中途半端な転校生-8
7がちょっと中途半端に終わったので8も更新させていただきます!皆さんここ最近長い文章になっていて申し訳ありません。読みにくいかもしれませんが(特に携帯の方などは)これからもよろしくお願い致します。
一足早く真堂先生を見付けた女の子は我先にと走って向かっていく。それに皆も続いた。ええ!走るの!?
フラフラと一応、走ってきた私は皆よりだいぶ遅れて先生にしおりを渡す。
「お疲れ様」
「は、はい…ありがとうございます…」
実質これが真堂先生との初の会話になる私は緊張して語尾が小さくなってしまう。
それでも先生は温かく笑って判子を押してくれた。
このしおり絶対捨てられない!!ありがとう!乙女ゲームの世界よ!
「お前達、班の1人置いてバラバラで来たらダメだろう」
私がしおりを大事にカバンへ入れていると先生が先に着いて居た私の班員に注意をする。まぁ、集団行動だったからね、仕方ないさ。
「ごめーん!秋野さん!もう終わりかと思ったらつい走っちゃって」
「もーくたくたで…」
あぁ、分かる分かる、リレーとかの最後って早く終わりたいからって最後の力振り絞って思いっきり走っちゃうものだ。気にしなくて良いよ、と言うと今度は手、繋いで一緒に走ろうねと言ってくれる。走るのは決定なんだ…いや、嬉しいけども大丈夫かな?
「はぐれたりしたら危険だから次からは気を付ける様にな」
先生がため息をつく。まぁあの短い距離を迷子になるとは思えないけれど。
「すみませーん」
「反省してます!」
「まったく…」
それから私達の班は帰りまで時間があったので先生とお喋りしていた。ちゃんと目的地の物を見て来てからだ。いやー、思っていた以上に何もなかったな、城跡って。看板だけだった。
結局5分くらいしか見なかった。
今は私の班の女子達と話をしている。どうやら私達が最後にここを通る班らしいので休む間お喋りに付き合ってくれているらしい。私は足を休める為座れそうな場所に腰掛けて1人離れた所で先生達を見ていた。 話し掛けに行ってる班の子達はそれは嬉しそうに笑顔の花を散らせていた。そこに男子も入ってなお一層賑やかになる。楽しそうで何よりだ。
私が彼等を見つめていたら先生とバッチリ目が合った。すると先生は輪から出て私の方へ向かってきている。え?ちょ、ちょっとまって!まだ心の準備が出来てないから!
「大丈夫か?秋野、足は」
私が足をさすっていたのが気になったのか先生が心配そうに話し掛けて来てくれた。
「はい…」
しかし、緊張でガチガチの私は先生の顔を見る事が出来ず、俯きながら返事をする。
「もし辛いならタクシーで送るからな、無理はするな」
「大丈夫です…」
「そうか……」
「……」
「……」
沈黙。
ああ!すみません先生!喋るの下手で!本当に!
「今日は楽しかったか?」
私が沈黙に耐え切れず何か話題を探していると先生が少し苦笑いしながらも話題を提供してくれた。それに私は全力で乗った。
「は、はい!あの、元々あまり来ない土地だったので見るもの全てが新しく、とても新鮮に感じました、それになかなか歴史的な物に触れ合う事はない、のであの、大変面白かったと思いました…!」
言葉をつっかえながらも私は必死に応えた。なんだこの感想文みたいな応え方は!ひぃ、恥ずかしい!顔が真っ赤だきっと
「そうか、確かにこういう場所には来ないだろうし、たくさん見ておいた方が得だと思う。先生は結構歴史的な物が好きだから良く来るんだが、興味がなければ来ないかもしれないよな。もし暇があればここの史実なんかも調べてくると勉強になるぞ」
「あはは…」
すいません、何も調べる気なしです。
そういえば先生は映画や時代劇が好きでロケ地に良く出向く、と乙女ゲームのキャラ説明の所に書いてあった。まぁ、それで同じ様な趣味をした桜良と意気投合して話す様になると言うわけだが。
「でもここ、何もありませんでしたよ?」
「まぁ今はそうだな。でもここは結構有名な殿様と繋がりがあった場所だったんだよ、じゃなきゃわざわざ看板立てていたりしないだろう?あの歴史的なもので溢れてる京都でさえ当時の面影もなく看板で説明書きだけなんて所も多いんだ、長い時間で焼け落ちている所も多いし維持も難しいからきちんとした建物を残すところは少ないからな」
「詳しいですね」
「好きだからな」
「でも変な感じです。なんでそこまで好きなのに先生はどうして歴史の先生じゃないんですか?」
先生は歴史好きなのに国語の先生だ。何故社会の先生にならなかったのだろうか?
「先生が興味を持っているのは一部の歴史だけだ、決して社会の教科全般が得意なわけじゃない。重要な5教科だから一応教えられはするが趣味は趣味のままの方が楽しめる、とは思わないか? それに、国語の方が得意だからな、人に教えるという事を考えればこちらの方が都合が良かったんだ」
なるほど、よく考えればそうだと思える。あくまで先生は人に教えるということが本業なのだから得意なものを担当にするのは当然だ、これがゲームだったら今『先生の新たな情報が更新されました』と出る事だろう。現実だから出ないがさっきの情報は今私の頭の中には確実に書き込まれた。
好きだけではやっていけない…わかっていたはずなんだけどな。
これは恋愛にも言えるのだろう……どんなに相手を好きでも付き合えないということだ。
あははー、涼ちゃんと私、涙目である。
茜音は一応サブキャラの設定なのでたまにメインキャラと引き離します。それにしても…いやぁ、見返すと茜音はほんとに先生好きですね。でも憧れですからね、今は。あ、別にこれはフラグじゃないですよ!今後どうなるかはまだ未決定ですのでお楽しみに。




