反省会
若干遠めのところで呪術を使ったので恐らく皆には見られてないしあの山賊も発見されるには時間がかかるだろう。1本の濃縮ポーションと濃縮SPポーションを全員でたらい回しし、回復したようだ。
「あぁケリアさん、どうでした?」
全く心配されていないケリア。若干不満を覚えるが、まぁ昔からこうなので飲み込むしかない。
「うむ。山賊は懲らしめたのでな、大丈夫だぞ」
問題ないと手を振り皆に説明するケリア。そして一息ついてから反省会を・・・
「っと。死体処理がまだであったな。ボスの名前は聞き出してあるので大丈夫。全て燃やして構わないのでな」
そう言いながらアレイアとケリアは炎の魔法で焼き尽くしていく。
「ってケリアさん!? 魔法使えるんですか!?」
自分より遥かに強い炎を無詠唱で繰り出して的確に燃やしていくケリアを見て意気消沈するアレイア。
「うむ。まぁ仕方がないことなのでな、そう気落ちするでない。アレイアは自分なりに鍛錬すればこれくらいすぐできるようになるぞ」
ケリアの言葉に少し励まされたアレイアはケリアと共に死体を焼却すると、少し進んでから反省会をすることにした。
「イーギル。お前は良く状況を判断し周りを的確に動かす。リーダーとしての資質はかなり高いぞ。しかしまぁ剣の速度にものを言わせてゴリ押ししている所があるのでな、少し遅くてもいいから剣技を習得して回避するのもいいかもしれんな」
イーギルはケリアのアドバイスに痛いところを突かれたと苦笑いしている。
「ヴォルス。お前の防御力はかなりだ。それと盾での剣のいなしかたも賞賛に値するの。しかし、簡単に言ってしまえばそれだけ。防御に特化しているだけだの。例えば瞬歩。このスキルでお前が敵に突進してみろ。敵は簡単に吹っ飛んでいく。こんなふうに防御を攻撃に活かすすべも身につけるといいであろう」
ヴォルスはおぉぉぉ! と嬉しそうに自分の未来を思い描いている。
「次はロッコス。お前は弓を撃ち傷ついた仲間を癒す。言葉で言えば簡単だが一人二役はきついものだ。しかし、別に弓を撃ちながら回復魔法を発動させるわけではあるまい。それなりに後衛におるのだから周りが見えて当然。イーギルの死角で指示が出せないならお前が指示を出せばよかろう?」
「そ、それも一理ありますわね・・・」
ロッコスは今まで何故気付かなかったのかと悔しがっているようだ。
正直パーティーメンバーが素直な子でとても助かる。昔は口喧嘩など酷かったものだ・・・。
「次はジュドル。お前さんは攻撃力特化の前衛だの。逆に言えばお前さんは攻撃力にしか特化していない・・・つまりお前さんを超える攻撃力特化の敵が現れたら必然的に負けとなる。自分の手の内を増やして格上の相手に挑めるような体制を作るのも重要だぞ」
ジュドルは年下の女の子に戦闘に関してアドバイスを受け目を逸らしている。しかし、ケリアの言っていることが正しいので取り敢えず頷いておいた。
「よーし。次はアレイアだの。お前はまぁ魔法使いということもあってほかのことが出来ないのは仕方ないの。だからひとまずは戦っていってどの時にどういう魔法を使うのが一番最適なのか、見極める目が必要だの」
特に欠点というところは指摘されなかったのでホッとするアレイア。しかし、ケリアの魔法を見てしまったので今はメラメラと努力の炎が燃えている。
「最後に・・・ウリ。お前は私の言葉の意味が分かったか? あの戦場で山賊を殺していたら山賊が悲しんでいただろう。あの戦場でお前が切り刻まれていたらここにいる皆が自分の弱さやウリを殺させてしまった不甲斐なさを背負いながら生きていくことになっただろう・・・」
ウリの瞳が少し潤んでいる。ケリアの言葉を想像してしまったのだろう。
「い、嫌だ・・・そんなのは・・・」
ウリは拳をギュッと握り、皆に謝る。
「僕が不甲斐ないせいでイーギルを・・・皆を驚かせてごめん! 僕頑張る!」
メンバー一同温かい目でウリを見つめる。
「ほら、まぁ生きてんだからいいじゃねぇか。今度からしっかりと戦ってくれよ? お前のせいで俺が死ぬなんて死んでもごめんさ」
パーティーメンバーが励ましの声を上げていきそれを羨ましそうに見るケリア。
かくして反省会は幕を閉じたのである。
「召喚! スケルトンナイト!」
バッと現れ出たスケルトン120Lv×5体。ケリアはスケルトン達に夜番をさせることにした。精神的にも疲れているメンバーを思ってのことである。
「よし、おぉウリビビっておるのか」
ビクッと体を震わせながらケリアの言葉に返す。
「ビビってなんてないよ!」
少し面白くなってしまったので1体のスケルトンナイトに指示を出す。
「あぅあわわわっ」
全身を震わせまくるウリに爆笑の一同。
その夜ウリの悲鳴が森中に木霊したとかしてないとか。