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お昼と会長と金髪と‐1

声を掛けて来たのはいらっしゃいました、我が学園で生徒の頂点、生徒会長様だった。知ってたよ!知っていました!

この庭は会長のお気に入りの場所なのだ。MAPで見た時もよくここか生徒会室に居た。

なんて…おちゃらけて言えるのは心の中だけで、私は今凄く混乱している。

昨日入学式で見てたし、画面越しで何度も見てはいたが実際に近くで会ってみると迫力は別格である。美しいだけかと思っていた姿はまるで別人のように恐怖の対象として植えつけられてしまった。

まるで氷の女王、いや、王様か。

顔は全く笑っておらず、あるのは敵意に似たなにか…

姿を見ただけで怖気づいてしまい、目が合うとその鋭い眼光に冷汗が出てきた。

凄い威圧感だ…怖い…。


「ここで何をしていると聞いているんだが」

「あ、えっと…」


さすがの桜良も威圧感に耐えられなかったのか上手く言葉が出てこないみたいだ。


「何を黙っているんだ」


ちらりと会長の顔をみたらまたギロリと睨まれた。

だめだ!怖すぎて口聞けないよ!桜良頑張って!というか涼ちゃんは何で黙ってるの?


「……」


身構えてはいるみたいだけど桜良が話を進めようか悩んでいるせいで発言するタイミングが掴めていないみたいだ。


「えーと、あの、私達ここでお昼を食べようかと…」


意を決して桜良が会長に話した。すると会長は眉をひそめ、「昼?」っと呟く。


「この場所は生徒会で使っている場所だ、一般の生徒は使用できない事になってる」

「なるほど…じゃあここに来たということは貴方は生徒会の方なんですか?」


桜良が何の悪びれもなく普通に聞いた言葉に会長はさらに眉にしわを作った。


「は……?」


それも当然だろう。会長はすでに入学式であんなに注目を集めていたし、入学の案内にも生徒会の写真があった。

実際入学式に出ていた生徒は全員会長を覚えているはずだ。普通は覚えないだろうけど。私も中学の生徒会長の顔なんて覚えてない。

知っていて当然だと思ったのだろうか…会長は桜良を睨めつけたままだ。


「さ、桜良…」


私は慌てて教えようとしたけれどその前に会長が喋りだした。


「もういい、下がれ」

「え?」

「お前達に興味などない、早くここから出て行け」

「…す、すみません」


会長はめんどくさそうに私達を追い払う。

そそくさとその場を下がろうとしたのだが私達が帰ろうとする前に明るい声が私達の足を止めた。


「お待たせー」

「……太陽」

「あれ?桜良ちゃん達どうしたの?」

「知り合いか」

「うん」


こんにちは、と早乙女先輩はまたキラキラスマイルを私達に向けた。ああ、そうか、先輩たちは親友だったな。

二人とも性格は正反対のはずなのにとても仲が良い。それにこの美男二人は一緒に居ると絵になるようで、女子たちは一緒に居るところを見てはキャーキャー言っているスチルがあったし。

ほんとにアイドルみたいだ。


「こいつらがここで昼食を取ろうとしていた」

「え!そうなの?」

「はい」

「ここはね、生徒会の人とその関係者、友達とかね。その人達しか使っちゃいけない事になってるんだ」

「はい、聞きました。すみませんでした…」


桜良と私達も頭を下げた。


「大体、生徒手帳にも入学案内にもここが一般生徒の使用禁止区域だと書いてあったはずだが?」

「まぁまぁ、入学して間もないし、色々見る余裕なんてないよ。普通一般生徒立ち入り使用区域なんてないだろうしねー」

「ふん…」


早乙女先輩が会長を宥めている間に私達は話をするため集まる。このままじゃお昼食べ損ねるだろうな。


「俺、教室戻るから、パンだし戻りながら食って帰る」

「え!でも一緒にご飯…」

「教室帰ったらそんな暇ねーだろ」

「…ごめん」

「う、べ、別に気にすんなよ……また、食えばいいだろ…一緒に」

「う、うん!ありがとう」

「じゃあ…」


涼ちゃんは先輩と会長に「ご迷惑お掛けしました、失礼します」と声を掛けたあと教室へ戻っていった。


ああ…涼ちゃん、待って、私をこの人達と一緒に置いて行かないで…


なら付いて行けば良かったのに、なんて言わないでほしい。ここに桜良1人置いて行くなんてそんな薄情な事出来ないし、

万が一桜良が1人でこの2人と一緒に居るところを誰かに見られたら……ああ、恐ろしい事になりかねない。

会長や早乙女先輩ルートで何が1番嫌だったかと言うと会長や先輩を好きな子達からの強烈な脅しとか、大人達の圧力とか…

その他諸々…嫌がらせが酷かった…

あれはゲームだから許されるわけであって現実でやられた方はたまった物じゃない。 


いくら桜良の恋愛を応援するとは言ってもこの2人とはあまりお近付きになって欲しくないなー、なんて思ってたりする。

友達として。


「良かったらさ、食べてっちゃう?」

「え?」

「もう教室に戻っても食べる時間ないだろうし、ここで食べて行きなよ」

「おい太陽…」

「ほーら、(マサ)は生徒会長なんだから、困ってる生徒を助けてあげないと」

「生徒会長はそういう役職じゃない」

「まーまー、さ、一緒に食べよう」


先輩のキラキラスマイルの前に私達は何も言えず、「ありがとうございます」とお礼を言って付いて行くしかなかった。



桜良は大変なものを建てていきました。 フラグです。

人気のある人とそういう関係になると周りが黙ってはいられない。お約束ですよね。

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