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中途半端な転校生-2

「やっぱりそれか」

「分かってたくせに」

「うるせ」


ぶすっとした顔をして機嫌悪そうに返事を返された。


「で、仲良く出来そう?」

「今のところは無理っぽいな…」


確かに。私もそう感じた。いや、別に私が桜良と涼ちゃん以外の人と仲良くしたくないわけじゃない。けれど明らかな壁を感じるのだ。

積極的に輪の中に入るタイプじゃないのかもしれないしそういうのが嫌いなのかもしれない。けれどそれとは違う、私達が桜良の友人というだけで社交辞令のように接する態度がなんとも言えない。

上辺だけの笑顔が張り付き、心の内が見えなくてなかなか仲良くなろうと”してくれない”のだ。


しかもそれを隠そうともせずあからさまなのだから、まったく、面倒だなぁ……


ゲームでの彼の性格もそうだ。上辺はとてもいい人なのに決して本音を見せようとはしないしお腹の中は真っ黒。そして桜良に依存している。

表向きはそうは見えなくても彼の本音を知っているのは桜良だけだ。無意識に彼女に依存して、彼女が離れていこうものなら決して逃がしはしない。


そう、雪村ルートはヤンデレだった…。


私達とも仲良くなるのは桜良が彼と付き合った後だしグットエンドだと彼のヤンデレな部分は更生して、それからは本音で話してくれるようになってハッピーエンドとなるはずなのに複数あるバットエンドの1つではなんと病院送りだ。彼も桜良も。ナニがあったのかはここでは言わないが

なかなかグットエンドとバットエンドの落差が酷い乙女ゲームだった。そこに私は惹かれたのだが、これには賛否両論あるらしい。

バットエンドにしない為にも早めに仲良くなりたい。心の闇が解き放たれてしまう前に。


「なんとかならないかなあ…」

「別にあっちが仲良くしたいと思ってないなら何もしない方が良いんじゃないのか」


涼ちゃんの意見は冷たく聞こえるかもしれない。けれど大人な意見だとも思う。

何もしなければあちらもこちらも嫌な思いをせずに済むのだから。それにどんなに仲良くなりたいと思っていても出来ない人だって必ずいる。

けれどそれじゃダメだ。私達の一番の”友人”である桜良が私達に望んでいるのだから。雪村君と仲良くして欲しいと。この間私達が一緒に出掛けた時に漏らしていた、寂しそうな顔をして。


私も最初は仲良くなることを無理なのかもしれないと思っていたが、桜良が望んでいるのなら、私は彼女の願いを叶えたい。

大体グットエンドの最後には仲良くなれるなら大丈夫だと自分に言い聞かせ私は涼ちゃんに言った。


「やってみないとわからないよ、涼ちゃんだって今のままだとなんだか居心地悪いでしょ」


雪村ルートでの涼ちゃんは桜良と雪村君の2人事をすごく心配していた。そこまで仲良くはなかったはずだ。けれど、彼はとても必死だった。どのルートでもそうだった。

面倒見が良くて、私達のわがままだってなんだかんだ聞いてくれて、いつもちゃんと見守ってくれている。誰よりも私達を、桜良を大事に思ってくれている涼ちゃんならきっと仲良くできるはずだ。もちろん私も頑張る。


「分かった、まあ話はしてみる」

「うん、私も頑張ってみるよ」


仲良く出来たら良いな。と、私は涼ちゃんと帰りながらそう願った。

来週は1年生全員で遠足がある。そこで何か仲良くなるきっかけがあればいいんだけど。



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