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【第八話:王宮の謁見と、チャラい王子の宣戦布告】


豪華絢爛な王宮の大広間。

アルフレッド様にエスコートされ、私は国王陛下の前に立っていた。周囲の貴族たちは、進化した私の姿に息を呑み、「あれが奇跡の聖女か」と騒めいている。

「ラルムとやら。その力、真実ならばここで示してみせよ。この国に蔓延る『憂い』を晴らす物語を綴ってみせよ」

王の冷徹な命令。

(そんな無茶振り……! でも、やらなきゃ帰してくれないよね!?)

私は震える手でノートを開き、羽ペンを走らせた。

スキル【綴る者】が発動する。私が書き留めたのは、物語などではない。この王宮に漂う、澱んだ「秘密」の正体。

『……真実は、王座の陰に隠れた綻び。古き結界の傷跡に、慈雨が降り注ぎ、すべてを浄化する』

書き終えた瞬間、ノートから溢れ出した青い光が、広間の天井を突き抜けて空へと昇った。

直後、王宮を包み込むように奇跡の雨が降り注ぐ。それは、長年王室を悩ませていた「王宮地下の呪いの源」を瞬時に浄化し、枯れていた聖なる泉を復活させたのだ。

「おお……! 泉が、泉が戻ったぞ!」

国王が玉座から立ち上がり、感嘆の声を上げる。

(よかった、適当に書いた『お約束』展開が、マジで解決しちゃった!)

しかし、感動の余韻を切り裂くように、一人の男が軽薄な拍手をしながら歩み寄ってきた。

「いやぁ、素晴らしい! まさに僕が夢にまで見た理想のヒロインだね、君は」

金髪を揺らし、薔薇を背負っているかのようなオーラを放つ美青年。アルフレッド様の宿敵であり、この国の第二王子・カイル様だった。

「カイル殿下……。何をしにここへ」

アルフレッド様が、私を隠すように前に出る。その声は、地を這うように低い。

「冷たいなぁ、アルフレッド。こんな素敵な子を君一人で独占しようなんて、罪だよ? ――ねぇ、ラルムちゃん。あんな堅苦しい男はやめて、僕の王妃にならない? 王宮のバラ園はすべて君のものだ」

カイル王子は、アルフレッド様の牽制を無視して私の手を取り、その甲にチュッと音を立ててキスをした。

「……ッ!!?」

広間が凍りついた。

次の瞬間、ガシャァァン! と、アルフレッド様の腰の剣が鞘の中で鳴り響く。

「カイル……! その汚い口を、私のラルムから離せ!! 今すぐ、その唇を削ぎ落としてやろうか!!」

「おっと怖い。嫉妬に狂う伯爵様も、ラルムちゃんにとっては『お約束』のスパイスかな?」

カイル王子は私に向かってウインクを飛ばし、アルフレッド様はもはや殺気で周囲を威圧している。

(ひぃぃぃ! スキル【物語の主人公】のせいで、『イケメン二人による略奪愛バトル』という最大のお約束が発生しちゃったんですけどぉぉぉ!)

「ラルム、行くぞ! ここは毒気が強すぎる!」

「待ってよ、パーティーはこれからだよ?」

私の腕を左右から引く、伯爵様と王子様。

王宮編、始まったばかりなのに、私の心臓もこの国の治安も、すでに限界突破寸前です!

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