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中途半端な転校生-10

私が倒れた時、丁度雪村君が通りかかったらしく私を家に連れてきてくれたらしい。そう母が教えてくれた。私は目が覚めたら毎日目にしている天井を見上げていたので倒れたのは夢かと思った。


時計を見たらお昼の12時を過ぎていて軽くお腹が減っている。頭も朦朧としないしもう元気になったと言える。一瞬ヒヤヒヤしてしまった。


午後の授業には出ようかと思ったがお母さんがまた倒れても困るから寝てなさいと心配しながら言ってくれたので今日は大人しくしておこう。雪村君には明日ちゃんとお礼言わないとな、と考えているのと同時に迷惑を掛けてしまったという罪悪感に襲われた。


私のストーカー行為で十分に迷惑しているだろうに倒れた私を家に運んでもらうなんて事をさせてしまったのだ、迷惑かけっぱなしである。何かお礼の品も用意しておこう。いやでもこれは話し掛けるのに逆にいい機会なのではないだろうか、なんて打算的な考えも浮かぶ。


など色々と考えていたらまた眠っていたのか起きたときに天使達が、おっと間違えた…顔の良く似た2人の可愛い子達が私を見下ろしていた。


実梨(ミノリ)(ミノル)…」

「おねーちゃん!ただいまー!」

「ただいまー!」


私が起きた事に気付いた2人は元気いっぱいの挨拶を私にしてくれる。


この子達は私の、いや秋野茜音の兄妹だ。双子の兄妹で実梨が女の子、実が男の子で一応お兄ちゃん。今年小学2年生になり、とても素直で明るく元気な子達である。歳が離れている事もあってとても可愛がっていた為2人とも私にべったりだ。それも後数年すれば終わりだろうと思っているので今の内に2人を目一杯可愛がっておく事にしている。


「おねーちゃんなんで寝てるのー?」

「元気ないのー?」

「ううん、もう元気になったよ」

「「ほんと!!」」


2人のキラキラした目が遊ぼうと語っている。可愛い。

けれどそれは私の部屋に2人を探しに来たお母さんによって拒まれてしまう。


「やっぱり2人ともここにいた。こら、お姉ちゃんは今休んでるのよ、邪魔しちゃダメでしょ」

「「え~…」」


お母さんにそう言われた2人は不満を露わにした声を出す。そして私に引っ付きながら「やだやだ」と駄々をこねだした。


「ダメです」


母は人差し指を立て、2人に諭すように言い聞かせている。


「やだー!」

「お姉ちゃん元気って言ったもん!」

「遊ぶんだもん!」

「もう、我が儘言わないの」


お母さんは呆れたように腰に手を当て、やれやれとため息を吐いた。

そんな母を見て私は声を掛ける。


「お母さん、夕食まで私2人の面倒見てるよ」

「でも」

「もうふらつかないし、今日は寝てばっかりだったから動かないと逆に病気になっちゃう」

「1日くらい休んでも大丈夫だと思うけど…」

「大丈夫だよ、心配しないで」

「茜音がそう言うなら…」


でも無理しちゃだめよ、と言ってお母さんは部屋から出て行く。本当に心配性なんだから。私の母はあまり怒らず、ちょっと子供っぽいが優しい性格をしている。たまにドジなのでこちらがしっかりしてあげないといけない。そんな母に育てられた為私はあまり反抗期は長くなかった。反抗したら母が物凄く寂しそうに、悲しそうな顔をする為、こちらが折れるしかなかったのだ。


ちなみに父は優しい事には変わりないが、落ち着いていて、何事も冷静に物事を見て行動している為母のフォローをよくしている。多分私は性格的には父親似なのだと思う。


そんな事を考えている間に双子は遊ぶモノを決めたのか色々部屋に持ってきていた。


「僕はこれー!」


実が出したのは有名なボードゲームだ。

ジェンガか、良いかもしれない。ちなみにこのジェンガは私のお古でよく3人で遊んでいたのを思い出し懐かしい気持ちになった。


「私はこれー!」


実梨は32色の色鉛筆だ。絵を描きたいのか……

双子でも好きなモノは違う様である。


「じゃあジェンガやった後にお絵描きしようか」

「「はーい!」」


◆◇◆


実梨の要望であるお絵描きをしている時にふと学校は楽しいかと質問をしてみた。


「うん!楽しいよ!」

「新しいお友達いっぱい出来た!」


友達か……今の私には悩みの種なんだよね…。


「そっか…お友達ってどうやってつくったの?」

「えー?お喋りして、一緒に遊んだら友達だよー」


双子は顔を合わせながら「ねー」と声を合わせながら言うが、私はあまり納得出来ずにいる。小学生相手に何を思ってるんだとは思うが納得出来ないモノは出来ない。今の私の状況とこの子達の状況じゃ全然違うのに何を考えているんだか…


「あ、でもその中でもいっちゃんは特別かもー!」

「そうだね!いっちゃんは特別!」


いっちゃん、と言うのは双子が小学校で出来た親友の事だ。本名は市嘉(イチカ)君である。


「いっちゃんはね、私が体育で転んだ時とか一緒に保健室に連いて来てくれたんだよ!」

「いっちゃんはお勉強教えてくれるー!」


この子達随分市嘉君にお世話になっているみたいなので今度お礼を言っておこう。


「そっか、いっちゃんとはそんなに仲が良いんだね」

「うん!困った事があったらいっちゃんと実梨に相談するんだ!」

「おねーちゃんもさっちゃん達と仲良しでしょ?」


さっちゃんは桜良の事だ。当然だ、1番の親友で幼馴染で大好きな2人だ。実梨達も市嘉君とずっと仲良しだったら良いねと言いながら頭を撫でた。


しばらく遊んでいるとピンポーンとチャイムが鳴る。誰か来たのだろうか?


「茜音ー、桜良ちゃん達が来てくれたわよ」


私は双子に言ってくると声を掛け、すぐに階段を降りて玄関に急いだ。

茜音の兄妹登場です。無邪気な双子の兄妹です! 桜良や涼介の家族も今後出せたら良いですね!

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