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中途半端な転校生-4

どうやら人がいない場所へと案内してくれるらしく、早乙女先輩達に連れて来られたのは生徒会室の横にある準備室。そこにはしつらえたように4人が座れるよう長机が2つ並べられていて背もたれのあるパイプ椅子が4つあった。どうやら会長がこの部屋を準備してくれたらしい。それを聞いて会長って配慮とか出来る人なんだ、と失礼な事を思ってしまったが感謝している。本当に。

席は先輩たちが私達と向かい合う形になっている。私の目の前は早乙女先輩である。良かった、会長が前じゃなくて。これでご飯が喉を通る。あの眼光に睨まれたまま食事とかありえない。


「じゃあいただきます」


早乙女先輩の合図で私達は食事を始めた。

私のお弁当は相変わらずおにぎりに冷凍食品と手作りで作られたおかずが8:2の割合で占めた物だ。もちろん冷凍食品が多い方だ。そして早乙女先輩はまたしてもほぼ肉弁当。会長は重箱である。何、そんなに食べるの?


「太陽、いい加減野菜もとれ」


会長が呆れたように言うと、2段あったお弁当の下段を丸々早乙女先輩にあげた。


「いつもありがとう」


なんだ、先輩に上げる為の重箱か。しかもいつももらってるのか、こんなに。


「なんか、雅が俺の健康を心配して野菜たっぷりのおかず持って来てくれるんだよね」


別に大丈夫なのに、と言っている早乙女先輩。確かに早乙女先輩の肉弁当は私から見てもコレステロールが心配になるくらい肉で占められている。これでは会長も心配するだろう。しかしこれだけ食べているのに何故太らないのか不思議で仕方ない。私なんてバイキングなんかでたくさん食べるとすぐに1、2キロいってしまうのに。

そして会長は案外友人には面倒見のいい性格をしている。


「早乙女先輩、それ全部食べられるんですか?」

「うん、まだまだ食えるよ」

「すごいですね」


私が感心しながらじいっと会長が先輩にあげたお弁当を見ていると早乙女先輩が「食べる?」っと聞いてきた。出来れば頂きたいが元が会長の物だしな、流石にすぐにはいとは言えなかった。


「雅、良いよね?」

「まあ、そいつもあまりいい物を摂っているとは思えないしな」


こいつは完全に冷凍食品を馬鹿にしている目である。こんなに安くて早くて簡単に出来る料理などないではないか、庶民のお弁当には必須用品なんだからな!

でも頂きます!美味しそう!


「じゃあひじきの煮物を頂きます」

「どうぞどうぞ、ひじきと一緒の豆もいっぱいあるから食べて」


貰ったひじきとお豆を一口食べる。う、美味い!

ひじきとお豆の二つの味が絶妙にマッチしていて噛めば噛むほど旨みが染み出てくる!


「美味しいです!」

「あはは、良かったね」

「いいなー」


桜良がこちらを羨ましそうに見つめるのを見ていたのか会長は桜良にもお弁当を分けてあげた。それも自分のお弁当をだ。あらまあ、仲良くなっちゃって…


「ふわ~この卵焼きすっごく美味しいです!今まで甘い卵焼きしか食べなかったんですけど卵の味がしっかりしていて美味しい~」


食べた卵焼きに深く感動している桜良に会長は次々に自分のお弁当の品を一口に分けて桜良のお弁当に乗せてあげている。

それを美味しそうにパクパクと平らげている桜良。そのやり取りを私と早乙女先輩は顔を見合わせた後私は少し呆れたように、先輩は微笑ましげに、笑いあった。微笑ましい光景ではあるけどね。


「桜良、食べ過ぎ」

「あ!す、すみません!」

「別に良い」

「雅もあげすぎだよ、桜良ちゃんも自分のお弁当があるんだから」

「…悪かった」

「いえ、私も調子に乗ってしまって」


なんだか傍から見るととても良い雰囲気、というと若干違う気もするが明らかに会長は桜良に興味を示している。それを早乙女先輩も感じているのか「雅がこんなに自分の物をあげるだなんて珍しい」なんて言葉を漏らしてる。着々とイベントをこなしていっている桜良に対して私は完全に先輩に相談するタイミングを失ってしまった。

あぁ、やっぱり申し訳ないがメールで相談させて頂こうかな。


お読み下さりありがとうございます。

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