片隅に咲く花
ドンドンドン
「…おい!こらぁいるんはわかってんだーさっさと出て来いや!」
ドアをぶち壊すような勢いて叩く音ととともにガラの悪い男が唸ってる
息を殺し、耳を塞ぎ、目をつぶり、物音をたてないように、震えるからだを布団で包み隠すようにジッとやり過ごす。
まだ幼い少年になにがあったのか…母親の死後、父親は荒れ狂ってしまった。仕事を辞めギャンブルにはまり、少年のことを見なくなった。
その父親も帰って来なくなってから一週間ほど経つ。2日前から何も口にしていない。外は怖いおじさんが見張っているから出られない。少年の体力も精神も限界がきていた…
もぅいいかな~僕、頑張ったよね…
母さんに…
逢いたいな…
この小さな少年は父親を憎むことなく
空腹を呪うことなく
世界を厭うことなく
静かにこの世界から消えた
最後の純粋な涙が頬を伝い、
少年の体を淡い光が優しく包む
少年を守るように抱く美しい女性がいたとか、いないとか…
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なんだろぅ?
あったかい…
お日様の匂いだ
ぬくぬくと懐かしいような幸せなぬくもり
まだ、眠い眼をソロソロと開ける
見知らぬ天井…
質素ながらも生活感のある部屋、窓からは気持ちの良い風とお日様の光が入り、木々が生い茂ってるのが見える「…ドコだろぅ?」
のそりと体を起こしてみる
その時丁度よく入ってきた人物に少年は心底ビックリした
「おっ。坊主起きたか。まだ寝ておったほぅがいいぞ」
と笑顔をかけてくれたお爺さん。…ちょっと毛深い?その耳と尻尾は飾りですよね…?