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中途半端な転校生-1

さてさて月はみんなが大好き大型連休のある5月に突入した。

そして月のはじめ、朝のHRで真堂先生が衝撃発言をする。


「今から転校生を紹介する」


ええええええーーー!

と教室は大騒ぎだ。転校生は男か、女か、噂をし合っている。

そういうのはテンプレートなのだろうか、既に結果を知っている私としてはその話に加わる事は出来ないのだけれど


「随分中途半端な時期に来るんだな」

「ほんとだね」


それにしても、もう来たのか。はやいなあ。

もちろんこの転校生も攻略相手なのだがこの攻略相手は他の人達とは少し違う。私達幼馴染にも関係があるのだ。


「静かにするように、じゃあ入ってきてくれるか」

「はい」


先生に促されて教室に入ってきたのは暗い藍色の髪を揺らし、まるで緊張などしていないという風に余裕をみせ、笑顔を私達に向けている。甘いマスク、とは言わないまでも彼も顔の造形は整っているほうで、髪型やきっちりした制服の着こなし、身だしなみや雰囲気からパッと見は優しそうな優等生という印象が伺える。

先生が黒板に名前を書いてくれた。『雪村 柊哉』と


雪村柊哉(ユキムラシュウヤ)です、宜しくお願いします」


礼儀正しく挨拶と礼をする。それだけの動作がとても自然に感じた。


「じゃあ雪村の席は廊下側の一番奥の席だ」

「はい」


そこは桜良の隣じゃないのか。しかも隣は男子だ。なんでこんなところだけリアルなんだろうこの世界。


「気になるのか?」

「え?」

「ずっと睨みつけるように見ていたぞ」

「そ、そうかな?」


まさか睨みつけるように見ていたなんて思ってもいなかった。

いや、彼はとってもいい人デスヨ、うん。ただなあ、性格がなあ。

そんな不安をよそに今日1日は始まってしまった。


お昼休みには転校生に皆、主に女子が群がってたけど特に接触しに行く機会は無く、そのまま放課後まで過ごす事ができ、桜良と涼ちゃんと帰ろうと自分の席から後ろを向くと、例の転校生、雪村柊哉と桜良が仲良さげに喋っていた。その後ろで涼ちゃんが2人を見ている。

どうしたの?と涼ちゃんに声を掛けたらあの転校生が桜良の事を知っているみたいだと教えてくれた。


「あ、茜音!涼!」


桜良がこちらに気付いて手招いている。とりあえず行ってみようとあまり気の進まなそうな涼ちゃんの腕を取って桜良達のもとへ歩いて行った。


「2人とも、紹介するね。実は今日転校してきた雪村君ね、私のもう1人の幼馴染なんだ!」

「幼馴染…?」


涼ちゃんが顔を傾げる。


「うん、おばあちゃんちに行った時はいつも一緒に遊んでたの!でも最近うちの近くに引っ越して来たんだよ」

「近くというか桜良の家の隣だけどね」

「すっごく近いよね」


仲良く談笑する2人に涼ちゃんは面白くなさそうにしている。

そして、涼ちゃんが雪村君をじっと見ていると、その視線に気付いた雪村君がにっこり笑って返しているのが私には2人の間に激しい火花が散っているように見えて怖い。

もう修羅場ですか?


「柊哉君も私の幼馴染に会うのは初めてだったよね。紹介するよ」

「うん、よろしく」

「えっと、こっちが夏木涼介、でその隣にいるのが秋野茜音です。2人とも小中一緒なんだ、家も近いからほとんど一緒にいるんだよ、って前にも何回か話したよね」

「いつも桜良が楽しそうに話してるのを聞いてるよ。よろしくお願いします。夏木君、秋野さん」

「ああ、よろしく…」

「よろしく」


ちょっと今はギクシャクしているかもしれないが、これから友人になるわけだし仲良くしないと。最初に仲良くする為にやる事といえばなんだろうと考え学校の案内でもしようか、と提案してみた。


「いいかも!ね、柊哉君行こう!」


桜良は乗ってくれたが雪村君は残念そうに笑う。


「ありがとう、でも今日は引越しの手伝いもあるから、ごめん」


手伝いがあるのなら仕方ないかと思い、その日私達は一緒に帰った。



それ以降、桜良の友人でもあるし私達は一緒に過ごす事が多く、ゴールデンウイークも街を案内するという理由で1日一緒に遊んだり、涼ちゃんは初めの方こそあまり気乗りしないみたいだったが私達に合わせて一緒に出掛けてくれた。その他に誰かと遊んだという事はない。連休は全て家族サービスをさせられた。


けれど雪村君と私達の距離は一向に縮まらない。友達としての距離が。


◇◆◇


その日は桜良と雪村君、涼ちゃんが揃って帰ろうとしたので私は涼ちゃんの制服を引っ張って止めた。突然の事に涼ちゃんが驚いた顔をこちらに向けるので私はごめんねとアイコンタクトした。


「桜良、雪村君と先に帰ってて」

「え?」

「涼ちゃんと話があるんだ」


桜良はこちらを気にしてしているように何度もこちらを見ていたがじゃあまた明日ね、と言った後、雪村君と一緒に帰ってくれた。

2人っきりになると涼ちゃんが近くにあった椅子に座る。机に肘をついて手に顎を乗せ「なんだよ」なんて言うので私も近くにある椅子に座らせていただいた。

多分涼ちゃんも分かっているのだろうけどあえて聞いているんだと思う。だから私は言ってあげた、今私達の中で1番気になっている事を。


「雪村君の事だよ」



新キャラが出て来ました!少しこの話は長くなる予定です。また更新が遅くなるかもしれません、気長にお待ち下さい

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