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第7話 現れた最終態と明かした本心 その3

 小雪が全員にささやく。

「気をつけるにゃん。あの光の強さだとナンバー四七は覚醒可能状態に達してるにゃん」

 その言葉に緊張した理久の身体が一瞬だけ大きく震える。

 そこへ慄冽が声を上げる。

「思ったより障壁を破られたのが早かったざます、ぶくぶく」

 宵闇が続く。

「とはいえ、ト・ドゥーフ剣、ナンバー四七、の、覚醒まで、時間を、稼ぐ、と、いう、目的は、果たした」

 そして、光る剣に手をかざす。

「ト・ドゥーフ剣、最強最後、の、ナンバー四七、覚醒、せよ」

 剣が閃光を放ち、臓物の塊へと姿を変える。

 身構える理久、華穂、小雪、颯、綺羅、瑠奈。

 しかし――

「え?」

 ――現れたナンバー四七の姿に理久は拍子抜けする。

「これが最強最後?」

 これまで理久が見てきた中で最大のト・ドゥーフ剣は“がんすがんす”のナンバー一六で大型バスほどのサイズがあった。

 ナンバー四七が“最強最後”と称するからには当然それ以上のものが現れるのだろうと警戒していたが、実際に現れたナンバー四七は“われーわれー”のナンバー四五や“だべだべ”のナンバー四六と同じ軽自動車ほどのサイズしかない。

 肩すかし状態の理久は思わずつぶやく。

「ちっさ」

 その声が聞こえたのか、同時にナンバー四七が吠える。

 “てやんでーてやんでー”と吠える。

 同時に展開される目の前の光景に、理久とフェアレーヌ5が息をのむ。

 ナンバー四七が一声吠えるごとに次々と臓物塊が姿を現す。

 あるものは“われーわれー”、あるものは“がんすがんす”、あるものは“だべだべ”、あるものは“だぎゃーだぎゃー”、あるものは“ぜよ? ぜよ?”、あるものは……。

 次々と現れる軽自動車サイズから教室にも収まりきらないであろう大きさのものまで、サイズも鳴き声もバラバラな臓物塊の集団に小雪が叫ぶ。

「今まで倒してきた四六体だにゃんっ」

 その四六体がナンバー四七の周囲を守るように陣形を組んでいる。

「将棋みたいだ」

 理久が見たまま感じたままを口にする。

「でも、大丈夫だよっ」

 理久が向けた目線の先で親指の華穂が大きく両手を振る。

 確かに華穂との拡散型呪能砲こそ“この場面”に最も相応しいと理久が頷く。

「おうっ。撃つぜ」

「撃ってっ」

 理久の突きだした左手から撃ち出された呪能砲が四散して拡散型呪能砲となり、次々と前衛の臓物塊を直撃して消していく。

 思わず理久が右手を握りしめて声を上げる。

「よしっ、行けっ、そのままっ」

 その言葉に呼応するように、拡散した呪能砲の一発が最奥部に位置するナンバー四七を直撃した。

 華穂が両手を挙げる。

「やったっ……あれ?」

 ナンバー四七は何事もないように佇んでいる。

「き、効いてないっ?」

「そんなあ」

 目を疑う理久と肩を落とす華穂を嘲笑うようにナンバー四七が“てやんでーてやんでー”と吠える。

「まさか……だにゃん」

 目の前の光景に小雪が声を震わせる。

 ナンバー四七の咆吼とともに拡散型呪能砲で消されたト・ドゥーフ剣が改めて召喚され、ナンバー四七を守る“城壁”の欠落部分を埋めていく。

「今度こそ私の出番ですわね」

 綺羅があごを上げ、不敵な表情を四七体の臓物塊に向ける。

 その様子に理久は考える。

 たとえば小雪の誘導型呪能砲なら四六体を避けてナンバー四七を狙い撃ちにすることは可能だろう。

 しかし、華穂の拡散型が通用しない以上は破壊力で同レベルの誘導型がナンバー四七を倒せるとは思えない。

 そう考えると、ここはやはり綺羅の出番なのだろう。

「理久、準備はいかが?」

 理久が応える。

「おう、いつでもいいぞ」

 そんなふたりの様子に華穂が口をとがらせる。

「いつのまにか仲いいんだね、理久さんと綺羅ちゃん」

 不満げな表情を小雪がにやにやと覗き込む。

「悔しいにゃん? 妬いてるにゃん?」

 赤面した華穂が両手をジタバタさせて否定する。

「ちがうよ、ちがうよ」

 綺羅の――爆裂型呪能砲の登板に勝利を確信したからこそだろう、くだらないことで騒ぐふたりに構わず、綺羅が理久を見る。

「こっちもよろしくってよ」

「じゃあ、撃つぞ――」

 理久が左手を空へ突き上げて叫ぶ。

「――発射っ」

 放たれた呪能砲が直後に炸裂し、周囲のすべてを吹き飛ばす。

 閃光が徐々に収まり、巻き上げた土埃がゆっくりと鎮まって、理久とフェアレーヌ5は次第に視界をとり戻す。

 初めての爆裂型呪能砲で失われ、やっと再生したらしい十本の触手はまたしてもちぎれ飛び、焼けただれた断面をさらして痙攣している。

 そして、さっきまで目の前に展開していた四七体のト・ドゥーフ剣たちに至っては跡形すらなくなっている。

 華穂が声を上げる。

「やった、今度こそ」

 しかし、小雪が――。

「いや、まだだにゃん……」

 完全に土埃が鎮まった時、何事もなかったかのように無傷のナンバー四七が姿を現す。

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