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第5話 奥の手 その2

 その言葉を受けて、さすがに小雪の顔色が変わる。

「それはちょっとやばいにゃん」

 華穂は不満顔で口をとがらせる。

「それってなんか反則ぽい、ずるい」

 颯がとなりの小雪にすがりついておたおたと周囲を見渡す。

「ど、どうしよう。冰雨さんはいないの?」

 華穂が声を上げる。

「そーだ。冰雨さんを呼ぼう。小雪ちゃん」

「それしかないにゃん」

 小雪が同意したのと同時に宵闇が突っ込む。

「オマエら、アホ、なのか? 援軍、呼んだら、即座に、爆破、させる」

 その声はかすかに震えていて、まるで嘲笑っているようにも聞こえる。

 そんな宵闇を華穂が上目遣いで見る。

「じゃあどうすればいいのよう」

 宵闇は単刀直入に答える。

「境界域へ、戻せ」

 小雪がため息混じりにぽつり。

「……わかったにゃん」

 その言葉に颯が慌てる。

「で、でも、みんなは呪EL残量とか大丈夫なの?」

 華穂が首を振る。

「あたしはもうダメ。さっきナンバー四六相手に拡散型呪能砲撃ったから。小雪ちゃんもだよね」

「うん、ダメにゃん。誘導型呪能砲で使っちゃったにゃん」

 颯が戸惑う。

「呪能砲って……なに?」

「あ、そーか。颯ちゃんはしらないんだにゃん」

「えっとねえ。あたしたちの呪EL銃が使えない代わりに理久さんとの融合弾が使えるの。一回の境界域侵入で持ち込める呪EL源素をフルチャージした状態で一発だけだけど」

 絶望的な状況を聞かされた颯は――

「わ、私の呪EL源素も全然残ってないよ。ナンバー四四で使い切ったきりだもん。こんな状態で境界域へ行ったらいいようにやられちゃうよ。ダメだよ絶対」

 ――華穂と小雪に再考を促す。

 しかし、なにも浮かばない華穂は両手をばたばたさせながらうなることしかできない。

「でも、言う通りにしないと……。ううううううう」

 そんな三人に宵闇が告げる。

「早く、しろ。戻らないなら、自爆、する」

 さらに続ける。

「あえて、ぐずぐずして、この部屋に、仲間が駆けつけてくるまでの、時間稼ぎを、しているつもり、か?」

 理久はその言葉にはっと小雪を見る。

 小雪は“ばれてるにゃん”と言わんばかりの渋い表情で舌を出す。

「ムダ、だ。誰かが、この部屋を、訪れたら、その瞬間に、自爆する」

 宵闇の言葉に小雪が観念したように声を上げる。

「戻るにゃんっ。それしか選択肢がないにゃんっ」

 颯は反対もできず小雪を覗き込む。

「だ、大丈夫?」

「大丈夫じゃないかもしれないけど、ここで自爆されるよりかはいいにゃん」

 そう言いながらも本心では迷っていることを表すように小雪はツインテールを両手でくねくねと弄ぶ。

 そんな小雪を華穂が後押しする。

「うん、戻ろう。大丈夫だよ。心配ないよ。なんとかなるって」

 颯が頷く。

「……うん。華穂ちゃんもそう言うなら」

 ようやくまとまった結論に理久が思わずつぶやく。

「従うしかない、よな……」

 その声に華穂が驚いたように顔を上げる。

「あ……」

 意外そうなその表情に理久が問い返す。

「どうした? なんか変なこと言った?」

 華穂は肩をすくめる。

「理久さんの意見訊くの忘れてた。ごめん。いいよね」

 改めて訊かれても理久に妙案があるわけではない。

 なによりもここにいる中では最もキャリアが浅い、というよりキャリアがないも同然なのだ。

 小雪が決断して華穂と颯が同意するなら、理久に異論はない。

「いいよ。行こう。任せる」

 宵闇がやれやれと言わんばかりに両手を腰に当てて華穂、小雪、颯を見渡す。

「決まった、か?」

 その様子はまるで拗れた学級会にうんざりする担任のようだった。

「決まったにゃん。早速、行くにゃん」

 次の瞬間には理久の身体は境界域へと戻っていた。

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