入学式後-1
美男美女の先生達が教室に入って来た事によりクラス内は色めき立っている。
「静かに、まずは入学おめでとう。今日から君達のクラスの担任になる 真堂 優作だ」
「入学おめでとうございます。副担任の沙原 薫です」
副担任と言った沙原先生を私は見る。ゲームでは副担任は居なかった。
ここは担任の先生、真堂先生の1人だけ映ったグラフィックCGが出てきた場所だ。
だから思った。ゲーム都合よくキャラクター消し過ぎ。
こんなに可愛い先生が副担任だなんて…全国の男子達に悪い事をしてしまった。いや、乙女ゲームを男の子はほとんどしないけれど、グラフィック欲しかったなぁ、と残念に思う。
「それじゃ、プリント配るな」
真堂先生はゲームで1番好感の持てるキャラだった。大人だし、優しいし、真面目で良い人なのだ。包容力もあるし、主人公が唯一自分から好きになるキャラクターで私も分かる分かると共感してしまったくらい。
先生がこちらへ向かってくる。
黒髪が光に照らされてキラキラして綺麗。
「秋野、秋野」
「は、はいっ」
「プリント、受け取ってくれ」
「はい、すみません」
プリントを受け取って後ろへ回す。
は、恥ずかしい…見惚れていたなんて。
それから先生達は私達に数枚のプリント、教科書、その他諸々を渡し、あっという間に放課後になった。委員会などはまた明日、という事らしい。
私は3人で一緒に帰る為、まだ支度を済ませていない桜良の下へ向かう。
「はぁー、大変だった」
桜良が大きくため息を吐く。
「それはお前だけだろ、入学式に遅刻しそうになるなんて前代未聞だな」
「だってぇ〜……昨日は面白い映画が夜中にやってて眠れなかったんだもん」
桜良は映画鑑賞が趣味なのだ。
「いや、寝ろよ、どうしても観たいなら録画してから寝ろよ」
「分かってないなぁ、リアルタイムで観るから良いんだよ?ああ言うのは」
「それで遅刻してちゃ意味ないだろ」
「涼の意地悪!」
ボスン、と桜良が涼ちゃんのお腹をグーで殴る。若干強めで。
「な、やめろよっ」
「涼が余計な事言うからでしょ!」
「正論だろ!」
この2人の喧嘩は止めなければいつまでも続けていそうだな。毎回こんな感じだから涼ちゃんは桜良に恋心を気付いてもらえない。それもそうだろう、私からみたら兄妹喧嘩している様にしか見えないんだから、桜良から見ても同じだろう。
「でも、そんな2人が可愛い」
から止めない。
私は2人に関しては大変甘い。甘々だ。
今もそんな2人を携帯のムービーに収めている。
故に誰も2人の喧嘩を止めない。
「だからやめろって、服引っ張るな」
「もー!涼はいつも一言余計なの、そんなんじゃ彼女の1人も出来ないんだからっ」
「なっ!」
あ、涼ちゃんが落ち込んだ。
桜良は鈍感故に時々爆弾を落とす。涼ちゃん限定の。
仕方ないな……、これ以上涼ちゃんの心に穴が出来ない様に早々に喧嘩を終わらせよう。
「2人とも、こっち向いて?」
「え?」
「なんだよ……」
振り向いたと同時にカシャリ、と私は持ってきていたデジカメのシャッターを押した。
「な!?」
「茜音!?」
「2人の変な顔ゲット」
「や、やめてー!残さないで!」
「何撮ってんだお前は!」
2人が今度は私に群がってくる。
カメラを取ろうとするので死守した。
「消して〜!恥ずかしいよ!絶対変な顔してたもん!」
「そんな事ないよ、桜良はどんな顔してても可愛いよ?」
桜良の手を取り、見つめ合う。
「なんで、口説いてんだよ!」
「涼ちゃんは残念な顔してたけど」
「どういう意味だ!」
そのままの意味だ。
残念そうな顔(落ち込んだ顔)をしてこちらを見ている。
「茜音、消して?お願い!」
「じゃあもう帰る?」
「うん!だから」
「はいはい」
私は桜良の目の前で画像を消した。もったいなかったなぁ…
それから素早く桜良が帰り支度を済ませ、学校から出て、私達はやっと帰路に着いた。
やっと入学式が終わりました。あと先生の登場ですね。
あと主人公の携帯には2人専用のフォルダがあります。そこにムービーやら写真やらいれてあります。iPh○neだとメモリーが増やせないので多分Andr○idですw