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アウトロダクション その2

 理久から見ればこの数日間に起きたできごとは一粒のギンナンから始まった物語だった。

 そのギンナンが理久にとって“現実世界に開いた落とし穴”だったのだ。

 そして“落とし穴”に落ちることで得た出会いによって、理久は過去の黒歴史を清算し、未来へと目を向けられるようになったのだ。

 そんなことを思いながら理久はファストフード店でコーラをすする。

 向かいの席で幸せそうにテリヤキバーガーを頬張る“理久を未来へ導いてくれた存在”――華穂を見ながら。

 華穂はメロンジュースでテリヤキバーガーを流し込むと、自分を見て物思いに耽る理久に問い掛ける。

「どーしたの?」

「いや、なんでもない。なんでもないけど――」

 ふと思い立って訊いてみる。

「――これから、どーすんだ?」

 華穂にしてみれば一年間におよぶ戦士としての役目から解放されたのだ。

 なにか期するところはないのだろうか――大きなお世話かもしれないけれど。

 華穂は「ん~」と天井を見上げて少し考える。

 そして、すぐに目線を下ろして理久を見る。

「これからはねえ、みんなと一緒に“ふつーの女子中学生”するよ。理久さんも手伝ってね」

 そう言ってにっこりと微笑む。

 しかし、理久は対照的に大げさな渋い顔で。

「手伝うったってなあ……。勉強は中の下だし、スポーツは下の下だし、クラブ活動もやってないし。……手伝えそうなものはないなあ、申し訳ないけど」

 そんな理久に華穂が口をとがらせる。

「他にもあるでしょ。勉強とかスポーツとかクラブ活動以外に。もっと大事なことが」

「なんだろ? 他になにがある?」

 なおざりに返して、改めてコーラのストローに口をつける。

 同時に華穂がささやいた。


「恋だよ」


 赤い顔でむせて咳き込む理久へ華穂は――

「手伝ってよね、ひとりじゃできないんだから」

 ――ささやいて、テリヤキバーガーの続きに取りかかった。



全編終わり

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