【追加エピソード:仮の名前と、もふもふの再来】
「名前かぁ……。私、これからどうなっちゃうんだろ」
ぽっかりと心に穴が開いたような感覚。
でも、そんな私の不安をかき消すように、アルフレッド様は「私と同じ姓を名乗ろう!」なんて、無茶苦茶だけど彼なりの全力の優しさ(?)を見せてくれた。
(きっと、私を和ませようとして、あんな恥ずかしいことを言ってくれたのよね……。うん、そうに違いないわ!)
隣でやれやれと首を振っているセバスチャンさんも含めて、最初に会ったのがこの二人で本当に良かった。
「……あ。そういえば、あの子はどこにいったのかな?」
ふと気づくと、さっきまで私の頭でボンボンと戯れていた、あの真っ白な「フェンリルちゃん」の姿が見当たらない。
「おや、あのお方は……」
セバスチャンが視線を部屋の隅へ向ける。
そこには、豪華なソファのクッションの隙間に挟まって、幸せそうに「きゅうぅ〜……」と寝息を立てている真っ白な毛玉があった。
……どうやら、私のパジャマから引き剥がされた後、よほど居心地の良い場所を見つけたらしい。
「伝説の聖獣が、あんなに無警戒に眠るなど。……やはり君は、特別な力を持っているようだな」
アルフレッド様が、またしても熱い視線を私に送ってくる。
いや、たぶんフェンリルちゃん、私のパジャマの「もふもふ」の残香に包まれて寝てるだけだと思うんですけど……。
「名前がないのは不便だろう。ならば、君が新しい名前を思い出すまでの間、私が呼ぶための名を付けさせてもらえないだろうか?」
アルフレッド様が、少しだけ緊張した面持ちで私に尋ねる。
私の新しい名前。
この世界で、私が呼ばれることになる「始まりの名前」。




