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彼女の大切なお守りの話


5時間目と6時間目は繋がって委員会決めがあるのかと思いきや、健康診断の話や、新入生のテストがあるらしく、色々聞かされたりプリントを配られたりとかだった。

確かに委員会を入学した次の日に決めるなんて早いなとは思ったけれど……生徒が噂していたのを聞いていただけなのであれは先輩達が話していたんだろうか?


結局明日も明後日も色々予定があってなかなか忙しい。

しかし健康診断か…身長伸びてるかな。






「これで帰りのHRは終わりだ、お疲れ」


今日はこれで終わりか…入学後初日だけど早々に会長に会ってしまうとは、桜良も運がいいのか悪いのか。

ふう、と息を付き教室を見てみると真堂先生も沙原先生もそれぞれ生徒に囲まれていた。もちろん真堂先生には女子が、沙原先生には男子が先生に話しかけに言っている。

いいなあ、私も真堂先生と喋りたい。別に好きだからとかそう言う事ではなく、単に憧れの人と喋りたいって欲求と、桜良の攻略相手として気になるからだ。

もし先生が、そんな事無いだろうけれどもし、女子校生と付き合うことになんの疑問の持たない先生だとわかったならば…当初の予定とは違うが私は彼に桜良を近づけさせる事は一生無いだろう。

そしてもう一つ気になるのは沙原先生の存在だ。先生達は同じクラスの担任、副担任だからほぼ一緒にいる事が多くなるだろうし、私から見ても二人はとても仲良く見える。

噂好きな子が言っていたのだが、2人ともうちの学園のOB、OGで同じ学年だったらしい。


「これは攻略に一体どういう障害になるのか…」

「こんにゃくがどうした?」

「!」


喋り掛けられた方を見ると隣の委員長…いやもういい、空閑くんが私を見ていた。

こんにゃくじゃないが無意識に口から漏れていたのを聞かれていたのか。


「なんでもないよ、忘れて。ただの独り言だから」

「そうか?」


申し訳ないが流石に私の幼馴染みと先生が恋に落ちるかもしれないからその障害に沙原先生がなるかも、

なんて頭のおかしい事を口走るわけにはいかないので笑って誤魔化すしか出来ない。


「なんだか昼に帰ってきてから難しそうな顔をしていたから何かあったのかと思ったんだが」

「何かあったといえばあったけれど、今は別の事を考えてたよ」

「別の事?」

「あ、いや…忘れて下さい」

「そこまで言うなら忘れておくが、入学早々大変そうだな」

「本当に…」


後々君も私の苦労の一部になるんだよ、と心の中で付け足しておく。まだ空閑君は桜良と接触していないからな。

でもまあ、昨日今日喋ってみて分かったが空閑君は大丈夫だろう、過保護っぽいがとてもいい人だし何しろ優しい人だから付き合ったとして涼ちゃんも反対しまい。

いいなあ、空閑君。早く桜良と初イベント起きないかな…


「どうした?何故こちらを見て微笑む」

「いや、空閑君はとても気遣いの出来るいい人だと思って」

「? どうもありがとう?」

「何で疑問形なの」

「話の意図が掴めないので褒められているのか分からない」

「一応褒めてるんだけどな」


空閑君はそうか、と言うと「お前もいいやつだ」と褒め返して来た。

私が何か空閑君にいい事をしたのか分からないがとりあえずお礼を言っておいた。



空閑君に別れを告げて私は桜良のところに行ってみると、桜良はカバンを引っくり返して机の上に色々な物を広げていた。何か探し物をしているみたいだ。


「あ、茜音ぇ…」


泣きそうな顔をして桜良が私を見る。ど、どうしたんだろうか


「ないの…」

「え?」

「無いの!お守り!」

「お守りってあの石?」

「うん…」


説明しよう、桜良の言っている『お守り』とは桜良がその昔一緒に遊んだ男の子から貰ったというなんとも思い出深い代物で、その後2人は会う事は無かったみたいだが今も桜良は彼のことをたまに思い出しては楽しそうに彼との思い出を語ってくれる。

ちなみにその石を入れてある小さな巾着袋も一緒に貰った物らしく桜良はその2つをいつも大事に持ち歩いている。

無くしたら大変じゃない?と私も聞いてみたが顔を覚えていないので、もし石を貰った男の子に石の事を覚えていたら見せてお礼を言いたいんだそうだ。

そういう設定だと知っていてもなんとも健気だと思えてくる。でも私が桜良より先にその相手を知っているのは問題な気がする。ネタバレしてあげたいが我慢だ私。


なんて思っている場合ではない。どうしよう…と本気で焦っている桜良にとりあえず誰かが拾っていないか職員室に行ってみたり、今日通ってきた道を見てみたが石は何処にも無かった。

探しているうちに空はどんどん暗くなり、流石に小さな石を見つけるには無理がある時間になってしまう。


「どうしよう…」

「桜良! 大丈夫!きっと見つかる!」

「でも…」

「今日はもう暗いし、流石に見つけられないけど…ほら、今日行ったけど行ってない所があるよ」

「え?」

「会長や早乙女先輩と食べた場所」

「あ…でもあの場所は」

「大丈夫!明日朝にでも行ってみなよ、ね?」

「う、うん…そうだよね、朝なら人もあんまりいないだろうし」


さ、帰ろうと声を掛けた。桜良もさっきの説得で帰ってくれる気になってくれたみたい。


その次の日、桜良は私達と学校へ行かずに朝早くから学校へ石を探しに行って無事見付けられたようだ。



入学した次の日に普通委員会は決めませんよね。

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