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中途半端な転校生-13

ドサリ


私の鞄が落ちた音だ。

2人のその姿を見てしまった私は思わず鞄を落としてしまい、慌てて拾う。


この場から離れないと、そう思ったが…時既に遅く、その音に気付いた2人は扉の方へ視線を向けた。


「なっ!?あ、秋野!?」


真堂先生が驚愕した声を上げ、慌てて扉の方に駆け寄り、扉を開けて私を見降ろした。


私はぎゅっと鞄を抱き込み、先生をゆっくり見上げる。

お互いが当惑したままジッと相手の目を見ながら動かない。相手の出かたを伺うそれは一種の心理戦のようだった。そして真堂先生によって沈黙は破られた。


「秋野……違うんだ、これは」

「…言いません」

「え?」

「だ、誰にも…何も言いません」


私は必死に言葉を絞り出し、目線を逸らして先生を見ないようにする。動揺が隠しきれていないので若干震えた声になる。

み、見なかった事にしよう。ソウダ、ワタシハ何モ見テイナイ


「違う!誤解しないでくれ、こんな状況を見た後に勘違いするのは当然だろうけど…違うんだ」

「あんたさっきから違うばっかね」


くすくす、っと真堂先生の後ろから笑ってる人がいる。その人物は誰なのか分かっている。分かっているけれど私が知っているその人はこんな笑い方をする人だっただろうか…

気になったので逸していた目線を部屋の奥へ移し、中を除いてみた。


「秋野さん、こんにちは」


そこにはいつもの柔らかい、穏やかな笑みを浮かべる人ではなく、フェミニンロングな髪を耳へと撫で付けながら艶やかに笑う沙原先生がいた。思わず、誰だよ!とツッコミたくなるくらい別人じゃないか……


沙原先生自体がゲームに居なかったキャラなので私は動揺しながらもこんにちはと応える。


「薫、なんで鍵を閉めてないんだ」

「つい、うっかり。油断しちゃったわ」


沙原先生はちろりと舌を出す。

そんな沙原先生を見て真堂先生は片手で額を抑えて怒りを我慢しながら悩ましげに首を振った。

いや、そんな事よりも今真堂先生が沙原先生を名前呼びした、だと…

やっぱり2人はそういう関係なのか。


私の頭の中にめくるめく大人の世界が広がった。


「誰かに見られたらどうするつもりだ」

「もう見られてるじゃない」

「それはそうだが…」


真堂先生は困ったように私を見る。


「そうならないように配慮をするべきだったと言ってるんだよ!」

「もう、何よー…過ぎた事をぐちぐちうるさいわね。モテないわよ?」

「余計なお世話だ、大体こうなったのは誰のせいだと思ってるんだ!」


苛立ちを表に出しながら言い放つ真堂先生を見て、私はびっくりしてしまう。ここまで苛々した先生を見るのは初めてなのだ。先生ってもっと落ち着いていて包容力あるイメージがあった。

ゲームで悩んで自暴自棄になるシーンはあったけれどそれは真面目な性格ゆえだし。


それに…2人を見ていると喧嘩ごしで話しているということは私が思い描いている関係ではないのだろうか?どう考えても先程見た、あんな事やこんな事をしそうな甘さはない。


いや、でも分からないぞ、この世にはケンカップルなるジャンルが存在するからな……先生達もそれかもしれない。


「はいはい、私が悪う御座いました。今はそんなことより秋野さんじゃない?ほら、私達が話してるから置いてけぼりになってるわよ」


沙原先生が急に名前を呼んだ、びくり反応する。それと同時に4つの目がこちらを捉えた。とても居心地が悪い。


え、なんですか?こちらを見ないで、怖い。


2人の目線が怖くて視線を逸らしながら一体何を言われるのかとドキドキしていると、沙原先生に腕を掴まれる。耳元で「つかまえた」と囁かれ、その瞬間私は完全に逃げ道を失ってしまったのだと悟った。


ち、こんな事なら先生達が口論になっている間に逃げたら良かった!なんでぼーっと突っ立ていたんだろう私は!


「ここではなんだし、とりあえず中に入りましょう?」


ね?と笑顔のまま後ろに周り込まれ、私の肩を両手で軽く押してくる沙原先生の誘導で私は部屋へ足を踏み入れてしまった。


「今度はちゃんと鍵を掛けて、さあ、お話しましょうか」


―――――ガチャリ


鍵の掛かったその音に私は面倒な事になったと嘆くことしか出来なかった。


ちょっと長すぎたので次回からタイトル変えます。一応お話としては雪村君のお話ですが…話の内容ずれすぎで…わけがわからなくなるので…  もっと早くそれに気づけば良かったんですけどね…すみません… 茜音はずぼらですね、あっさり捕まってしまいました

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