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第3話 ギンナン・トラップ その3

 連れて行かれたのは町の中心部にある市役所――のとなりに建つ合同庁舎だった。

 都市部であればそれぞれが個別の建物に収まっている国の出先機関だが、地方都市では利用人口や取り扱う事案の大きさから都会並みの規模を要しないため、複数の機関をひとつの建物にまとめていることは珍しくない。

 それが地方における合同庁舎である。

 地下フロアで冰雨に続いてエレベーターを降りる。

「このフロア全体を私たちICR――イヤユメ対策室が使ってます。こちらへ」

 促されて入った部屋は、理久がテレビでしか見たことのないビジネスホテルのようだった。

「この個室が理久くんの部屋になります」

 ベッドとテーブルとテレビ、そして、小さな冷蔵庫が置かれた部屋にユニットバスという簡素な作りで、当然のように窓はない。

「当面はここで生活していただきます。お入り用のものがあれば、二四時間いつでもお知らせください」

 室内を見回す理久の手元では――

「広いねえ。天井がすごく高いよ」

「小雪たちが小さいだけにゃん」

「あ、そっかあ」

 ――と、華穂と小雪が笑い合っている。

「なにか室内のことで気になることはありますか?」

 問われた理久が目線を冰雨に戻す。

「当面っていうのは、その、いつまで……」

 訊いてから、それが“室内のこと”という問い掛けの趣旨とずれていることに気付いて赤面する。

 そんな理久へ冰雨は淡々と答える。

「最短でも華穂と小雪が元に戻るまで、ですね」

 その言葉に“思い出したっ”とばかりに華穂が声を上げる。

「そうだよ、どーしてあたしたちの身体がこんなことになってんの?」

 “いまさらかよ”と心中で突っ込む理久の前で、冰雨は形の良い眉をハの字にして答える。

「それがわからないんです。治し方もこれから調べるというか探していくことになります」

 小雪が笑う。

「ま、焦ってもしょうがないにゃん」

 華穂も笑う。

「だねー。あはは」

 そんな予想外にのんきなふたりに呆れる理久へ、冰雨が――

「ということなのでいろいろと不自由をおかけすることになると思いますが、よろしくご協力お願いします」

 ――深々と頭を下げた。

 年長者から深々と丁寧に頭を下げられたら理久としても――“とりあえず”ではあっても――承諾するしかない。

「わ、わかりました」

 そんな理久に冰雨は顔を上げて「ありがとうございます」と笑顔を向けるとテレビの脇に置かれたリモコンを手に取る。

「では、改めて説明します」

 リモコンを操作してテレビの電源を入れる。

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