停止する彼の行動も空しく、全ての電源を落としてもブラックホールは消えなかった…。
「有坂教授…。」
「………。」
不安に押しつぶされそうな彼女の声に、彼は何も答えられない。
次に発した彼女の言葉は、驚きに満ちた声…。
「あ…あれは何…!?」彼もガラスケースの中を見て唖然とする。
「な…何がどうなってるんだ…!?」
二人が目にしたもの。
黒いガス状の渦の中に、あらゆる物質と融合した血色の球体。血色の部分は脈打ち、上から光の球を出しては、下から取り入れている。その軌道は、まるで地球の磁力線のよう。ぼう然とした二人を、さらに異変が襲う。
「キャーッ!!」
「ウァー!!」
ガラスケースの中にある物体から、光の波が押し寄せる。
光の波に飲まれた時、二人は意識を失った…。
もともと、ゲームのシナリオを小説化したので、かなり伏線の多い小説になりますが…いかがでしたでしょうか。
ご意見、ご感想をお聞かせ頂けると幸いです。
では、また次回作でお逢いしましょう☆