表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/38

中途半端な転校生-12 

約束通り桜良達が私を家まで迎えに来てくれたのでお母さんに行ってきますと声を掛けた後、3人で学校に向かう。いつも通りの朝なのになんだか久々に晴れやかな気分。

教室に着くと空閑君がおはようと挨拶をしてくれた。彼は剣道部に入り、朝練がある為いつも早めに来ている。どうやら彼も昨日の事を心配してくれていたようで私はお礼を言った後、ふと目に付いた席を見てしまう。そこは雪村君の席だ。彼も早めに来ているはずなのにその席には鞄もなく、誰も来ていない。


朝一番にお礼を言いたかったのだが、彼が席に着いたのは朝のHRが始まるギリギリの時間だった為、それは叶わなかった。授業の間の休みも何処かに行っているようで喋る事が出来ない。


それはお昼になっても同じで雪村君は教室にいない。


これは…めちゃくちゃ嫌われたという事だろうか…


桜良も涼ちゃんも何も言わない。それはあえて何も言わないようにしている、そんな雰囲気だ。

喧嘩でもしたのかな、と思ったが桜良まで何故?と疑問が浮かぶ。朝はあんなに楽しい気分だったのに今は少し重苦しい。どう考えてもこれは私のせいだと思うので私は何とか放課後までに雪村君に会おうと決意したのだが放課後は空閑君に頼まれた用事で叶うことなく終わってしまった。

ま、明日があるよね。明日こそ会おう。


◆◇◆


空閑君に頼まれたのは先生にプリントをもらいに行って欲しいというものだった。私が休んだ日は丁度大事なプリントを配った日らしく直接先生から私に渡してもらわないといけないらしい。それを聞いて先生に誰にも邪魔されず会えるんだ、とか思ってないし別に楽しみになんてしていない。ホントウダヨ


鞄を持ち、桜良達に声を掛けた後、私は職員室に向かう。けれど職員室に真堂先生は居なかった。どこに居そうか聞いたところ小会議室の鍵を持っていったので行ってみるといいと言われた。あまり使わない部屋に入るのは気が進まないけれど私には真堂先生に合わないと行けない理由があるし、仕方ない。


それにしても実際歩いてみてわかるな、この学校の大きさが。都心ではないため無駄に土地があったのかどうか分からないが私達が主に使う本校舎、部活のための部活棟、パソコンなど技術的なものを取り入れた別棟、教師たちが使う教師棟。カフェみたいに綺麗な食堂、購買、広い庭。設備整いすぎだと思う。


いやあ、こんな広いのになんで主人公は攻略キャラ達に毎日毎日会えるんだろうね、乙女ゲームって。同じクラスの空閑君や涼ちゃん、雪村君は分かるんだけど、その他の人たちって担任も含めて会う確率少ないと思うんだけど。そこはゲーム、突っ込んじゃいけない所なんだ。だってゲームのマップには最初から攻略キャラのいる場所が記されているではないか…私達はそこにカーソルを合わせるだけなのだから…


つまりどういうことかというと、この学校は無駄に広いだけあって会議室みたいな場所もたくさんありすぎてどこがどこだか分からないということだ。学校の中で迷子ってどういう事なんだろうね。ただいま教師棟をあっちへふらふらこっちにふらふら…誰か助けて。


しん、とした校舎はなんだか不気味だ。外からは声が聞こえてくるのにまるでこの場所だけ世界から切り離されたみたいな錯覚がする。


そんな時、ガタン!と大きな音が鳴る。


夕方、誰もいない廊下、人気のない部屋…ここから連想される事は1つしかない。そう心霊的なそんな感じのものだ。

音のなった部屋は案外近くにある。行きたくない、けれどもしかしたら真堂先生が居るのかもしれないし確認だけだ。確認だけ、と未だに物音が聞こえている部屋に近づくと何やら人の声らしきものが聞こえる。


良かった、人か……


私は胸を撫で下ろし、誰がいるのか分からないのでゆっくりと音を立てず中の様子を見る為に扉を少しだけ開けた。


けれど、見なければ良かったと酷く後悔した。覗いたその先にあったものを見て私は困惑し、信じたくなかった。そんな事あるはず無いと我が目を疑う。


私が扉を開けたその先には…


―――――――真堂先生が沙原先生を押し倒している、そんな光景だった。

主人公はみた|゜Д゜)))  ですね。恋愛フラグも何も立っていないうちからこんな場面に出くわすとは…運が悪い。あげて落として墜落させました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ