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第6話 突撃! お宅訪問隊 その1

「一番長くクリスタルメーカーの一部だったからかもしれないですけど……クリスタルメーカーの神経系とあたしの意識が混じりかけてたんです。その時にわかったのはクリスタルメーカーの神経系にはもうひとつ別の意識があることでした」

 個室のテーブルで理久の広げた左手から小指の瑠奈が、向き合って座る冰雨に伝える。

 小指だからなのか、もともとの体型なのか、瑠奈は他の四人と比べて圧倒的に小さい。

 中一の華穂が標準体型だとしたら瑠奈の身長はおそらく百三十センチほどしかないのだろう。

 さらに前髪を切りそろえたセミロングの髪によって幼い少女を模した人形のようにも見えることが、余計にあどけなさや幼さを感じさせている。

 その瑠奈の手を握っている綺羅は三白眼が険しい印象を与えるが五人の中では一番の美少女だった。

 髪の長さは瑠奈と同じくらいだが対照的にワンレンにしていることで、最もオトナの空気をまとっている。

 時折、ワンレンをかき上げる姿はとても中一には見えない。

 その容姿からは男子、そして、境界域で見せた強気で譲らない性格からは女子のそれぞれから支持を得ている――そういった教室での様子が容易に想像できる。

 そんな綺羅の姿に理久は思い返す。

 境界域で理久の左手が瑠奈に触れた時、小雪の自動帰還設定が作動した。

 “帰還するなら瑠奈も一緒”という綺羅の要望を小雪が聞き届け、理久の左手が瑠奈に触れるのを“帰還GO”の合図に小雪が設定していたのだろう。

 とはいえ“理久の左手が瑠奈に触れること”に必ずしも理久の意思が必要だったわけではない。

 触手から解放された瑠奈のもとへと向かう時に理久の身体を引っ張った綺羅がそのまま瑠奈に触れることで、理久の意思を介さず境界域からの撤退を果たすこともできたのだ。

 しかし、綺羅はそれをしなかった。

 ただひたすら理久を促すだけだった。

 理久を促すことで“理久が納得した状態での帰還”を選択したのだ。

 つまり、綺羅は最終目的である帰還に際して理久の意思を蔑ろにしなかった、理久の意思を尊重してくれた。

 もしかして綺羅ちゃんって、ものすごく優しいのか?――理久はそんなことを思った。

 一方、綺羅のとなりでは長身でショートカットの颯が黙って瑠奈の報告に耳を傾けている。

 その長身は瑠奈が小さく見えるのと同様に中指ゆえなのか元の体型なのかは理久にはわからない。

 ただ、時折、ちらりと理久に向ける神経質そうな上目遣いが落ち着きなく、強い警戒心を窺わせていた。

 もっとも、それは理久から見た印象に過ぎず、残る華穂と小雪がいわゆるアホキャラなことで相対的にそう見えるだけなのかもしれないが。

 そんなとりとめのないことを考える理久をよそに、冰雨が小雪に問い掛ける。

「瑠奈が感じた別の意識というのは……ソラの意識でしょうね」

「まちがいないにゃん」

 冰雨が改めて整理する。

「つまり……一年前にクリスタルメーカーを眠りにつかせたものの、さすがにその効力も限界に達して目覚めさせてしまったってことでしょう。ところで――」

 ちらりと理久を見て瑠奈に目を落とす。

「――クリスタルメーカーの内部に他の意識はどうでしたか?」

 その問い掛けの意味を悟ったらしい瑠奈が言いづらそうにぽつり。

「……感じませんでした」

 理久は思わずため息を漏らす。

 華穂が見上げる。

「理久さん……」

 理久の心中を察したような悲痛な表情を浮かべる華穂に、理久は笑ってみせる。

「あ? 僕は大丈夫。なにも変わってない。碧海は消息不明の所在不明。状況は元のまま。絶望なんかしてないよ」

 そこへ小雪が――

「碧海がクリスタルメーカーの神経系につながってないことが確定しただけにゃん。他の所にいないことが確定したわけじゃないにゃん」

 ――そう言って左右のツインテールを両手で掴んでぶんぶんと振り回す。

 そんな無邪気な表情と動作、そして、口調が理久の感情を和らげる。

「小雪ちゃん」と理久。

「にゃん?」

「ありがと」

 礼を言う理久に照れたような笑みを浮かべる小雪のとなりで颯がつぶやく。

「私たちはこれからどうなるんだろ。ずっとこのままとか……」

 華穂が颯の暗い口調を吹き飛ばすように明るく答える。

「そんなことないよー。大丈夫だよ、絶対に」

 そう言って朗らかに笑う華穂を綺羅が一瞥する。

 そして、小雪に問い掛ける。

「ていうか、そもそもどうして私たちの身体がこんなことになってるんですの?」

「それはわからないにゃん。でも戻るヒントは得られたにゃん」

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